近鉄特急 競合関係にあるもの

近鉄特急

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/02 05:51 UTC 版)

競合関係にあるもの

近鉄特急と競合関係にあるものは、高速道路一般国道を始めとする道路網と自動車、東海道新幹線およびJR名古屋駅と鳥羽駅を結ぶ「快速みえ」、さらに間接的に関わってくるものとして、沖縄やアジア太平洋地域のリゾート地など伊勢志摩と競合しやすい日本国内外のリゾート地の存在と、日本国外や沖縄へ向かう格安航空路線が挙げられる。京都や名古屋以外の各都市から伊勢志摩に行くよりも、日本国外に飛んだほうが安い場合があるからである[396]

一方で、近鉄名古屋駅や京都駅は東海道新幹線との接続駅でもあり、新幹線の乗客を近鉄の路線に誘致するなどの強い連携も行なわれていることはそれぞれの特急の節で述べている。

近鉄はモータリゼーションの進展に対する危機意識を名神高速道路建設当時から抱いていた[397]。また、1960年代当時、未開の地であった志摩地方を近鉄資本でもって開発、囲い込む一方、鳥羽線開業前の観光の面的拡大を目的に近鉄資本による伊勢志摩スカイライン、三重県による伊勢道路といった自動車利用を前提とした施設の拡充も進行した[398]。しかし1970年代ともなると定期外収入(特急料金もこれに該当)が前年並みとなり、ここにモータリゼーションの影響がはっきりと現れてきた[300]。各家庭の自動車保有台数も年々右肩上がりで、それに呼応するように国道1号をはじめとする道路の整備、高速道路網の拡充が推し進められた。現状、名伊特急や名阪特急などのルートにも高速道路や一般国道が沿うように展開しており、今後とも自動車との競争は避けられない情勢となっている[399]。特に名伊特急の営業範囲である三重県においては、駅前に立地していたショッピングモールが軒並み自動車利用を前提とした郊外に移転する傾向が顕著で、生活の足は電車よりも自動車と化している[84]

特急料金収入の増減は景気に左右される場合が多く、1990年代半ばからの景気低迷などによる国内観光の不振により、伊勢志摩観光も大きく需要が伸び悩んだ[396]。伊勢志摩方面に特急営業を行なう近鉄にとっては痛手が大きく、2012年の伊勢志摩方面特急の輸送量は、1994年と比べて約4割程度となった[400]。また、短中距離の特急利用客も生活防衛の観点から急行で我慢する傾向が増え、レジャーの多様化によって日本国内外の観光地とも競争が激化し、さらにはインターネットの媒介やゲーム機器の発達によって旅行以外の娯楽が増えたことも収入減に関係していると推察される[396]。さらに、これに輪をかけて日本の総人口が減少していく少子高齢化が今後一層加速すると見られ、沿線人口の減少とともに、鉄道事業収入の伸び悩みも今や顕在化している状態である[300][396]

近鉄が特急運営に強い意欲を示してきた要因の一つが、冒頭(特急運営について)で記述した通り、近鉄路線が背負う宿命としての閑散路線対策であるが、それだけにとどまることではなく、特急料金収入が競合交通機関をはじめ、社会のライフスタイルの変化によって蚕食されることを早くに警戒していたことにもよる[397][396]。このため、特急の輸送サービス向上にハード、ソフト面で取り組んできたが[397]、近年ますます厳しさを増す特急運営に対して、特急停車駅の増加[396]、グループ席の利用制度変更、座席のインターネット空席照会と予約システムの導入[401]、各種割引切符の改廃(「まわりゃんせ」[216]の設定[396]、「名阪まる得きっぷ」の廃止等)、保有車両の絞り込み[402]、ニーズに合った車両の建造等[300]、さまざまな対策が打たれている。








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