面ファスナー 歴史

面ファスナー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/20 05:42 UTC 版)

歴史

ゴボウの実

面ファスナーは、スイスジョルジュ・デ・メストラルGeorge de Mestral)が1941年アルプスを登山したとき、自分の服や愛犬に貼り付いた野生ゴボウの実にヒントを得て[3]1948年に研究を開始した。1951年特許出願し、1955年に認定された[4]1952年にはスイスにVelcro S.A.が設立され、面ファスナーを生産する一方で、各国企業にライセンスしたり現地法人を設立したりしてベルクロの名で生産させた。

名称

日本では、日本ベルクロ(現:クラレ)が「マジックテープ」の商標で1960年から製造・販売し[5]、現在はその子会社であるクラレファスニング(旧:マジックテープ)が製造・販売している[6]

アメリカで一般的に用いられるベルクロVelcro)も商標である。ベルクロはフランス語のvelourビロード)+crochet)の合成語である。商標権者は、1952年スイスVelcro S.A.として設立され、現在はアメリカ合衆国ニューハンプシャー州マンチェスターを根拠地とする、ベルクロUSA(Velcro USA)である。

商標でない名称としては、面ファスナー以外にも「パイルアンドフック」があり、軍事関係で用いられている。英語ではhook-and-loop fastenerとも呼ぶが、あまり一般的な名称とはされていない。

種類

一般的な面ファスナーは、フック状に起毛された側とループ状に密集して起毛された側とを押し付けるとそれだけで貼り付くようになっており、貼り付けたり剥がしたりすることが自在にできる。それ以外にも、フックとループ両方が植え込まれており、フック面とループ面との区別のないタイプ(フック面とループ面との取り付け間違いが起きない)やマッシュルーム状に起毛されていて結合力が強いクリックタイプ、鋸歯状のシャークバイト(鮫歯)タイプなどのバリエーションがある[7]

欠点

面ファスナーの表面は糸くずなどが付着しやすく、付着物により吸着力を減ずることがあり、常時小まめにそれらを取り除いておく必要がある。長期間使用しているとループ部がフックによって損傷、劣化し、吸着力が落ちていくので適度にループ、フック共に交換するのが望ましい。また材質的に熱に弱く、アイロンを当てる時に変形して吸着しなくなる危険性がある。


注釈

  1. ^ 主にポケット類・袖口襟元やネーム類に使用されているが、米軍等と違って階級章は縫い付ける必要がある。PXにおいて官給品とは材質の違う階級章が販売されており、それを代用することが可能。
  2. ^ 例えば、近年のゴジラの着ぐるみは背びれ部のパーツが面ファスナーで脱着でき、背びれ部を外した後に通常の線ファスナーがある二重構造になっている。これならば背中を映しても線ファスナーは見えない。

出典

  1. ^ 登録1328163”. 特許情報プラットフォーム. 2023年6月17日閲覧。
  2. ^ 登録0546323”. 特許情報プラットフォーム. 2023年6月17日閲覧。
  3. ^ From Velcro to high-speed trains: 5 examples of technology inspired by natureドイチェ・ヴェレ 2018年6月9日
  4. ^ METHOD FOR PRODUCING A VELVET TYPE FABRIC 国際・国内特許データベース検索
  5. ^ 株式会社クラレ 製品情報マジックテープ
  6. ^ 会社概要 クラレファスニング株式会社
  7. ^ 面ファスナー 日本繊維製品・クリーニング協議会


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