ソナタ形式とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > ソナタ形式の意味・解説 

ソナタ‐けいしき【ソナタ形式】

読み方:そなたけいしき

器楽形式の一。通例二つ主題対比的用い主題の提示・展開・再現3部から構成されるソナタ交響曲第1楽章などに用いられる


ソナタ形式 [sonata]

古典派19世紀交響曲ソナタにおいて、特に第1楽章用いられ形式標準のソナタ形式は、提示部展開部再現部という3つの部分からなる

ソナタ形式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 02:17 UTC 版)

ソナタ形式(ソナタけいしき、: sonata form: Sonatenform)とは、楽曲形式の一つ[1] で、構成は基本的に、序奏・提示部・展開部・再現部・結尾部からなり、二つの主題が提示部・再現部に現れる。古典派の時代に大きく発展した。


注釈

  1. ^ (多楽章)ソナタ全体の形式とは異なる。緩徐楽章や中庸なテンポの楽章にも用いられる[2]が、シェーンベルク『作曲の基礎技法』においては「ソナタ形式、ソナタ・アレグロ形式、または第1楽章形式などと、さまざまに言われる」と前置きした上で、基本的にソナタ・アレグロ形式という呼称を採用している(山県茂太郎、鴫原真一訳。215-216頁)。
  2. ^ ほかにはダ・カーポ・アリアやリトルネッロ形式などが関連する。
  3. ^ 一般には「回帰」「円環」("rounded")二部形式と呼ばれる。三部形式とみなされることもあるが、繰り返しの構造や、第一部が主調で終止しない("open tonal plan")ことで区別される[4]
  4. ^ ただし教科書的な定型は一切なく[3]チャールズ・ローゼンは、「18世紀のほとんどの間、ソナタ形式は独立した明確に定義できる形式としては存在しない」と述べている[6]
  5. ^ この時期までにソナタ形式に言及した理論家には、ヨゼフ・リーペル英語版ハインリヒ・クリストフ・コッホドイツ語版などがいる[3]
  6. ^ マルクスのほかには、E.T.A.ホフマンアントニーン・レイハカール・チェルニーなどによる記述がある[7][9]
  7. ^ 特に、調性ではなく主題の対比を強調したことが批判されている。ニューグローヴ世界音楽大事典はソナタ形式を、「調構造、各区分や終止の(Cadential)組み立て、音楽素材の配列や展開を総合した」「原理」と定義している[2]
  8. ^ モーツァルトのピアノソナタ第16番第1楽章、シューベルトの交響曲第5番第1楽章、ベートーヴェンの序曲「コリオラン」などの例がある。
  9. ^ チャールズ・ローゼン 『ソナタ諸形式』 福原淳訳 p.72では「馬鹿げている(...)この形式のソナチネを少なくとも私は知らない」との説明があり、「緩徐楽章形式」との呼称を提案している。
  10. ^ チャールズ・ローゼンはソナタ諸形式日本語版のP.420で、ショパンのこの例外的な発想へ「ワルシャワでは、ソナタについてのあまり明確な概念が持たれていなかった」と論じている。この作品は再現部ですら主調の2度下の調で始まる。
  11. ^ 提示部は第1主題がホ短調で第2主題は同主調のホ長調、再現部では第1主題はホ短調だが第2主題は平行調であるト長調になり、コーダで開始部と同様のホ短調に戻る。短調における提示部の平行調と再現部の同主調の原則を逆転させた例。

出典

  1. ^ Teaching Classical Form:Strict Categories vs. Flexible Analyses William E. Caplin 著 2018年7月8日閲覧
  2. ^ a b Webster 2001, p. 687-688.
  3. ^ a b c d e Wolf 2003a, pp. 800–801.
  4. ^ a b c Wolf, Eugene K. (2003), “Binary and ternary Form”, in Randel, Don Michael, The Harvard Dictionary of Music (4th ed.), Harvard University Press, pp. 100-102 
  5. ^ a b Webster 2001, p. 691.
  6. ^ チャールズ・ローゼン 著、福原淳 訳『ソナタ諸形式』アカデミア・ミュージック、1997年、16頁。 
  7. ^ a b c d e Wolf 2003a, pp. 801–802.
  8. ^ Webster 2001, p. 694.
  9. ^ a b c Webster 2001, p. 696-697.
  10. ^ Webster 2001, p. 695.
  11. ^ a b 西原稔 (1990), “A.B.マルクスのソナタ形式理論とその歴史的な意義――19世紀のソナタ形式の社会的機能”, 桐朋学園大学研究紀要 (16): pp. 33-56 . 41-43頁。
  12. ^ a b 沼野雄司『ファンダメンタルな楽曲分析入門』音楽之友社、2017年、63-65頁。 
  13. ^ Webster 2001, p. 696.
  14. ^ 「ブルックナー研究」レオポルト・ノヴァーク、樋口隆一訳 音楽之友社、2018年 およびその原本 “Über Anton Bruckner” Leopold Novak, Musikwissenschaftlicher Verlag Wien, 1985
  15. ^ 「ブルックナー交響曲」ハンス=ヨアヒム・ヒンリヒセン、高松佑介訳 春秋社



「ソナタ形式」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ソナタ形式」の関連用語

ソナタ形式のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ソナタ形式のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ヤマハミュージックメディアヤマハミュージックメディア
Copyright(C) 2000-2024 YAMAHA MUSIC MEDIA CORPORATION. All Rights Reserved.
ヤマハミュージックメディア音楽用語ダス
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのソナタ形式 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS