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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/13 14:32 UTC 版)

エレクトロウェッティング方式

エレクトロウェッティング方式表示デバイスは、電気泳動式より応答速度が高速で、反射率も高く、カラー化はカラーフィルタを使用して実現するとされ、基板、透明電極、疎水性絶縁膜、着色オイル、水など構成される構造で画素となる着色オイルに電圧をかけることによって表面張力を変化させて着色オイルを変形させて表示させる方法で、電圧を印加しない状態ではオイルの色が表示されるが、電圧を印加するとオイルが変形(移動)して基板の白が表示される[3]

サーマル方式

いわば可逆式の感熱紙とも言うべきもので、光散乱方式と発色方式があり、前者の光散乱方式では透明状態と白濁状態を熱による相分離、または相変化により可逆的に変化させることで光散乱や屈折率、透過率の変化を利用する物理変化型で、仮に、室温で高分子中に脂肪酸結晶があっても、空隙がないので光を透過して透明だが、この状態で加熱すると、高分子がガラス転位点以上となり、脂肪酸結晶が融解するものの、この状態で急冷すると樹脂は固化するが、脂肪酸は過冷却となりすぐに結晶化せず、しばらくしてから結晶化するので光が散乱されて白濁状態となる[3]。後者はこれまで感熱記録紙で使用されているロイコ染料の発色現象を利用して熱的に制御することによって書き換え可能な表示が可能で、化学構造が変化して発色する化学変化型で、単独では無色なロイコ染料が、酸性物質の顕色剤と結合することに発色する[3]

磁気泳動方式

磁気泳動方式表示デバイスは白色の顔料を懸濁させたセルまたはマイクロカプセルに磁性粉を入れて磁界の印加によって磁性粉を移動させて表示させる[3]。電子ペーパーの黎明期からある表示方法だが、構造上、解像度コントラストが低く、長時間の印字保持は困難だったが、それも近年開発された磁気泳動とサーマルプリンター技術を組み合わせたカラー化の可能性もある磁気通電感熱方式によって過去のものになりつつある。磁気通電感熱方式では樹脂フィルムで挟まれ固化した層状のワックスに磁性粉を閉じ込めたペーパー状のメディアに対し、サーマルヘッドかマトリックス電極と磁界を組み合わせたプリント方法によって表示、消去を行う[3]

実用例

  • 各種携帯電話
    • MOTOFONE - Motorola社製の40米ドルと廉価な携帯電話で、新興国向けに1,000万台が販売された。メイン画面に電子ペーパーを使用
    • W61HW62CACA002SH002URBANO AFFARE(SOY05)- auブランドを展開するKDDI社、および沖縄セルラー電話社が2008年、2009年、2011年に販売した。このうちW62CA、CA002、SH002、URBANO AFFAREはいずれもサブ・ディスプレイに使用し時刻表示が常に行える。W62CAでは液晶のガラスが外部に露出しないので頑丈とされた。W61Hはセグメントマトリクス方式のため時計は表示出来ない。
  • 電子書籍リーダー
    • Amazon Kindle (Amazon.com社、携帯無線端末型、6型画面、800×600画素、4階調)
    • LIBRIe (Sony、6型画面、800×600画素、4階調 ※現在は生産終了)
    • Sony Reader (Sony、6型画面(PRS-350のみ5型画面)、600×800画素、16階調 ※PRS-T1はWi-Fi対応、PRS-G1は3G&Wi-Fi対応)
    • biblio leaf SP02 (au(KDDI/沖縄セルラー電話)、6型画面、600×800画素)
    • iLiad (8.1型画面、768×1024画素、16階調)[4]
    • 楽天 kobo Touch (Kobo社、6型画面、600×800画素、16階調)[5]
  • 電子ノート
  • E ink タブレット
    • Boox
    • Huawei Matepad Paper
  • デジタルサイネージ
    • JR飯田橋駅構内(東口改札口)で748mm×520mmのデジタルサイネージが2004年11月から2005年9月まで使用(凸版印刷、NECネッツエスアイ株式会社)[6]
    • 愛知万博では133型のデジタルサイネージの見本が展示された(凸版印刷、読売新聞社)
    • 仙台駅仙台市地下鉄南北線のホームで、72型のデジタルサイネージ「まちコミ」の運用実験が2007年12月から2008年8月まで行われた(凸版印刷)。[2] 試験終了後、勾当台公園駅長町駅でも「まちコミ」の運用が開始された[7]
  • バス停留所スマートバス停
    • 神奈川中央交通・本厚木駅バス停の1番乗場で、A4縦型の白黒ディスプレイによるバス運行情報等を表示する実証実験が2007年9月10日から9月25日まで行われた(日立製作所)。ディスプレイは合計2台設置され、1台は「拡大時刻表」を表示し、もう1台は「厚木市行政情報」を表示していた[8]
  • ICカード
    • ワンタイムパスワード・カード(OTP カード)の量産化と認証ソリューションの提供開始(トッパンフォームズ、SiPix)[9]
    • 電池非搭載電子ペーパーICカードの量産化(IBテック、AniCa)[10]
  • POP
    • PROJECT VIVIT・POPや遠隔コントロール (VIVIT社、太陽セルで動作するPOPや無線モジュール搭載の遠隔表示コントロール)
  • 楽譜
    • GVIDO:2画面電子ペーパー楽譜専用端末(電子ペンを使って譜面への書き込み、消去が可能)[11]

注釈

  1. ^ 日本で最初に電子ペーパーが開発されたのは1969年である。(nikki electronics 2008.12.29)

出典

  1. ^ シャープ技報「超低消費電力駆動技術を組み込んだ偏光板レス反射型液晶ディスプレイの開発」(2010)
  2. ^ a b c d e 檀上英利著 『書き換え可能な紙として進化する電子ペーパー』 日経エレクトロニクス2008年12月29日号 66-71頁
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 電子ペーパー及びフレキシブルディスプレイの技術概要
  4. ^ [1] - EAST社Webページ
  5. ^ 【特集】楽天「kobo Touch」試用レポート(前編) ~7,980円のリーズナブルなE Ink電子ペーパー端末 - PC Watch - 【PC Watch】 楽天「kobo Touch」試用レポート(前編)
  6. ^ [2] - 凸版印刷Webページ
  7. ^ [3] - 仙台市交通局 地下鉄駅に「電子ペーパー」広告を設置しています
  8. ^ 本厚木駅前バス停における電子ペーパーディスプレイの実証実験について 神奈川中央交通
  9. ^ [4] - トッパンフォームズWebページ
  10. ^ 株式会社IBテック - IBテックWebページ
  11. ^ 世界初の「2画面電子ペーパー楽譜専用端末」 ワコム 2017年4月5日
  12. ^ ニュースリリース | 株式会社ブリヂストン - 電子ペーパー事業からの撤退について


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