事件後の顛末とは? わかりやすく解説

事件後の顛末

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/25 09:35 UTC 版)

嶋中事件」の記事における「事件後の顛末」の解説

1961年昭和36年2月3日、この事件に関して第38回国会参議院西郷吉之助議員緊急質問し、当局警備の手落ち指摘国家公安委員会委員長安井謙は、右翼団体抗議中央公論社本社集中していたためにそちらに警備重点を置き、社長宅の警戒が十分ではなかったことを暗に認めた前年12月前国会で浅沼事件対する「暴力排除に関する決議案」を可決させたばかりであったが、同様の事件発生により、さらに6月政治的暴力行為防止法案成立目指すことになるが、これは衆議院通ったものの、参議院では野党との協議不調により閉会までに成立せず廃案となった2月4日中央公論社犠牲となった家政婦息子社員だった)の葬儀社葬行った2月5日中央公論社社告で「言論の自由」を呼びかける一方で、『風流夢譚』を掲載不適当な作品であった反省して皇室一般読者お詫びし、事件端緒となったことを遺憾とする「ご挨拶」を、同社名義新聞に出すという混乱見せた言論の自由守れというジャーナリズム掛け声賛同するように見せながら、実際的に皇室報道自主規制大きく舵を切っていた。 2月6日には、事件前提出されていた辞表受理され竹森前編集長が退社した一方で会社には事件前よりもさらに右翼押しかけるようになり、佐郷屋留雄社内椅子振り回して暴れるなどした。 同日深夜には作者深沢七郎記者会見開いて涙を流しながら謝罪した深沢は「下品なコトバ」を小説使い悪かった思います」と述べて護衛刑事供に姿を消した深沢右翼襲撃避けるためにホテル潜伏した後、北海道広島県など各地転々として、1965年昭和40年)まで5年間、放浪生活余儀なくされ、そのイメージからいつしか放浪作家」と呼ばれるようになった大江健三郎にも同様にしばらくは警護つけられるようになった2月7日社告否定し、嶋中社長名義で新聞改めて「お詫び」だけを掲載した中央公論3月号にも同様のものが掲載された。被害者であるはずの同社謝り続けるという一連の姿勢に対して疑問の声も上がったが、『戦後右翼勢力』を執筆した堀幸雄によれば福田恆存保守派論客)、田中清玄フィクサー)、畑時夫(民論社)、進藤次郎大阪朝日新聞編集局長)と、嶋中社長の合いで、中央公論社編集方針を「中正に戻す」条件呑んだからだという。堀は「右翼介入右翼調停によって『中央公論』の言論抑圧されそれだけでなく「タブー」が再現された」と批判している。これらの経緯一因で、その後中央公論社発生した労働争議長期わたって続くことになり、1999年平成11年)の読売新聞社への身売りもたらす同社業績低下はここに始まったとされる他方で、事件により言論表現の自由暴力脅かされたとして、抗議ビラ配布し右翼暴力取り締まるよう国会要請していた日本出版労働組合協議会などのマスコミ系の労働組合中心となって2月8日日比谷公会堂で「テロ抗議し民主主義を守る会」が開催され、「言論・出版の自由を守る文化団体連絡会」が結成された。 ところで、右翼中でも事件の評価については意見分かれていた。浅沼事件とは違って少年が「一人一殺」に失敗したことと、無関係女性殺傷させたこと、そして何よりも、「おそるべき右翼凶刃のもとで、けなげに最後まで御主人をかばいながら、ついに母として生涯無惨に終わられた」といった、被害者家政婦対す国民同情集まったためである。全日本愛国者団体会議全愛会議)は婦女子死傷させたとして少年行為否定し大日本愛国団体連合時局対策協議会(時対協)は「行為は非とするも精神是とする」との立場をとった。

※この「事件後の顛末」の解説は、「嶋中事件」の解説の一部です。
「事件後の顛末」を含む「嶋中事件」の記事については、「嶋中事件」の概要を参照ください。

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