アールボーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 17:00 UTC 版)
オルガニストを目指して専門的に学ぶ人たちにとって世界的に支持の高いメーカーで、指導者から勧められることも多い。その理由の中でも、バロック様式のストップの再現性に特別の熱意が掲げられていることと、楽器としての性能・設計の高さが挙げられる。オルガンを専門的に学ぶには、バロック時代のレパートリーとの付き合いは切っても切れないものであり、それらの時代の作品を本格的なバロック指向の音色で練習したいという願いを満たすことをメーカーは切に願って設計している。 音色の指向とストップ構成の傾向のせいで、これまではバロック時代やドイツもの以外の作品の演奏には不向きという大きな欠点があったものの、最近の機種においてはそれを打開し、差し替え用ストップを多数持つことで、演奏・練習する作品の時代性に合わせてストップの音色を個別に変更できるという特長を得ており、広い時代のレパートリーにも対応できるようになった。従来からのドイツでのストップ構成の他に、イギリスやアメリカ向けの製品では、ストリング系のストップを備えるなど、それぞれの文化に融通を効かせた展開をしている。更に、何より特筆すべき機能として、打鍵ニュアンスに反応して本物のパイプ・オルガンのように発音が微妙に変化する(やり過ぎない微妙な程度)仕様は、長年の専門家たちが電子オルガンに望んできた最上の機能であり、現在世界で販売されている電子オルガンの中で唯一の機能である。また、タッチによってどの程度発音が影響を受けるかストップごとの設定が可能であり、また、ストップごとの音量にはじまって、鳴り出し、鳴り止み、微妙な調律誤差、スケーリング、音の明るさなどの整音が自分ででき(座ったままでリモコンから)、その設定をフロッピーに保存もでき、初期設定に戻すことも簡単にできる。 特にフランスものを弾く際に必ず問題となる手鍵盤の配置の違いについては、操作によって発音する段を入れ替え、フランス式などに変更することも可能という融通の広さを持つ。また、実際のパイプ・オルガンの演奏台では、足ピストンの仕様が、次のコンビネーションへと進む「シーケンス式」と、配置による「多重記憶式」とがあるが、その切り替えが奏者自身によって簡単にでき、本番前に演奏予定先のオルガンを具体的にシミュレーションしながら練習を積むことが可能である。 その他、数多くの古典調律への切り換えもでき、クレッシェンド・ペダルやテュッテイ・ピストンの奏者によるプリセットも可能で、演奏の可能性は限りなく大きい。また、実際の教会における使用にも充分な効果を発揮し、多チャンネルのスピーカー環境を構築すれば、左右だけでなく、上下方向、前後方向にも音源が散らばった立体的なパイプ配置が実感でき、しかもパイプの立体的な配列デザインをストップごとに設定することまででき、機能の限りと音質を求めている支持の高いメーカーとして、教会をはじめとして個人宅などにも多数納入されている。 本物のパイプ群をオプションで連動させることもできる。
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