タキシンとは？わかりやすく解説

タキシンB
	; タキシンB
	IUPAC名 10β-Acetoxy-1,2α,9α-trihydroxy-13-oxotaxa-4(20),11-dien-5α-yl (3R)-3-(dimethylamino)-3-phenylpropanoate
識別情報
CAS登録番号	1361-50-8; 1361-51-9;
3D model (JSmol)	Interactive image;
ChEBI	CHEBI:134192;
ChemSpider	8113891;
KEGG	C19989;
PubChem CID	121443;
	InChI InChI=1S/C33H45NO8/c1-18-23(36)17-33(40)29(38)27-19(2)24(42-25(37)16-22(34(7)8)21-12-10-9-11-13-21)14-15-32(27,6)30(39)28(41-20(3)35)26(18)31(33,4)5/h9-13,22,24,27-30,38-40H,2,14-17H2,1,3-8H3 Key: XMZFIBDTPOUHMW-UHFFFAOYSA-N ;
	SMILES CC1=C2C(C(C3(CCC(C(=C)C3C(C(C2(C)C)(CC1=O)O)O)OC(=O)CC(C4=CC=CC=C4)N(C)C)C)O)OC(=O)C ;
特性
化学式	C33H45NO8
モル質量	583.722 g·mol−1
融点	115 °C
	特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

タキシンA
	; タキシンA
	IUPAC名 2α,13α-Diacetoxy-7β,10β-dihydroxy-9-oxo-2(3→20)-abeotaxa-4(20),11-dien-5α-yl (2R,3S)-3-(dimethylamino)-2-hydroxy-3-phenylpropanoate
	別称 (1R,2S,3E,5S,7S,8S,10R,13S)-2,13-Diacetoxy-7,10-dihydroxy-8,12,15,15-tetramethyl-9-oxotricyclo[9.3.1.14,8]hexadeca-3,11-dien-5-yl (2R,3S)-3-(dimethylamino)-2-hydroxy-3-phenylpropanoate
識別情報
CAS登録番号	1361-49-5 ;
3D model (JSmol)	Interactive image;
ChEBI	CHEBI:9417;
ChemSpider	4445136;
KEGG	C10619;
PubChem CID	5281829;
UNII	ORV5NB1NST ;
	InChI InChI=1S/C35H47NO10/c1-18-24(44-19(2)37)15-23-26(45-20(3)38)14-22-17-35(6,32(42)30(40)28(18)34(23,4)5)27(39)16-25(22)46-33(43)31(41)29(36(7)8)21-12-10-9-11-13-21/h9-14,23-27,29-31,39-41H,15-17H2,1-8H3/b22-14+/t23-,24-,25-,26-,27-,29-,30+,31+,35-/m0/s1 Key: KOTXAHKUCAQPQA-MCBQMXOVSA-N ;
	SMILES CC1=C2C(C(=O)C3(CC(=CC(C(C2(C)C)CC1OC(=O)C)OC(=O)C)C(CC3O)OC(=O)C(C(C4=CC=CC=C4)N(C)C)O)C)O ;
特性
化学式	C35H47NO10
モル質量	641.751 g·mol−1
融点	204-206 °C
	特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

タキシン (taxine) は、主にイチイ属の植物に含まれるテルペンアルカロイドの混合物である。外観は粒状の粉末で、CAS登録番号は [12607-93-1]。タキシンA (C₃₅H₄₇NO₁₀、 [1361-49-5])、タキシンB (C₃₃H₄₅NO₈、[1361-51-9]) などが含まれる。『イチイ』の意であるラテン語 taxus から名が取られた^[2]。1950年代から1960年代にかけて分離と構造決定の研究がなされた^[3]。

タキシンAおよびBのヨーロッパイチイ (Taxus baccata L.) 由来のタキシン中の含量はそれぞれ30%、1.8%である^[4]。抗がん剤パクリタキセル（タキソール）の含量は0.01%と非常に低い。

毒性

心臓毒の一種であり、症状としては末梢神経性循環障害食欲廃絶、筋力低下、四肢の振戦、呼吸困難、心臓麻痺、心拍数減少、血圧低下、体温低下、痙攣、硬直など様々なものが挙げられる^[5]。症状が急速に進むため、死ぬ寸前まで気付かないことも稀では無く検死などで毒物検査を行って初めて異常な量の摂取が発覚することもある。

タキシンはカルシウムチャネルおよびナトリウムチャネルのアンタゴニストであり、心臓のイオンチャネルに対して選択性を示す^[4]。

タキシン中の主要な成分はタキシンBであり、タキシンBはその他の成分よりも高い毒性を示すため、タキシンの毒性の大部分はタキシンBによるものであると考えられている^[4]。

アガサ・クリスティのポケットにライ麦をでは、タキシンを用いた殺人事件が登場する。

医薬品としての利用

昔、イチイを天日干しにしたものが医薬品として使われていたことがあるが、効果の程は不明。医薬品として用いるならば、同じイチイから取れるタキサンやパクリタキセルの方が有用である。

脚注

^ Graf, Engelbert; Kirfel, Armin; Wolff, Gerd-Joachim; Breitmaier, Eberhard (1982-02-10). “Die Aufklärung von Taxin A ausTaxus baccata L.” (英語). Liebigs Annalen der Chemie 1982 (2): 376–381. doi:10.1002/jlac.198219820222. ISSN 0170-2041.
^ 英語で『毒素』を表す『toxin』はイチイと語源を同じくする。
古代ギリシア語: τόξον（taxos、弓）→τοξικός（toksikos、弓に関する）→τοξικόν（toksikon、矢毒）→ラテン語: toxicum（毒、矢毒）→toxin。イチイの学名Taxus は、イチイが弓の材料として古くから用いられていたため。
^ Miller, R. W. (1980). “A Brief Survey of Taxus Alkaloids and Other Taxane Derivatives”. J. Nat. Prod. 43 (4): 425-437. doi:10.1021/np50010a001.
^ ^a ^b ^c 総説：Wilson, C. R.; Sauer, J.; Hooser, S. B. (2001). “Taxines: a review of the mechanism and toxicity of yew (Taxus spp.) alkaloids”. Toxicon 39 (2-3): 175-85. doi:10.1016/S0041-0101(00)00146-X. PMID 10978734.
^ 米国国立医学図書館 (National Library of Medicine) (2009年1月5日). “TAXINE” (英語). TOXNET: Toxicology Data Network. 2010年10月23日閲覧。

タキシンとは？わかりやすく解説

滝新

タキシン

毒性

医薬品としての利用

脚注

関連項目

「タキシン」の関連用語


	Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
	All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License. この記事は、ウィキペディアのタキシン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

タキシンとは？ わかりやすく解説

滝新

タキシン

毒性

医薬品としての利用

脚注

関連項目

「タキシン」の関連用語

タキシンとは？わかりやすく解説