信託統治案とは? わかりやすく解説

信託統治案

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 03:39 UTC 版)

朝鮮戦争」の記事における「信託統治案」の解説

アメリカ政府第二次世界大戦前行われたアジア将来についての検討の中で、日本となっていた朝鮮半島には信託統治適用すべきと考えていた。さらに第二次世界大戦中1942年には、「(日本の統治終わった場合朝鮮半島住人貧しく文盲が多いため一世代は強大国の保護支援与えられなければならない」という、戦時中のためにきちんとした調査基づかない報告書アメリカ第二次世界大戦後朝鮮半島政策根幹となったアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトは、1943年2月アンソニー・イーデン外相との対談でこの構想初め明かした1943年11月22日カイロ宣言では、朝鮮は自由かつ独立すべきとされていたが、「しかるべき手続き踏んで」という、信託統治機関含みを残す形で発表された。その後テヘラン会談で「新設する国際連合によって40年間は信託統治すべき」とし、ソ連スターリンもこれに同意した1945年2月ヤルタ会談では「2030年間は信託統治すべき」とし、それに対してスターリンは「(統治の)期間は短ければ短いほど良い」と回答していた。日本の統治終了した後の長期間信託統治提案したルーズヴェルト1945年4月12日死去したが、同月モスクワでは米英ソ中の4カ国による信託統治原則的に合意されている。しかしその後朝鮮問題についての詳細な打ち合わせ両国間で行われなかった。 1945年9月9日アメリカ軍朝鮮半島入り先に入っていたソ連軍とともに朝鮮半島日本軍武装解除あたった先に米ソ両軍の間で締結されていた協定即し京城府ソウル)と仁川を既に占領していたソ連軍38度線北へ後退し半島南側アメリカ軍が受け持つことになった。 後の1945年12月ソ連首都モスクワアメリカ、イギリスソ連外相会議開きモスクワ三国外相会議)、朝鮮半島問題議題となった。この席でアメリカは、朝鮮半島における民主主義的な政府建設目標として、暫定政府成立させた後に、米英ソと中華民国の4か国による最長5年間の信託統治提案した。この提案合意されモスクワ協定)、12月27日公表された。その後アメリカソ連その方法継続して協議することになった。 ところが韓国民主党新聞の『東亜日報』が協定について「アメリカカイロ宣言根拠に、朝鮮国民投票によって政府の形態決めることを主張しソ連南北地域一つにした一国信託統治主張して38度線での分割継続される限り国民投票不可能だとしている」と事実異な報道したため国内での反信託運動大きく広まった(東亜日報#東亜日報による捏造記事・疑義が持たれた報道)。12月31日集会デモ空前規模達した信託統治に対してはほとんどの派が完全独立主張し反対表明していたが、年が明ける左派自主独立派)は一転して信託統治賛成回った右派親米独裁派)は信託統治では反対だったが、内部では親日派資産家が多い韓国民主党過激な反対運動を行う臨時政府派(大韓民国臨時政府支持)が対立した金九主席とする臨時政府派は、即時独立求めて全国ストライキ訴えるなど過激化ていった軍政庁にとって行政運営上、朝鮮人登用は必要であり、過激な運動抑える治安問題解決のため、即時独立固執せずアメリカ方針理解する韓国民主党重用した。さらにアメリカ政府意向反して信託運動黙認した。ここに李承晩合流したソ連軍占領区域のみならず済州島など各地自発的に生まれた人民委員会1945年10月までに朝鮮総督府統治組織接収することも起こった朝鮮の統一志向米ソ思惑超えて進んでいたと言えるソ連1945年11月朝鮮民主党起こした曺晩植接触し信託統治容認求めたが容れられなかったため、代わりに朝鮮共産党北部分局トップに過ぎなかった金日成支援回ったソ連正式な後ろ盾得た金日成によってその後国内の他の共産主義者たちは時間をかけて粛清されていく。 アメリカソ連は、1946年1月16日からの予備会談経て独立国家建設準備するための米ソ共同委員会設置したが、李承晩などが反信託運動とともに反共反ソ激しく主張したソ連アメリカ李承晩らの排斥訴えたが、アメリカは反信託よりも反共重視して聞き入れずお互い姿勢非難して対立5月6日委員会決裂。信託統治案は頓挫した

※この「信託統治案」の解説は、「朝鮮戦争」の解説の一部です。
「信託統治案」を含む「朝鮮戦争」の記事については、「朝鮮戦争」の概要を参照ください。

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