新古品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 02:32 UTC 版)
なお世の中には、「新品と古物の中間」のような位置づけのものもあり、それを俗に「新古(しんこ)」や「新古品(しんこひん)」という。たとえば展示品や店内デモ品である。 展示品 展示品は、商店で箱から取り出し、棚などに並べて客に見せるために用いていたもの。(なお「展示品」に客がベタベタ触れたり操作することが可能な状態にして放置している店もあるので「展示品」がどこまで指すのか判断するのもややこしい)。「展示品」は、一応、消費者の誰もまだ購入していない工業製品では在るが、実際には少なくとも店員が触っており、販促のために、ある意味「使った」ものである(ただし保証書の「使用者」「購入者」の欄はまだ空白なので、消費者が購入した段階でメーカー保証が有効になる)。展示品は、「展示品」と消費者に明示した上で、未開封の新品よりも安い価格で販売される。この場合、新品同様のメーカー保証が付けられることが多い。(「展示品」なのに、それを明示せず「新品」として販売することは不誠実である。) デモ品 「店内デモ品」は、客に物品が実際に動いているところを見せるために、店員が操作し動かしたもの(ただし保証書の「所有者」の欄にまだ誰の名も書かれておらず、メーカー保証は誰かが購入しそこに記入した段階から有効となる。)。 事故品 なお運送中の問題によってキズ・へこみ等の問題が発生した物は「事故品」と呼ばれる。メーカーで修復を行ったものは「再生品」という。 展示品やデモ品の店舗での扱い 「展示品」や「デモ品」の扱いは業界により異なる。 電気製品、コンピュータなどは、店の誠実度によって扱い方は異なる。「展示品」や「新古品」と正直に表示している店もある。また(ある意味、店の側が販促をするための道具として「使って」しまっているので、「自分に厳しく」、謙虚な態度で)「中古」扱いで売る店もある。だが不誠実な店は「新品」と表示して販売することがあるが、これは大問題で、購入者は箱から取り出すと「すでに使われた痕跡」(たとえば、大量の指紋がベタベタついていたり、あちこち汚れていたり、いくつも小傷がついていたり、取扱説明書もピンとしておらず手垢がついていたりページが折れているなど)を発見するわけであり、そうなると客は「だまされた」と判断し怒るわけで、店に苦情が寄せられたり、消費生活センター(消費者庁)などに通報されたり、現代ではSNSなどでたとえば「中古品を新品といつわって売る悪質な店」「新品と思って買ったら、中古品が入っていた。あそこで買ってはいけない」などと公表・拡散され、結果として客を失ってゆく。 業界により定義は異なるが、ある業界では、「厳密な意味での新古品は、一度は納入・開封されたものの、何等かの理由(契約破棄など)ですぐに梱包されなおされたり、誰かが購入して梱包状態のまま保管していたが、使われることも無く不要品として売却されたりした物だ」という人もいる。たとえば自動車で販売店(カーディーラー)が販売ノルマ達成のために、試乗車などの名目で自社登録を行った車両が、走行距離数十キロの「新古車」として中古車市場に流れることが多い。個別の部品の場合にはNOS (en:New Old Stock) と呼ばれる場合もある。こうした「新古品」では、動作されないまま専用の倉庫ではない場所に保管されている場合が多く、また潤滑油やゴム・プラスチック部品、使用期限が設定されている部品などの劣化が起きている場合もあるため、稼働開始後に何等かの問題が発生する可能性がある。場合によっては付属品に不足がある場合もあるため、購入には注意が必要である。 楽器業界には独特の慣習がある。楽器というものは(特にギター、バイオリン、ピアノなど、職人が天然の木材を材料にして「手作り」する部分が多いアコースティックな楽器では。電子楽器のような電子製品ではない楽器では。)ひとつひとつの楽器の個体にかなりの差(個体差)があり、それが音楽的にはとても重要なので、ほとんどの購入者はまず実際に試奏してから、個体を比較し、ある個体を買うか買わないか、別の個体のほうを選ぶか判断する。たとえばある程度以上の価格の、中級品以上のギターなら、たとえば数十万円以上するようなギターなら、ほとんどの客は必ず数分程度(人によっては10分弱)ほど試奏して、音色の個体差を自分の耳で注意深く確認したり、自分の指と楽器の細部の相性が良いか悪いかを慎重に判断してから購入する。(したがってアコースティックな楽器の大半は、実際に購入する人が見つかる前に、すでに多くの人が試奏をしているわけで)楽器業界では試奏された楽器も「新古品」扱いはせず、あくまで「新品」として販売している(客のほうも、中級者以上ならば、楽器というものはそういうものだと良く理解しており、納得している。自分だってあれこれ試奏してから個体を選んでおり、試奏が禁止されてしまっては個体を選ぶことができなくなり、非常に困るからでもある。)。
※この「新古品」の解説は、「古物」の解説の一部です。
「新古品」を含む「古物」の記事については、「古物」の概要を参照ください。
「新古品」の例文・使い方・用例・文例
- 新古品のページへのリンク