ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調悲愴とは? わかりやすく解説

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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調「悲愴」

英語表記/番号出版情報
ベートーヴェンピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調悲愴Sonate für Klavier Nr.8 c-Moll "Pathetique" Op.13作曲年: 1797-98?年  出版年1799年  初版出版地/出版社Hoffmeister 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1楽章 1.Satz Grave-Allegro molto e con brio 8分30秒
2 第2楽章 2.Satz Adagio cantabile 5分00
3 第3楽章 3.Satz Rondo-Alleg4分30秒

作品解説

2009年2月 執筆者: 岡田 安樹浩

悲愴」のタイトル知られるこのソナタは、諸説あるものの、最近の研究では1797年から98年ごろに完成されたものとされている。
初版ウィーン出版社エーダーから「Grande Sonate Pathetique」のタイトル1799年出版されているが、自筆譜消失してしまった。
遅いテンポ序奏付きソナタは、一見するとベートーヴェン新たな一歩のようにも思えるが、このようなアイデアは既に《選帝侯ソナタ第2番》WoO.47-2にみられるまた、これより少し前にロンドン出版されクレメンティの《ソナタ》Op.34-2に遅い序奏とそれを展開素材として利用していることを指摘する研究者もいるが、ベートーヴェンがこれを知っていた可能性は低い。この事実は、同時期にソナタ」という形式的枠組みにおいて、似通った試みが行われた例としてとらえるべきであろう。それと同時にベートーヴェンをもってこのジャンル発展を代表させようとする見方がいかに危険なのであるかを暗に示唆しているようにも思える

第1楽章ハ短調 4分の4拍子/2分の2拍子 序奏付きソナタ形式
[序奏部]
Grave序奏フォルテ・ピアノfp)の指示によってディナーミクコントラスト追求されている。音の持続性優れた現代ピアノでは、この表現はほとんど不可であろう和音付点リズムによる動機のソプラノ・ライン(2小節単位でハ→ヘ→ハ)と、変イ到達してからの急速な落下音型は、主部における主要主題動機通じており、付点リズム動機発展した後、急速な半音階下降経て主部突入する

[提示部]
主要主題(第11小節~)は、オクターヴのトレモロ・バスの上和音上行(ソプラノ・ラインはハ→ホ→ヘ→ト→変イ→ロ→ハ)と下降(ハ→ト→変ホ→ニ→ハ)。既に述べたように、主要主題構成する動機となる音は、序奏部動機対応している
主題反復して確保されたのち、属和音分散和音落下音型、主要主題発展的あつかいによる推移経て副次主題(第51小節~)が変ホ短調平行調の同主短調)で提示される中音域の属保続音の上下にあらわれ動機変ロ変ホ→ヘ→変ト)は、後に第3楽章の主要主題してあらわれる。
変ホ長調による経過的な第2の副次主題(第89小節~)を経て、コデッタでは主要主題変ホ長調回想される。
主部反復記号によってリピートされるが、いくつかの版ではこの反復冒頭序奏部含んでいるが、初版譜と同時代諸版では主部のみの反復である。

[展開部再現部]
まず序奏部Graveト短調回想され、次に主要主題ホ短調あらわれる。続いてオクターヴ・トレモロの保続音上声部に移り、下声部で主要主題要素展開されると、今度ハ短調転じバスに属保続音のオクターヴ・トレモロをともなって主要主題発展する。8小節移行経て再現部到達する
再現部(第195小節~)では、1つ目の副次主題(第221小節~)がヘ短調再現され2つ目の副次主題ハ短調再現される
コーダ(第295小節~)において序奏Graveが再びあらわれるが、和音省略され付点リズムのみとなっている。もう一度主要主題あらわれて楽章閉じられる

第2楽章変イ長調 4分の2拍子
Adagio cantabileの緩叙楽章。主要楽章ハ短調にたいして長3度下の変イ長調とるのはベートーヴェン常套手段である。
アリオーソ風の上声とバス声部の間を16分音符和声的ささえている主題によって開始されるハ短調楽句(第17小節~)を挟み変イ長調主題回帰した後に、変イ短調主題提示される(第37小節~)。3連音符による和音刻み基調としたこの主題は、異名同音への読み替えによってホ長調転じる
再び冒頭主題伴奏型を3連音符変えて回帰して(第51小節~)この楽章閉じる。

第3楽章ハ短調 2分の2拍子 ロンド・ソナタ形式
本来はヴァイオリンピアノデュオのためにスケッチされていたが、最終的にソナタフィナーレ楽章となった
分散和音伴奏の上に、いかにも単音楽器の旋律思わせる主題提示される変ホ長調による副次主題(第25小節~)を挟みロンド主題回帰する(第62小節~)。今度変イ長調対位法的な楽想あらわれる(第79小節~)。
この後ソナタ形式的な再現部がおかれ、ロンド主題ハ短調あらわれた後(第121小節~)、副次主題ハ長調再現される(第134小節~)。
いま一度ロンド主題あらわれると(第171小節~)、これが副次主題の3連音符要素発展してコーダ形成する変イ長調がほんのひと時顔をのぞかせるが、3連音符下降音型によってハ短調楽曲締めくくる




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