転写開始前複合体 転写開始前複合体の概要

転写開始前複合体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/03/04 09:47 UTC 版)

真核生物ではTFIIA、TFIIB、TFIID、TFIIE、TFIIF、TFIIHという6つの転写因子から構成されていることが多い。一方、古細菌はTFIIA、TFIIF、TFIIHを欠く。真核生物よりも単純、あるいは先祖型の転写開始機構を持つと考えられる。

2007年、ロジャー・コーンバーグTATAボックスプロモーターと協調する次のような転写開始因子複合体の作用機構を提唱した[2]

  • TATA結合タンパク質がプロモーターと結合し、DNAを折り曲げる。これによって、RNAポリメラーゼIIとTFIIBのC末端がDNAを包むような形になる。TATA結合タンパク質はTATAボックスと結合し、TATAボックスを転写開始部位の25から30残基上流に近づける。
  • TFIIBのN末端がDNAをRNAポリメラーゼIIの活性部位に配置する。
  • TFIIEが複合体に結合し、TFIIHの複合体への結合を促す。
  • ATPアーゼ活性とヘリカーゼ活性を持つTFIIHのサブユニットがDNAに巻き戻しの力を加える。
  • DNAの巻き戻しの力によって、DNA鎖が一本鎖になり(DNAの変性という)、転写バブルを作る。TFIIFが1本鎖のコーディング鎖に結合し、転写バブルの広がりを保つ。
  • 1本鎖の非コーディング鎖が折れ曲がり、RNAの活性部位に入る。
  • 転写が6残基以上進むと、TFIIBが離れ、RNAポリメラーゼIIがプロモーター部位から離れる。

外部リンク




  1. ^ Lee TI, Young RA (2000). “Transcription of eukaryotic protein-coding genes”. Annu. Rev. Genet. 34: 77–137. doi:10.1146/annurev.genet.34.1.77. PMID 11092823.
  2. ^ Kornberg RD (2007). “The molecular basis of eukaryotic transcription”. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 104 (32): 12955–61. doi:10.1073/pnas.0704138104. PMID 17670940.


「転写開始前複合体」の続きの解説一覧




転写開始前複合体と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「転写開始前複合体」の関連用語

転写開始前複合体のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



転写開始前複合体のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの転写開始前複合体 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS