干渉計型検出器(地上)
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現在の検出の主流は、強力なレーザー光によるマイケルソン干渉計を用いるものである。1つの発振装置から出たレーザー光を直交する二方向に分け、一辺が数kmのアームを往復させる。レーザーの反射には、時空の歪みにしたがって振動する鏡を用いることにより、重力波が通過した時の四重極の歪みによる二方向の距離差(理想的には片方は伸び、もう片方は縮む)が干渉縞の変化から検出される、という原理である。自由質量型観測装置とも呼ばれる。 干渉計型検出器は、装置が大掛かりになるが、検出できる重力波の周波数帯が広い。検出感度は上記の起源の 1-3 に適していると考えられている。検出感度を得るための障害となるのは、レーザー光の量子雑音・鏡の熱振動・機械振動や電気雑音や地面振動などである。これらのノイズを1つ1つ取り除くことにより、現在ではブラックホール連星系の合体ならば地球から数100 メガパーセク程度の距離までの現象を測定できる世界的なネットワークが構築されている。 欠点 鏡の共振周波数以下は感度なし。 地面振動の影響により約10Hz 以下の周波数で検出感度がなくなる。 実用化 干渉計型検出器は、2000年代に世界の数ヶ所で稼働をはじめた。 アメリカは、LIGO(ライゴ)というプロジェクト名で、一辺が4kmのレーザーマイケルソン干渉計をワシントン州とルイジアナ州に2台稼働させている。2010年まで、実質2年以上の実観測を行った。2015年9月からは、感度を向上させた第2世代の干渉計aLIGO(advanced LIGO)として稼働をはじめた。 日本は、国立天文台にあるTAMA300で、一辺が300mのマイケルソン干渉計を2000年に稼働させた。これは、世界に先駆けて最初に本格的な観測を開始したものだ。2003年までは、神岡では、TAMAのプロトタイプだった一辺が20mのマイケルソン干渉計を設置し、LISM干渉計として運用実験を行っていた。その後、同じ、神岡内に片腕100mの低温鏡レーザー干渉計重力波アンテナCLIOが、地球物理学研究のための地殻歪計とともに建設された。 イタリアとフランスは共同で、一辺が3kmのVirgo干渉計を、ピサ(イタリア)に持つ。 ドイツとイギリスは共同で、一辺が600mのGEO 600(英語版)干渉計を、ハノーファー(ドイツ)に持つ。 日本では、東京大学の宇宙線研究所重力波推進室が、TAMA300とCLIOをプロトタイプとして、マイケルソン干渉計を構成する鏡とそれを振り子状に懸架するワイヤーを20ケルビン程度に冷却することによって感度を上げる観測装置「大型低温重力波望遠鏡(LCGT, Large Cryogenic Gravitational Telescope)」(愛称:大型低温重力波望遠鏡 KAGRA かぐら)を岐阜県神岡鉱山跡地に建設した。干渉計のアームの長さは3kmである。
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干渉計型検出器(宇宙空間)
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宇宙空間に衛星を打ち上げてレーザー干渉計を形成し、重力波を検出しようというLISA(Laser Interferometer Space Antenna)計画がNASAとESAによって進められている。これは3台の衛星で、一辺が500万kmのレーザー干渉計を形成するもので、ターゲットとする周波数帯は、地上の重力波よりも低い。合体の数年前の連星系からの重力波・白色矮星の振動による背景重力波・初期宇宙起源の重力波を捉えるであろうと期待されている。 日本でも、LCGTの次の将来計画として、宇宙重力波望遠鏡DECIGO(Deci-hertz Interferometer Gravitational Wave Obserbatory)計画が進められている。この観測装置は一辺が1000kmのレーザー干渉計で、地上レーザー干渉計とLISA計画の中間の周波数帯を主なターゲットとしている。
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