ヘルメス
英語:Hermes
「ヘルメス」とは、ギリシア神話に登場する、商業や学問を司る神の名である。最高神ゼウスの子であり、オリュンポス十二神の1柱。空を飛び、神の伝令役をつとめたとされる。奔放な性格のトリックスターとして描かれ、多くの逸話に登場する。
ギリシア神話の神々はローマ神話の神々と1対1で対応し、同一視されることが多い。ギリシア神話のヘルメスは、ローマ神話の「メルクリウス(マーキュリー)」と同一視される。
いわゆるハイブランドの「エルメス(Hermès)」は、ヘルメス(Hermes)のフランス語読みに当たるが、エルメスは創業者の姓に由来する名称である。ギリシア神話の神の名に因んだわけではない。
「ヘルメス」の基本的な意味
ギリシア神話に登場する「ヘルメス」は、全知全能の最高神ゼウスと女神マイアの間に生まれた子である。ちなみにマイアはプレアデス姉妹の長女である。ゼウスは「伝令の神」を作るために、正妻ヘラに知られぬようマイアと逢瀬し、ヘルメスをもうけたとされる。ゼウスがヘラの目を盗んでマイアのもとへ向かうことで、ヘルメスには泥棒の才能が宿り、またマイアと逢引したことをヘラには隠し通すことでヘルメスには嘘の才能が宿ったとされる。
ヘルメスが持つ泥棒の才能や嘘の才能は、ゼウスによって意図的にもたらされたとされる。ヘルメスは生まれてすぐにアポロンの所有する牛を盗み、その事実を隠し、咎め立てられてもしらを切り通そうとしている。
ヘルメスはやがてゼウスの使いとして伝令や参謀を務めた。
ヘルメスは「タラリア」と呼ばれる有翼の履き物を身につけた姿で描かれることが多い。タラリアを履くことで空を飛ぶことができたという。「有翼の靴」そのものがヘルメスの象徴として単独で描かれることもある。
「ヘルメス(リキュール)」とは
酒類の「ヘルメス」は、サントリー(SUNTORY)が販売する洋酒のブランドである。蒸留酒やリキュールの名称として用いられている。1936年(昭和11年)に発売された「ヘルメス ドライジン」は、輸入に頼らない国産の本格的なジンであり画期的だった。
酒類の分野における「ヘルメス」または「エルメス」の名称は、サントリーホールディングス株式会社の登録商標である。
「ヘルメスソース(調味料)」とは
「ヘルメスソース」は、石見食品工業所が製造販売するソースのブランドである。ウスターソース、とんかつソース、やきそばソース等のラインアップがある。ヘルメスソースは自然で豊かな風味が特徴のソースである。家族経営で製造工程全般を手作業により行っているため、生産量が少ない。そのせいもあって全国的な知名度こそ低いが、「知る人ぞ知る」大阪のソースとして根強い人気がある。
ソースにおける「HERMES」および「ヘルメスソース」「HERMES SAUCE」の名称は、石見食品の代表・坂井一喜の商標登録である。
ヘルメース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/05 08:27 UTC 版)
ヘルメース(古希: Ἑρμῆς、古代ギリシア語ラテン翻字: Hermēs)は、ギリシア神話に登場する青年神である[1]。長母音を省略してヘルメスとも表記される[1]。
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル 『ギリシア・ローマ神話事典』 大修館書店
- ^ a b c d e Grassi 2022, p. 102.
- ^ a b Bungard 2009, p. 2.
- ^ EDP 2023a, p. 「万物流転」.
- ^ 瀬戸 & 投野 2023, p. 「mercury」.
- ^ a b Weblio 2022, p. 「Hermes」.
- ^ 竹林 2002, p. 1150.
- ^ 平凡社 2022, p. 「ヘルメス」.
- ^ a b 秋山 2009b, pp. 359–360.
- ^ a b 秋山 2009a, p. 470.
- ^ キャンベル 2004, pp. 176–177.
- ^ a b キャンベル 2004, p. 248.
- ^ a b c キャンベル 2004, p. 230.
- ^ a b c Friedlander 1992, p. 41.
- ^ EDP 2023b, p. 「錬金術」.
- ^ 米田 2022, p. 「ヘルメス・トリスメギストス」.
- ^ 呉茂一 『ギリシア神話(上)』 新潮社〈新潮文庫〉、昭和54年、233頁。
- ^ a b c d e f フェリックス・ギラン 『ギリシア神話』 中島健訳、青土社、1991年、107-118頁。
- ^ a b 呉茂一 『ギリシア神話(上)』 新潮社〈新潮文庫〉、昭和54年、232頁。
- ^ 沓掛良彦 『ホメーロスの諸神讃歌』 筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2004年、274頁。
- ^ ミルチア・エリアーデ 『世界宗教史2』 松村一男訳、筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2000年、148頁。
- ^ 沓掛良彦 『ホメーロスの諸神讃歌』 筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2004年、275頁。
- ^ アントワーヌ・フェーブル 「ヘルメティズム」 『エリアーデ・オカルト事典』 法蔵館、2002年、103頁。
- ^ セルジュ・ユタン 『錬金術』 有田忠郎訳、白水社、1972年、44頁。
- ^ Lipsitt 2017, p. 413.
- ^ a b 柴田 2009, p. 635.
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