今井八九郎北方測量関係資料

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今井八九郎北方測量関係資料

主名称：	今井八九郎北方測量関係資料
指定番号：	128
枝番：	0
指定年月日：	2004.06.08(平成16.06.08)
国宝重文区分：	重要文化財
部門・種別：	歴史資料
ト書：
員数：	84点
時代区分：	江戸
年代：
検索年代：
解説文：	蝦夷地【えぞち】松前藩の測量師、今井八九郎（一七九〇～一八六二）の手になる、蝦夷地を中心とした北方地域の測量図および関係資料である。 　今井八九郎、名は信名【のぶかた】、不山【ふざん】と号した。松前藩の下級藩士の家に生まれ、松前奉行所同心として召し抱えられた際、松前奉行所にあった間宮林蔵から伊能忠敬流の測量術を学んだ。文政四年（一八二一）には、松前藩復封に伴い松前藩に召し抱えられた。 　文政十一年、八九郎は藩命により蝦夷地全域の測量を命ぜられ、東蝦夷地十勝から襟裳岬までを実測し、以後、天保五年（一八三四）まで東西蝦夷地沿岸および奥尻、利尻、礼文などの島嶼部を、同六年には北蝦夷地（樺太）を測量した。同七・八年は国後【くなしり】、色丹【しこたん】、択捉【えとろふ】南西部、九年には択捉北東部、歯舞【はぼまい】諸島の測量を終えている。嘉永二年（一八四九）には福山近隣の測量を行った。また、安政元年（一八五四）、堀織部正【ほりおりべのしょう】とともに北蝦夷に至り、その命により樺太最北端に近いバンゲ（現エリザベート岬付近）に渡った。安政五年には再び福山近隣の測量を行っている。 　今井八九郎の測量は交会法や道線法により、測点には針を穿って地図を作成する伊能流の作図法である。 　本資料の絵図・地図類は実測に基づいて作成された原図とそれを透写した製図とに大きく分けられる。原図は三万分一の縮尺、全一八鋪で作成された「蝦夷地測量原図」、製図は一二万分一の縮尺で全三鋪の「蝦夷地測量製図」で代表される。 　今井の北方図は、伊能忠敬や間宮林蔵が測量できなかった地域、とりわけ利尻、礼文、奥尻等の島嶼部と、歯舞諸島、色丹、国後、択捉などにおいて優れた成果をみせている。これらの地図に付されたアイヌ語の地名表記もきわめて豊富かつ正確であり、また樺太北部におけるロシア人の行動を伝聞した「北蝦夷地ホロコタンより奥地見聞風説書」で代表される文書・記録類も興味深い。また数は少ないが「紙製小方儀【しょうほうぎ】」などの測量具類も残されている。なお、附の『今井信名経歴一斑』は大正三年に東京帝室博物館へ納めるにあたって次子今井徽【よし】が父親の経歴を略述したものである。 　今井が藩に納めた数多くの上呈図は戊辰戦争で灰燼に帰したが、控として今井家に残されていた本資料によりその業績を知ることができる。本資料は近年修理が終了し公開が可能となったもので、松前藩士が作成した北方地域の実測図として高く評価されるばかりか、伊能流の測量術に基づいて作成された北方地図の最後を飾るものとして、わが国地図史上貴重である。

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歴史資料：

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