伏見版木活字
主名称: | 伏見版木活字 |
指定番号: | 64 |
枝番: | 0 |
指定年月日: | 1992.06.22(平成4.06.22) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 歴史資料 |
ト書: | |
員数: | 52320個 |
時代区分: | 江戸 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 円光寺は、閑室元佶【かんしつげんきつ】(一五四八-一六一二)を開山とする臨済宗寺院である。元佶は肥前の人、若くして足利学校に学び、第九代の庠主【しようしゆ】(校長)となった。豊臣秀吉の小田原攻めの後、豊臣秀次に従って上洛し、秀次の死後は徳川家康に仕えた。家康の側近として、寺社行政と外交文書の起草に当たると共に、慶長六年(一六〇一)には家康の命により京都伏見に学校の役割をもつ円光寺を創造した。また家康から木活字を下賜され、『孔子家語【こうしけご】』『三略【さんりやく】』『貞観政要【じようがんせいよう】』等の漢籍の出版を行った。これらの書物は、現在「伏見版」として知られる。 今回指定した木活字は円光寺に伝来したもので、伏見版書籍の印刷に用いられた活字を主体として、一部補刻の活字等を交えて、五二〇〇〇個余が残されている。活字は本文用活字、割注用活字、片仮名活字、記号類等からなり、サクラ材に文字を彫刻している。本文用活字と割注用活字は、文字面を深く彫り込み磨滅の進んだものと、文字の彫りが浅く磨滅の少ないものに大別される。前者は、伏見版書籍の印刷に用いられたもので、元禄五年(一六九二)の当寺の由緒書に「植字之判木十万字、書物弐百部拝領、今に所持仕り候」とあるものに該当する。後者は、江戸時代後期の文化年間(一八〇四-一八一八)に当寺の活字を用いて出版を行ったことがあり、その際に新刻補充されたものと考えられる。 家康の出版事業関係の文化財としては、すでに駿河版活字【するがばんかつじ】(凸版印刷株式会社所有)が重要文化財に指定されているが、当寺伝来の活字は制作年代がこれを遡るもので、わが国出版文化史上価値が高い。 附とした摺刷盤二面は、厚板に匡郭【きようかく】(枠)をはめこんだもので、活字や罫線を配列して印刷を行った痕跡が認められる。活字版印刷の実態を示す資料として、併せて保存を図ろうとするものである。 |
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