ハーデースとは? わかりやすく解説

ハデス

別表記:ハーデス、ハーデース
英語:Hades

「ハデス」とは、ギリシア神話における「冥界死者の国)を支配する神」の名称である。あるいは、ハデスが支配する国という意味で「冥界」の別名でもある。

ハデスは冥界王として君臨する存在とされた。いわば冥界における最高神であり、「地下ゼウス」の異名を持つ。ギリシア神話すべての神々中でも最高神ゼウス海神ポセイドンに次ぐ実力を持つ「最強クラスの神」の一柱とされる

ギリシア神話神々は、ローマ神話神々と、ほぼ1対1対応するギリシア神話の「ハデス」は、ローマ神話における冥王プルート」に対応する

「ハデス」の概要

ギリシア神話における「ハデス」は、死を司る冥府の神である。農耕の神クロノス大地女神レアの子であり、ゼウスポセイドンとは兄弟関係にある。しかも長兄である。

ハデスはペルセポネーを妻とした。地上から連れ去るようにして強引に娶ったとされる以後ペルセポネー冥界女王として君臨した

ハデスは死者の神であり、すべての死者受け入れる神として崇められた。死者の神として恐れられる存在でもあったため、他の神々ほどは熱心に信仰されにくかったとされる

ギリシア神話において特に実力人気の高い12神々は、オリュンポス山坐すとされ、「オリュンポス十二神」(神12)と呼ばれるが、ハデスは冥界坐す神であるためオリュンポス十二神には基本的に含まれない。ただしハデスをオリュンポス十二神1柱とする伝承がないわけではない

ハデスは元来純真無垢性格であったが、ティタンたちとの戦いティタノマキア)に勝った後のくじ引きによって「冥府支配者」という役職与えられたことにより、陰気冷酷な性格になったとされる戦死者の血を飲み干すとも伝えられ人々から畏怖された。

現代の創作において神の名にちなんキャラクター案出されることも多いが、その中で「ハデス」の名を持つキャラクターは、「冥府の神」「死を司る存在」といったイメージ手伝ってか、悪役の強キャラとして描かれる傾向があるといえる

「ハデス(ビデオゲーム)」

ゲームのタイトルとしての「ハデス」は、Supergiant Games開発したローグライク・アクションRPGである。ギリシア神話モチーフとしている。プレイするたびにダンジョン様相入手できるアイテム変化するため、周回プレイ飽きず楽しめる

「ハデス(映画のキャラクター)」

映画キャラクターとしての「ハデス」のうち、特に知られているのは、1997年公開されディズニーアニメーション映画ヘラクレスHercules)」に登場するキャラクターであろう同作品はギリシア神話題材としており、ハデスは死者の国を治める神(悪役)として登場するヘラクレス敵対する悪役ではあるが、コミカルな役回りには人気があり、愛されキャラでもある。

ハーデース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/20 06:40 UTC 版)

ハーデース古希: ΑΙΔΗΣἍιδης[1])は、ギリシア神話冥府日本語では長母音を省略してハデスとも呼ばれる。クロノスレアーの子で、ポセイドーンゼウスの兄である。妻はペルセポネー。その象徴は豊穣の角及び水仙糸杉[2]。ポセイドーンと同じくとも関連がある[3]


注釈

  1. ^ 「ギリシア神話の代表的な神々は、アテーナイパルテノン神殿小壁の彫刻にある十二神である。ハーデースはオリュンポス十二神に属してはいないが、ゼウス、ポセイドーンに次ぐ主要な神の1柱である。「十二神」は図式化が行われており、述べる者の立場でいくらかの入れ替わりがある(Classical Dictionary, p.1301, religeon, Greek, Gods and other cult figures)
  2. ^ 『デーメーテール讃歌』37-39頁。および89頁、訳注98「オウィディス『変身物語』五巻では、ペルセポネーは庭園を散歩しているとき、みずからの意志でザクロの実を7粒食べたとされる」。
  3. ^ 古代ギリシア人は1年を3つの季節に分けていたともされる。冬の季節をハーデースの許で、残りの春と夏を母親などと暮らすことになる。
  4. ^ 『デーメーテール讃歌』41頁。および103頁、訳注103「オウィディウス『変身物語』五巻では、一年の半分の六ヶ月を天界で、残り六ヶ月を冥界で暮らすとされる」。

出典

  1. ^ 古代ギリシア語ラテン翻字: Hādēs
  2. ^ フェリックス・ギラン『ギリシア神話』223、252頁
  3. ^ マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル『ギリシア・ローマ神話事典』404頁
  4. ^ 『図説ギリシア神話 【神々の世界】篇』109頁
  5. ^ 古代ギリシア語ラテン翻字: Hāidēs
  6. ^ 古代ギリシア語: Ἀΐδης古代ギリシア語ラテン翻字: Aidēs
  7. ^ 古代ギリシア語: Ἀϊδωνεύς古代ギリシア語ラテン翻字: Aidōneus
  8. ^ 古代ギリシア語: Πλούτων古代ギリシア語ラテン翻字: Plūtōn
  9. ^ 古代ギリシア語: Κλυμένος古代ギリシア語ラテン翻字: Klymenos
  10. ^ 古代ギリシア語: Εὐβουλέυς古代ギリシア語ラテン翻字: Eubūleus
  11. ^ 『ギリシア・ローマ神話辞典』190頁
  12. ^ アポロドーロス『ギリシア神話』第1巻、I:6
  13. ^ アポロドーロス『ギリシア神話』第1巻、II:1
  14. ^ 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』190頁
  15. ^ 『図説ギリシア神話 【神々の世界】篇』18、23頁
  16. ^ 『デーメーテール讃歌』17頁
  17. ^ 『ギリシア神話』第1巻、V:1
  18. ^ 『ギリシア・ローマ神話辞典』165頁
  19. ^ 『悪魔のダンス』142頁
  20. ^ 『デーメーテール讃歌』30-35頁
  21. ^ アポロドーロス『ギリシア神話』第1巻、V:1:3
  22. ^ 『デーメーテール讃歌』88頁、訳注98「参照、オウィディウス『変身物語』五巻、同『祭暦』四巻」
  23. ^ アポロドーロス『ギリシア神話』第1巻、V:3
  24. ^ 『早わかりギリシア神話』58頁


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