物象化論の形成とは? わかりやすく解説

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物象化論の形成

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 04:25 UTC 版)

物象化」の記事における「物象化論の形成」の解説

マルクス1845年から1846年にかけてエンゲルスとともに書いたドイツ・イデオロギー』という草稿社会的分業について考察し『資本論』の物象化論につながる視点示した分業次のことについて最初の例を、早速われわれに提供してくれる。すなわち、人間たち自然発生的な社会の内にある限り、したがって特殊な利害と共通の利害との分裂実存する限り、したがって活動自由意志的にではなく自然発生的に分掌されている限り人間自身行為人間にとって疎遠な対抗的な威力となり、人間がそれを支配するではなく、この威力の方が人間圧服する、ということである。 — カール・マルクスフリードリヒ・エンゲルスドイツ・イデオロギー』、 社会的活動こうした自己膠着、われわれ自身生産物がわれわれを制御する一つの物象的な強制力化すこうした凝固ーーそれはわれわれの統制はみだし、われわれの期待裏切り、われわれの目算を無に帰さしめるーー、これが、従来歴史的発展においては主要契機一つをなしている。社会的威力、すなわち幾重にも化され生産力ーーそれはさまざまな個人分業の内に条件づけられた協働によって生じるーーは、協働そのもの自由意志的でなく自然発生的であるために、当の個人には、彼ら自身連合した力としてではなく疎遠な、彼らの外部自存する強制力として現れる。 — カール・マルクスフリードリヒ・エンゲルスドイツ・イデオロギー』、 『資本論』の物象化論商品経済における社会的分業あり方分析によって商品物神崇拝解明するための枠組だったのに対し、この『ドイツ・イデオロギー』の物象化論は社会的分業発展を軸にした歴史観提示することが目指されている。物象化商品経済固有現象としてではなく自然発生的分業から生じ現象とされている。「人間自身行為人間にとって疎遠な対抗的な威力と」なる、という視点は『経済学・哲学草稿』の疎外論の延長線上にあるものと見なすともできる商品経済においては労働社会的性格商品交換価値として現れる、という観点現れるのは1859年発行の『経済学批判』においてである。マルクス商品交換価値分析し社会的分業一環であるにもかかわらず直接的に私的な労働交換価値生み出す労働であることを指摘した一商品の交換価値現実表現されている諸等式の総和、たとえば 1エレリンネル=2ポンドコーヒー 1エレリンネル=1/2ポンド 1エレリンネル=8ポンドパン等々。 を考察してみると、これらの等式は、たしかに等し大きさ一般的社会的労働時間が、1エレリンネル、2ポンドコーヒー2分の1ポンド等々対象化されていることを意味するにすぎない。しかし実際には、これらの特殊な使用価値あらわされている個人的労働一般的な、そしてこの形態社会的な労働になるのは、もっぱらこれらの使用価値が、それらのなかにふくまれている労働継続時間比例して現実互いに交換されることによってである。社会的労働時間は、これらの商品なかにいわばただ潜在的に実在しているのであって、それらの商品交換過程ではじめてその姿をあらわすのである出発点となるのは、共同労働としての個人労働ではなくて逆に私的個人特殊な労働交換過程ではじめてそれらの本来の性格揚棄することによって、一般的社会的労働という実を示す労働である。 — カール・マルクス経済学批判』、 この指摘マルクスは「経済学理解にとって決定的な跳躍点」と自賛した。従来経済学商品経済歴史的特殊性考慮することができず、したがって商品経済において労働受け取特殊な性格理解することもできなかった、という認識よる。

※この「物象化論の形成」の解説は、「物象化」の解説の一部です。
「物象化論の形成」を含む「物象化」の記事については、「物象化」の概要を参照ください。

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