近鉄特急 過去に運行されていた系統

近鉄特急

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/02 05:51 UTC 版)

過去に運行されていた系統

奈伊特急

奈伊(ない)特急は、奈良市と伊勢志摩を結ぶ列車で、1970年3月に1往復のみ設定された[150]。京都駅 - 伊勢志摩間を走る京伊特急の起点駅を近鉄奈良駅に変更した以外は京伊特急とほぼ同一の運行形態であった。またその線路配置の関係で、後述する阪京特急と同じく大和西大寺駅で方向転換を行った。京伊特急同様、大和八木駅 - 賢島駅間は阪伊乙特急と併結して運行された。

1972年11月7日に京伊特急に統合されて廃止された[151]。以降は近鉄奈良駅から伊勢方面に直通する特急列車は設定されていない。

阪京特急

阪京(はんけい)特急は、大阪と京都市を結ぶ列車で、近鉄難波駅(現在の大阪難波駅) - 京都駅間で運転し、1973年3月に設定された[152]

奈良線の布施駅 - 大和西大寺駅間では初の有料特急列車であり、大和西大寺駅で方向転換を行った。1974年時点では奈良線内では阪奈特急と合わせて1時間間隔で設定されていた[110]。その後1976年3月のダイヤ変更で奈良線・京都線内とも独立した時刻での設定となった[111]後、1980年3月のダイヤ変更での京都線15分ヘッド化以降は京都発の時刻は京奈特急のそれ(0分または30分)に合わせられていた(下記の例外である末期の21時15分発を除く)。なお、奈良線内では阪奈特急とは別時刻で運行され、阪京特急運行時は1時間当たり2本の特急となっていた[153]

当時国鉄の新快速が同等の区間を29分(京都駅 - 大阪駅間)、阪急の特急が40分弱(河原町駅 - 梅田駅間)、京阪の特急が46分(三条駅 - 淀屋橋駅間)で走破していたのに対し、同特急は近鉄難波駅 - 京都駅間に58分 - 62分を要していたが、京都から生駒市や大阪ミナミへは唯一の直通列車であった。

1984年時点の近鉄時刻表によると、基本的には昼間時に2往復と夕方ラッシュ時に1往復のみ運転していたが、末期の1990年3月15日ダイヤ変更時の近鉄時刻表では、京都駅発の片道1本が夕方ラッシュ時の19時発より夜間時間帯の21時15分発に繰り下げられていたことが確認できる。

阪奈特急と京奈特急に系統分割される形で1992年3月変更で消滅した[152]

なお、前述通り2022年4月29日より運行開始の観光特急「あをによし」が大阪難波駅 - 近鉄奈良駅 - 京都駅間にも1往復設定されることになり、列車の性格や方向転換する駅は異なるものの、大阪難波駅 - 京都駅間を直通する定期特急が30年ぶりに設定された。

湯の山特急

12400系 湯の山特急(名張駅)
22000系使用のサマーライナー

大阪・名古屋と三重県北西部に位置する湯の山温泉を結ぶ列車で、新幹線開業を契機とした特急ネットワーク拡充の一環として1965年7月に運転を開始し[154]、近鉄難波駅(現・大阪難波駅)・近鉄名古屋駅 - 近鉄四日市駅 - 湯の山温泉駅間を運行していた(1983年以前は原則として上本町駅(現・大阪上本町駅)発着)[155][注釈 29]。総称は湯の山特急であるが、発着地により区別する必要があるときは、大阪・名古屋・四日市発着のそれぞれについて、阪湯特急・名湯特急・四湯特急と呼称されていた[157]

1971年12月8日からは近鉄四日市駅付近の高架化工事により、湯の山線への直通を一旦中止して湯の山線内のみの運転(同改正当時5往復)となったが、高架工事が1973年に完成後、その翌年の1974年9月20日より上本町駅発着1往復、近鉄名古屋駅発着1往復(土休日は2往復)が単独運行で再開した[158]。この頃が最盛期であり、1976年のダイヤ変更までの間、全系統合わせて平日6往復・土休日7往復運行されていた[159]

なお、運転開始から1967年までと1974年の直通再開から1980年までの間、大阪発の湯の山特急は名阪乙特急のスジを利用した単独運転であった[154][160]。1980年には名阪乙特急のスジから独立して単独運転となった後、1983年から1998年まではそれまでの上本町駅発着から近鉄難波駅発着となり、名阪乙特急との併結運転のうえ、湯の山線が分岐する近鉄四日市駅の構内配線の都合上、白子駅で分割・併合していた[161]

1974年以降、名古屋行きの列車は名湯特急として独立した運行ダイヤを組んでいた。近鉄名古屋駅始発は1983年に廃止され[162]、以後1997年まで湯の山温泉駅発近鉄名古屋行き1本のみであった。

湯の山観光の足として長きにわたって親しまれたが、西名阪自動車道東名阪自動車道開通による観光客のマイカーへの転移もあって、次第に利用客が減少し、末期の2002年3月には近鉄四日市駅 - 湯の山温泉駅間の線内のみを土休日に限り2往復するという運行形態(ただし、近鉄四日市駅で名阪乙特急と接続する)となったが[112]、乗客数の減少はいっそう進み、2004年3月のダイヤ変更をもって廃止となった[129]

その後、2008年には御在所ロープウェイ開通50周年と鈴鹿国定公園指定40周年を記念し7月下旬から8月上旬の土日祝日計9日間に近鉄名古屋駅 - 湯の山温泉駅間で臨時特急が運転された[163][164]。また、2009年にも「湯の山温泉サマーライナー」として同じく7月下旬から8月上旬の土日祝日計9日間に近鉄名古屋駅 - 湯の山温泉駅間で臨時特急が運転された[165]。車両は2008年・2009年ともに、12200系が2両編成で運転された。2010年2011年も同様に運行され、22000系が2両編成で使用された[166]。2012年の「湯の山温泉サマーライナー」は運行日が7月中旬から8月下旬までの毎週土曜日計7日間に変更し、車両も22600系2両編成に変更された[167]。以降、2017年まで毎年「湯の山温泉サマーライナー」が運行されたが、2018年以降は設定がなくなった。

2019年には1月中旬から2月下旬の土日計9日間に近鉄四日市 - 湯の山温泉間(片道のみ)で臨時特急「樹氷ライナー」が運転された[168]。それ以降の運行実績はない。

伊勢中川 - 宇治山田間特急

名古屋線改軌後の1959年12月12日変更で、特急の系統を上本町 - 宇治山田間と伊勢中川 - 近畿日本名古屋間から上本町 - 近畿日本名古屋間の直通運転に再編した際、宇治山田駅への接続を維持するため、山田線内のみを運転する列車として、伊勢中川 - 宇治山田間の特急が設定された[73]

翌1960年1月20日変更で、従来の名阪特急については伊勢中川駅を運転停車に変更したが、代わって名阪間の準特急(のちの乙特急)が登場し、伊勢中川駅から宇治山田駅への接続用として引き続き設定された。この時点での停車駅は松阪・伊勢市(宇治山田行のみ)で2往復運行され、所要時間は24 - 26分であった[169]

1963年3月21日変更で名阪乙特急が中川短絡線経由となったことにより廃止された[170][171]








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