卓上用固形燃料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 17:26 UTC 版)
家庭用・飲食店で使われる固形燃料は、主にメタノールにゲル化剤として酢酸カルシウムまたは脂肪酸ナトリウムなどを加えて製造されている。一人用の鍋物や釜めし、チーズフォンデュなど小鍋での調理・保温に用いられる。円盤状か短い円柱状で、燃焼後の片付けがしやすいように下端がアルミ箔で覆われているものが多い。アルコールの蒸発防止のためにプラスチック製フィルムで覆われている。耐火性の皿に1つだけ載せてフィルムは外さずにそのまま点火する。使い切りなので調理に適したサイズのものを用いる。業務用には7gから40gのものが売られている。市販の固形燃料は25グラム(燃焼時間20分)程度のものが多い。有毒のメタノール系では誤食防止のために青く着色されているものが多く、一部のメーカーのものには誤食防止剤として苦味剤を添加している。 燃焼面をアルミ箔で覆うことで小さくし加熱量を抑制した保温専用の燃料(燃焼時間60~90分)や、触媒燃焼で長時間保温する例もある。 今日使用されている形の卓上用固形燃料は、大阪市にある化学メーカー、株式会社ニイタカが1970年代初頭に開発した「カエン」が最初である。発売当初は一斗缶に14kg分のカエンを流し固めたものだったが、旅館の仲居がスプーンを使って目分量で取り分けていたため、量にばらつきが生じ、客の鍋が煮えない等の苦情を受けた。この問題に対処するために、一定の大きさに角切りして円形にした。さらに先述の通り、アルコール分の蒸発を防ぐためのフィルム加工や、後始末を楽にするためのアルミホイル加工を施して改善した結果、現在よく見られるスタイルになった。
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