提示部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/09 23:45 UTC 版)
提示部(ていじぶ、英・独: Exposition)では、二つの主題が提示される。一つ目の主題を第一主題といい、これは主調で書かれる。二つ目の主題を第二主題といい、第一主題が長調の場合は属調、短調の時には平行調で書かれているのが一般的である。 特に規模の大きなソナタでは第一主題から第二主題に向かう間に、第二主題への転調等を行う移行部(推移部)が存在することも多い(特にモーツァルトはこの移行部にも新たな素材を導入し、一見主題が三つあるかのような提示部を書いていることも多い。また、ベートーヴェンのソナタでも多く見られ、この主題を推移主題とよばれる)。この移行部によって第二主題の準備がなされる。 さらに、第二主題の後に終結部(codetta)が置かれることも多い。ここでまた新たに終結主題が提示されることが多い。そして属調のまま提示部の終結に向かう。 第二主題は第一主題に対して調を変えるのみならず、その主題としての性格を対照させていることが多い。第一主題が激しいものであれば、第二主題は穏やかな曲調のものをおく。また、第一主題と第二主題の間に動機的関連を持たせるものも多い。 独奏協奏曲では(#協奏ソナタ形式)、特に初期のもので、提示部の繰り返しが1回目と2回目で異なり(当然反復記号は使われない)、1回目はオーケストラだけで演奏され第二主題も主調で奏されるようになっているものがある(2回目は独奏楽器が入り、通常の提示部となる)。 近代では第二主題に加えて、第三主題が加わる場合もある(古典派にもその例は見られる)。そして調も平行調の属調や半音下の調のように自由な調で表現されている。
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提示部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 07:43 UTC 版)
フーガの大きな特徴は、カノン同様、同じ旋律が複数の声部に順次現れるということである。この部分を主題提示部(英・仏: exposition)、または単に提示部、主部と呼ぶが、これには次のような原則がある。 最初に一つの声部が旋律(フーガでは最初の声部のそれを主唱(英:subject、仏:sujet、伊:soggetto)という)を提示する(そのあと、結句(coda、codetta)と呼ばれる短い自由な経過句が挿入されるのが普通である)。 主唱が終わったら、別の声部で主唱を繰り返す。これを応唱(英:answer、仏:réponse)という。このとき、基本的に全体を5度上げるないし4度下げる(正応)。ただし、その中で、属音は、原則として5度上げずに4度上げて(ないし5度下げて)主音にする(変応(へんのう))。これは、主音と属音を入れ替えることが求められるためである。応唱が始まったら、最初の声部ではやや遅れて別の旋律を演奏する。これを対唱(英:countersubject、仏:contre-sujet)という。 3声以上ある場合には、第3の声部で主唱を演奏する。まれに応唱を演奏することがある。第2の声部で、対唱を演奏する。対唱は、主唱(応唱)に合わせて変化させられる。 最初の声部は自由唱となる。 4声以上ある場合には、第4の声部で応唱を演奏する。しばしば主唱を演奏することがある。第3の声部で、対唱を演奏する。対唱は、応唱(主唱)に合わせて変化させられうる。 第1、第2の声部は自由唱となる。 以下、すべての声部で主唱もしくは応唱を演奏する。 このようにして、提示部が形成される。提示部は一つのフーガの中に異なる調で数回現れる。
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