ナザレのイエスとは? わかりやすく解説

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ナザレのイエス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/19 01:17 UTC 版)

ナザレのイエス古典ギリシア語Ἰησοῦς ὁ Ναζαρηνός〈Iēsūs ho Nazarēnos〉, 古典ラテン語Iesus Nazarenus, 紀元前6年から紀元前4年[* 1] - 紀元後30年[1])は、紀元1世紀パレスチナユダヤの地、とりわけガリラヤ周辺で活動したと考えられている[9]人物である。専門家の用語として史的イエス (英語historical Jesus) とも言う[10]


注釈

  1. ^ 誕生日は不明。『福音書』にも言及がない(八木谷 2016, p. 47. および イエス・キリストが12月25日に生まれたという記述は…”. 国立国会図書館サーチ. 国立国会図書館. 2019年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月30日閲覧。)。
  2. ^ a b 例として少し後の時代になるが、(第一次)ユダヤ戦争について書いたフラウィウス・ヨセフスの『ユダヤ戦記』には本編部分のみで「反乱軍の地方指揮官だったイエス」、「反乱軍の初期のまとめ役だった元大祭司のイエス」、「エルサレム神殿炎上の時に神殿の宝物や書物を持ち出して投降した祭司のイエス」の3人(時系列をさかのぼった補遺的な部位も入れると「反乱軍のまとめ役とは別の元大祭司のイエス」「ユダヤ戦争の起こる前にエルサレムで不思議な預言をして回ったイエス」の2人も)「イエス」という名の同名の別人達がでてくる。なお現代でも、スペイン語圏では「イエス」のスペイン語形の「ヘスス(Jesús)」は一般的な男性名である。
  3. ^ 十二使徒の筆頭ペトロが「ナザレのイエス」と言っている(『使徒言行録』10章38節)。パウロ回心する決定的な場面ではイエス自身が「わたしは、あなたが迫害しているナザレのイエスである」と言っている(『使徒言行録』22章8節、『新共同訳』)。ただし22章8節は『口語訳』では「わたしは、あなたが迫害しているナザレ人イエスである」となっている。
  4. ^ ただしナザレ出身であったという確実な史料はない、『福音書』でもナザレは出生場所ではなく幼少期に育った所とされている。
  5. ^ 福音書に共通して記されているのは、イエスはユダヤを救う者として民衆から待望されていた(ルカ 3:15)キリスト(メシア)だということである。マタイ 1:16, マタイ 16:20, マルコ 8:29, ルカ 2:11, ヨハネ 20:31 参照。
  6. ^ マグダラのマリア(中略)は受難伝承において常に最初におかれる」(三好 1991, p. 306. マルコ 15:47 とその並行文、マルコ 16:1 とその並行文、ルカ 24:10)。福音記者たちは男性の12使徒を主張しているが、福音書においてマグダラのマリアや帰依する女たちは、イエスの処刑に立ち会ったり復活のイエスに出会ったりと、重要な役回りを演じている(岡田 2005, pp. 4-9)。『福音書』に加えて『マリアによる福音書』などの『外典』におけるマグダラのマリアについては、岡田 2005, pp. 4-24 参照。「マグダラのマリアは、グノーシス派一般において非常に高い位置を占めている。」(荒井 1994, p. 155)。
  7. ^ 荒井 2009, p. 182 参照。
  8. ^ 山上の垂訓」は、伝えられたイエスの言葉をもとにして、『マタイによる福音書』の著者がユダヤ教旧約律法に代わる「新しい秩序(キリスト教的律法)を提示しようとしたものである」(大貫 1998b)。佐藤 1995a, p. 240 も同趣旨。また、「山上の垂訓」は『Q資料』にさかのぼるイエスの真の言葉であるとの研究(マック 1994, pp. 270-276)がある一方で、アメリカ圏のリベラル系に属すると思われる Robert W. Funk らの研究者グループ Jesus Seminar によれば、山上の垂訓の一番有名な箇所であるマタイ 5:3-5:12 の10句ですら、イエスの言葉にたどれる可能性が高いのは3句 (5:3, 5:4, 5:6), その可能性が無い訳ではないものが3句 (5:10, 5:11, 5:12) に過ぎない (Funk, Hoover and the Jesus Seminar 1997, [要ページ番号]) とされる。
  9. ^ 山谷 1961, p. 15 参照。
  10. ^ "gar hee basileia tou theou entos hyuumoon estin." (Aland, Kata Loukan 17:21〈ルカ 17:21〉). 新井 1976, p. 26 および三好 1991, p. 351 参照。
  11. ^ 十字架刑は「ローマ帝国では,奴隷の重罪者,ないしは属州の反逆者に対してのみ行なわれた処刑法.(後略)」(佐藤 1995a, 補注 p. 5)。
  12. ^ 福音書に明記されていないが、処刑はローマ帝国の法に依っている。なぜなら、ユダヤはローマ帝国の属州になっていてもある程度の自治権は残されていたことから、「特にヘロデ王に代表されるユダヤ王国に比べるとローマはよりよき支配者であり、むしろ寛大なその統治の下にあってユダヤ教は事実上公認され、宗教迫害はなかった」(新田 1980, p. 47)ので、もし「ユダヤ教当局だけがイエスを殺そうとしたのなら、石打ちにしたはずだ。」(田川 1980, pp. 352-353)からである。
  13. ^ 田川 1997, pp. 229-234 「ギリシャ語を話すユダヤ人」および真山 1991, p. 570 参照。
  14. ^ 大貫、川中子 2002, p. 643 参照。
  15. ^ 「もし福音書を現代における文学類型の中にあてはめることを許されるとすれば、それは、『歴史記述』というよりは、むしろ『歴史小説』に近いのではないかと思われる。(後略)」(荒井 1974, p. 6)。
  16. ^ Q資料」を参照。
  17. ^ 田川 1997, p. 165 参照。
  18. ^ 加藤 1999, p.77 および 田川 1997, p. 164 参照。「マルコ」については、パピアス英語版が書いた「マルコ」についての「多分最も古い記録が(中略)ある」(塚本 1963, p. 402. 引用あり)および田川 1997, p. 88 参照。
  19. ^ ヨハネのいう「悔い改め」とは道徳的な反省・懺悔という意味ではなく、生きる上での考え方、価値の基準をまったく変えてしまうことを意味する(荒井 1988, 荒井 1998)、とする。
  20. ^ 「メシアニック・ジュー(イエスを信じるユダヤ人)の誕生」(中川 1993 「二章 初期キリスト教時代の反ユダヤ主義」)参照。
  21. ^ 「仮現論と反仮現論」(大貫 1999, pp. 138-139)参照。
  22. ^ 「マニ教のイエス論にはさまざまなレベルがあるので要注意である。」(大貫 1999, p. 271)。同書 pp. 268-271 「マニ教の神話 イエスの派遣」参照。
  23. ^ 宮元 1998 参照。
  24. ^ 黒柳 1998b; 黒柳 1998a 参照。
  25. ^ 村上 1987, p. 310 参照。
  26. ^ 三島 2002 参照。

出典

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  6. ^ チャールズワース 2012, p. 334.「イエスは(中略)新しいユダヤ教セクトを起こした。」
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  9. ^ 川島
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  42. ^ この箇所は、直訳すると「福音の中で信ぜよ」となる。「福音」が対像的であるよりは、生きた空間ないしは場であることを示唆しているとする。「神の福音」はユダヤ教イエス派の定型表現とされる。『新約聖書』新約聖書翻訳委員会岩波書店P5)
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ナザレのイエス

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仁義なきキリスト教史」の記事における「ナザレのイエス」の解説

貧相な体躯ユダヤ人の王ユダヤ組系ヨハネ組のヨハネ親分親子盃を交わす。ユダヤ組のヤハウェ親分より直盃を受けたとも噂される。使徒呼ばれる十二人の舎弟を持つ。手足に釘を打たれ茨の冠乗せられた姿で刑により処刑された。

※この「ナザレのイエス」の解説は、「仁義なきキリスト教史」の解説の一部です。
「ナザレのイエス」を含む「仁義なきキリスト教史」の記事については、「仁義なきキリスト教史」の概要を参照ください。


ナザレのイエス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 05:51 UTC 版)

ノリ・メ・タンゲレ (漫画)」の記事における「ナザレのイエス」の解説

の上を歩く、パン増やし千人人々食べさせる死者を生き返らせるといったイエスの奇跡シグマ・サイ獲得している大脳工学による集団催眠依るものとされている。

※この「ナザレのイエス」の解説は、「ノリ・メ・タンゲレ (漫画)」の解説の一部です。
「ナザレのイエス」を含む「ノリ・メ・タンゲレ (漫画)」の記事については、「ノリ・メ・タンゲレ (漫画)」の概要を参照ください。


ナザレのイエス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 21:54 UTC 版)

百億の昼と千億の夜」の記事における「ナザレのイエス」の解説

キリスト教開祖イエス(ナザレのイエス)がモデルプラトン阿修羅王シッタータの3名と敵対する粗野な人物

※この「ナザレのイエス」の解説は、「百億の昼と千億の夜」の解説の一部です。
「ナザレのイエス」を含む「百億の昼と千億の夜」の記事については、「百億の昼と千億の夜」の概要を参照ください。

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