クォーターバックの位置による分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/27 09:22 UTC 版)
「アメリカンフットボールのポジション」の記事における「クォーターバックの位置による分類」の解説
ショットガン クォーターバックがセンターの後方2〜10ヤードにセットし、センターのロングスナップによってプレイを開始する隊形(ショート・パント・フォーメーションとも呼ばれた)。レシーバーの展開が、散弾銃(ショットガン)から発射された散弾が散らばる様である事から、このように名付けられた。しばしばパス中心のフォーメーションとの記述が見られるが、実際はランプレーを強調したショットガン攻撃の例も多く、一概には言えない。ランニングバックの人数を通常1人と記載している例も見られるが、2人以上のRBが同時にラインナップしているショットガン、また一人も存在しないショットガンもしばしば見られる。ロングスナップをランニングバックがダイレクトに捕球しランプレーをすることもある。 かつて、日本では日本大学フェニックス、NFLではダラス・カウボーイズの代名詞であったが、今では様々なチームで使われている。 現在のショットガンは、パスのためにスクリメージラインからの距離を確保するという最大の利点を継承しながらも、クォーターバックが前に踏み出しながらランニングバックにハンドオフするため、ランプレイのタイミングがかつてのショットガンほど遅くなく、また走路確保のための視野と角度が有利で、ランプレイのバリエーションも広がっている。むしろランプレーをするためにショットガンを導入しているチームがいくらでもある。 ドラゴンフライ ショットガンフォーメーションにおいて、クォーターバックの選手を2人以上同時にラインナップさせる隊形。ただし、ポジションとしてのクォーターバックは1人だけである。日大チームが開発したもので、クォーターバックを含むバックスがトンボの胴体のように縦に長く配置され(一番後ろのクォーターバックは約10ヤードの深さにセットする。その前方に別のQBがセットする)、オフェンシブラインがちょうどトンボ(ドラゴンフライ)の羽根に見えることから命名された。日大チームのドラゴンフライに関して、インターネット上などでしばしば「誰が誰にパスを投げるか分かりにくくなるため、ディフェンスの対応が難しくすることが狙いである。守備側からすればパスディフェンスに全力を挙げればよいが、どちらのクォーターバックからパスが出るのかわからないためパスラッシュの反応が遅れる。4名のレシーバーがパスカバーを外す可能性が高くなり、時間が稼げることによりレシーバーがより遠くまで走り込めるのでロングパスになる確率が高くなる。ほぼパスプレイに限定される。ディフェンシブラインはパスラッシュに専念でき、かつパスプロテクションを行うランニングバックが1人減るため、サックされる可能性が高くなる」などの解説が見られることがあるが、実在した日大チームのドラゴンフライ、ハーフドラゴン(新ドラゴンフライ)、ゴールデンドラゴンフライのそれぞれで行われた攻撃はもっぱらランニングプレー主体であった。ドラゴンフライはショットガンからオプションランを行うことを主眼に開発されたフォーメーションで、使用機会は多くなかった。 アメリカでは、クォーターバックはフォワードパスを投げるポジションであるという観念が強く、篠竹幹夫が考案したドラゴンフライを揶揄する記事も見られた。曰く、クォーターバックを2人にすることで、バックス&レシーバーズの人数が1人少なくなり、守りやすくなるというものであった。しかし、実際には日大フェニックスのショットガンの発想は逆であり、走力のあるプレーヤーがクォーターバックを務めることで、クォーターバックがランニングバックを兼ねた一人二役をこなすため、2人のクォーターバックを配するドラゴンフライは、実質的にバックフィールドに4人のプレーヤーがいるのと同程度の攻撃力を有した。 ハーフドラゴンでは、走力に定評があった松岡選手がランプレーを繰り返した。ゴールデンドラゴンフライは高校時代にクォーターバック経験もあるランニングバックの山口選手と、走力に長けたクォーターバック山田選手が両オフェンシブタックル間にストレートな突進を繰り出すことを中心としたシンプルな攻撃であった。甲子園ボウルでは16回連続でランプレーを敢行している。実在した日大チームのドラゴンフライに関して、先に紹介したような事実に基づかない記載が散見される理由は不明だが、漫画「アイシールド21」の作品中で同名のフォーメーションが登場しているので、漫画作品の創作内容と混同されていることも考えられる。クォーターバックを二人同時にラインアップさせ、双方がパスを投じるショットガンは、京都大学がごく短い一時期導入したことがある。当時ツインガンと呼ばれた。ツインガンのフォーメーションは日大のドラゴンフライと名のつく縦に長いフォーメーションとは異なっていた。関西学院大学が複数のRBをショットガン隊形のQBの位置付近に並べ、それぞれがスナップを受けてランプレーを中心とした攻撃を行ったことがあるが、その攻撃を導入する契機となったのはQBの負傷欠場であった。 ピストルオフェンス センターの後方3ヤードにクォーターバックをセットし、その後方に1人ランニングバックを配した隊形。パスプレイの場合は、3ヤードとはいえクォーターバックとディフェンスラインとの距離があるため、視界が確保されるためパスターゲットを見つけやすくなる。またパスを投げるまでの時間が若干ではあるが増えることによりパス成功率が上がる。ランプレイの場合は、ランニングバックへのハンドオフタイミングが微妙にずれるため、中央へのランプレイが展開しやすくなる。ランニングバックをピッチバックとしたオプションも実施できる。オーソドックスなショットガンからのオプションでは、ピッチバックはクォーターバックである。クォーターバックの横にフルバックを加えたパワーピストルフォーメーションもしばしば使われている。2011年オーストリア世界大会では、日本代表チームを含む複数のチームがピストルフォーメーション、パワーピストルフォーメーションを使用した。 ワイルドキャットオフェンス クォーターバックの位置に、ランニングバックやワイドレシーバー登録の選手を置いた隊形のこと。
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