他の共有者への移転
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/02 19:39 UTC 版)
「相続人の不存在」の記事における「他の共有者への移転」の解説
共有持分について相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、まず、民法958条の3が優先して適用され、その持分は特別縁故者に対する財産分与の対象となり、この財産分与がされないときに民法255条によって他の共有者に帰属することとなる(最判平元・11・24民集第43巻10号1220頁)。 登記の目的(不動産登記令3条5号)は、「亡A相続財産持分全部移転」のように記載する。 登記原因及びその日付(不動産登記令3条6号)は、民法第958条の3第2項に規定される申立て期間満了日の翌日(特別縁故者からの申立てがない場合)又は申立てを却下する審判が確定した日の翌日(申立てはあったが却下され、確定した場合)を日付とし、「平成何年何月何日特別縁故者不存在確定」と記載する(1991年(平成3年)4月12日民三2398号通達)。ただし、当該原因日付は各種公告や申立ての必要期間を勘案し、被相続人の死亡の日から13か月を経過していなければならない(同先例)。 登記申請人(不動産登記令3条1号)は、持分を得る他の共有者を登記権利者とし、相続財産法人を登記義務者として記載する。単独申請をできる規定が存在しないので、共有者と相続財産管理人の共同申請により行う(不動産登記法60条)。 添付情報(不動産登記規則34条1項6号、一部)は、登記原因証明情報(不動産登記法61条・不動産登記令7条1項5号ロ)、登記義務者の登記識別情報(不動産登記法22条本文)又は登記済証及び書面申請の場合には印鑑証明書(不動産登記令16条2項・不動産登記規則48条1項5号及び同規則47条3号イ(1)、同令18条2項・同規則49条2項4号及び同規則48条1項5号並びに同規則47条3号イ(1))、登記権利者の住所証明情報(不動産登記令別表30項添付情報ロ)、代理権限証明情報(不動産登記令7条1項2号)である。 相続財産法人名義への登記名義人表示変更登記の際に交付された登記済証は権利に関する登記済証ではないので、当該他の共有者への移転登記の申請に使用することはできない(登記研究563-127頁)。なお、相続財産法人が登記義務者となる場合、相続財産管理人が家庭裁判所の権限外行為許可書(民法第953条・第28条参照)を添付すれば、登記識別情報の提供は不要である(登記研究606-199頁)。 印鑑証明書は、相続財産管理人のものを添付する。 登録免許税(不動産登記規則189条1項前段)は、不動産の価額に移転する持分の割合を乗じて計算した金額(登録免許税法10条2項)の1,000分の20である(登録免許税法別表第1-1(2)ハ)。 なお、端数処理など算出方法の通則については不動産登記#登録免許税を参照。
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