CCDイメージセンサ 冷却CCD

CCDイメージセンサ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/08 14:56 UTC 版)

冷却CCD

冷却することにより熱に起因するノイズを減らし、長時間の露光を可能にした。なお、熱雑音とショット雑音を混同する向きもあるが、まったく別種のノイズである。

CCDイメージセンサのサイズ呼称

イメージセンサのサイズ呼称については2通りの方式がある。これはCMOSイメージセンサについても同様である。

インチ単位による呼びサイズ

3/2インチ、1/1.8インチ、1/2インチなどインチ単位で呼ばれるサイズである。このサイズはイメージセンサの撮像面の実寸を示すものではなく、呼び名に相当する管径の撮像管の撮像面サイズと等しいことを表す。2/3インチセンサの場合は(16.9mmではなく)2/3インチ撮像管に相当する対角11mm(8.8mm x 6.6mm)、1/1.8インチセンサでは対角8.93mm(7.18mm x 5.32mm)、1/2インチセンサでは対角8mm(6.4mm x 4.8mm)が実寸となる。これはCCDイメージセンサの初期の用途がテレビカメラ用の撮像管を置き換えるものであったため、レンズなどの光学系を設計したり選択したりする際の便宜を考慮してこのような習慣が生まれたものである。同様な理由により、特に断らない限り画面の縦横比は標準テレビ画面と等しい4:3が主流である。

なお日本では計量法により取引における「インチ」の使用が認められないためブラウン管などと同様「1/2.5型」などと表記する場合があるが同じことである。

規格名称

特定の規格により実サイズが規定されているもので、35mmフルサイズ135フィルムを用いる35mm判の画面サイズに等しい36mm×24mm)、APS-C(16.7mm×23.4mm)などがある。なお、フォーサーズ・システムについては約18.0mm×13.5mm(実際は17.3mm×13.0mm)の実寸が規定されているためこの範疇であるが、そのサイズ自身は「管径4/3インチの撮像管」に由来している。

CCDイメージセンサの製造

CCDイメージセンサの製造技術は、半導体部分の製造プロセス、カラーフィルタやマイクロレンズの生成などにおいて一般的なCMOSロジック製造技術とは異なる部分が多い。このため主要な製造メーカーは半導体メモリCPUASICなどとはかなり異なる。2004年における大手製造メーカーはソニーシャープ、松下電器産業(現パナソニック)、三洋電機で世界市場の約8割を占め、これはCMOSイメージセンサにおいて首位のソニー、2位の東芝とも6、7%程度のシェアしかない状況とは対照的である。このほか、KODAKもCCDイメージセンサを製造している。

このため、デジタルカメラやビデオカメラなどの製品では競合しているメーカーにCCDイメージセンサを供給する例は珍しくない。例として、ソニーが広範な供給を行っていた事実がはからずも明らかになった事件がある。

ソニー製CCD不具合問題

ソニーはCCD製造において大手であり、ビデオカメラやデジタルカメラを製造する会社へ供給していた。2002年10月にCCD素子の窓となるガラス板を接着するために用いていた接着剤を変更した。

2004年春、業務用ビデオカメラにおいてCCD素子とICパッケージのピンを結ぶボンディングワイヤが破断する不具合が見つかった。ボンディングワイヤリング装置に不適切な設定を行った状態で製造していたことが判明したため、ソニー製CCDを使用していた業務用ビデオカメラメーカー各社はリコールを行い事態は収拾したと思われた。

しかし、2004年夏から徐々に、再びボンディングワイヤが破断する問題が発生した。これは変更された接着剤に含まれるヨウ素がCCDチップとボンディングワイヤが繋がっている合金部に侵入し、欠陥が生じて合金部で破断が発生するものであった。ボンディングワイヤリング装置の設定ミスが原因と思い込んでいたソニーは、問題のある接着剤でCCDを製造し続けたため、本問題を見過ごしてしまった。

2005年10月以降、ソニーおよびカメラ製造メーカー各社からリコール情報が発表された。この問題によって不具合を生じるCCDは1000万個以上、問題を生じうるデジタルカメラ・ビデオカメラは100機種以上に及んだ。なお、ソニー以外のカメラ製造メーカーは「ソニー製CCD」に起因する不良であることを明言しているわけではないが、不具合の発生状況と公表された原因から同一原因であることが認めうるとされる。

また、富士写真フイルムの子会社富士フイルムマイクロデバイス開発のスーパーCCDハニカムの一部にも同様な不良が発生しており、不具合の原因であるヨウ素化合物入り接着剤をCCD製造に用いるのは、当時の一般的な方法であったとも考えられる。

本節に関する参考文献

出典

  1. ^ 神崎 洋治 (著), 西井 美鷹 (著) 「体系的に学ぶデジタルカメラのしくみ 第2版」日経BPソフトプレス; 第2版 (2009/1/29) 第5回 : CCDの電荷バケツリレーのしくみ デジカメの「しくみ」
  2. ^ 安藤 幸司 (著)「らくらく図解 CCD/CMOSカメラの原理と実践 」らくらく図解 CCD/CMOSカメラの原理と実践 - 安藤幸司 - Google ブックス
  3. ^ 加藤俊夫 半導体入門講座(Semiconductor JapanのWeb上講義)第16回 イメージセンサ [1]
  4. ^ CCDカメラとは 株式会社日本ローパー
  5. ^ 「CCDのアナログ信号処理回路への応用」doi:10.3169/itej1954.30.377
  6. ^ AF35ML(オートボーイスーパー)/AF35ML(オートボーイスーパー) クオーツデート - キヤノンカメラミュージアムに「CCD(電荷結合素子)ラインセンサーを使用した三角測量方式によるオートフォーカス」とある。2023年9月8日閲覧。
  7. ^ 現在はAT&Tの子会社。
  8. ^ 例えば、次の特許を参照のこと。 US3792322A - Buried channel charge coupled devices - Google Patents(アメリカ合衆国特許第3,792,322号)とUS3796927A - Three dimensional charge coupled devices - Google Patents(アメリカ合衆国特許第3,796,927号)また、特許の解説(日本語)として、以下の記事が詳しい CCD: 石くれと砂粒の世界
  9. ^ たとえば、US419213A - Feed-water heater - Google Patents(アメリカ合衆国特許第419,213号) US4194213A - Semiconductor image sensor having CCD shift register - Google Patents(アメリカ合衆国特許第4,194,213号)を参照のこと。
  10. ^ Charles Stark Draper Award, http://www.nae.edu/NAE/awardscom.nsf/weblinks/CGOZ-6K9L6P?OpenDocument 
  11. ^ Nobel Prize website, https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2009/summary/ 
  12. ^ 例えば、US5877807A - Optoelectronic colored image converter - Google Patents(アメリカ合衆国特許第5,877,807号)
  13. ^ Bryce Bayer, Inventor of a Filter to Make Color Digital Pictures, Dies at 83 - The New York Times

注釈

  1. ^ 米国メイン州ポートランド出身の考案者Bryce Bayerが由来であり、正式な発音は/ˈbaɪər/(カナ表記するならば「バイヤー」もしくは「バイアー」)だが[13]、日本語では英語読みをベースに「ベイヤー」と表記されることが多い。






CCDイメージセンサと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「CCDイメージセンサ」の関連用語

CCDイメージセンサのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



CCDイメージセンサのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのCCDイメージセンサ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS