胆沢ダム 目的・建設のあゆみ・規模等

胆沢ダム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/29 06:57 UTC 版)

目的・建設のあゆみ・規模等

この結果1973年(昭和48年)に「胆沢川総合開発事業」として新石淵ダム建設事業が計画された。その後ダム名は新石淵ダムから河川名・所在地名を採り「胆沢ダム」へと変更された。

堤高は127.0mと北上川水系では最大規模であり、総貯水容量・湛水面積は玉川ダム玉川)・津軽ダム岩木川)・田瀬ダムに次ぐ大規模なダムである。ダム建設に伴い42世帯の住民が移転を余儀なくされ、加えて尿前温泉が水没する事から補償交渉は難航。1990年(平成2年)には水源地域対策特別措置法の指定を受け、補償に伴う補助金・嵩上げ等移転者生活再建のための手厚い対策を提案し、1992年 (平成4年) 2月、補償交渉は妥結し、調印にこぎつけた。

補償交渉と並行して、1989年(平成元年)9月環境アセスメント手続き終了・1990年5月(平成2年)ダム建設基本計画告示がなされ、補償交渉妥結調印後、本格工事に着手する。1993年2月(平成5年)付替国道397号建設工事着手・1998年6月(平成11年)胆沢川転流トンネル工事開始等を経て、1999年6月基本計画の変更告示がなされ、完成が平成25年度に、総事業費が1360億円から2440億円に変更になった。2003年1月(平成15年)堤体基礎掘削工事開始・2005年10月(平成17年)堤体盛立工事開始・2006年10月(平成18年)洪水吐き打設が開始された。

ダム型式は、中央土質遮水壁型ロックフィルダムである。中心に水を通しにくい粘土層(コア)を配し、次に粘土層が流失しないために砂利層(フィルター)・その外側に二層の巨石層(ロック)を配する胆沢ダムの、設計堤体積は1350万m3であり[1]、国内では2008年10月に完成した徳山ダム(岐阜県)の1370万m3に次ぐ第2位、堤体高さは132m[1]で国内第11位、堤体長は723m[1]で国内第1位(徳山ダムの1.7倍、黒部ダムの1.5倍)の巨大ダムである。

洪水吐きは、ダム湖の規定水位を越えた分の水は、洪水吐きゲートを通り流下する自然調整方式であり、常用水位が常に維持される。また、台風や集中豪雨等による急激な水位上昇の時は、洪水吐きの流入部の右壁(117M)を乗り越えて、水が流下する横自由越流方式を採用している。(計画最大放流量350㎥/s)

胆沢ダムの建設の目的は、1)胆沢川流域及び奥州・一関市間の北上川の洪水調節、2)胆沢川流域農地への既得水利権分の不特定利水、胆沢川流域農地の新規灌漑、3)水沢区・江刺区等下流域への上水道供給、4)胆沢川の水位の安定、5)石淵ダム完成時より水力発電を手掛けている電源開発株式会社による発電、である。

ダム堤体工事の材料は、1)ロック部の巨石は、ツブ沼北方の『大森山』から約5Kmの工事用道路を作り、90トン巨大ダンプトラックで運搬し、2)コア部の粘土は、温泉施設ひめかゆ後方の高台『慶存(けいそん)地区』から、約1Kmのベルトコンベアーで運搬し、小砂利とブレンドして一ヶ月ほどおいてから使用し、3)フィルター部の砂利は堤体下流の胆沢川流域の物を使用している。コア材とフィルター材の運搬には55トン&38トンのダンプトラックが使用された。


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p “胆沢ダム竣工”. 日刊建設工業新聞 (日刊建設工業新聞社). (2013年11月25日)
  2. ^ 胆沢ダム 国土交通省 北上川ダム統合管理事務所
  3. ^ 2009年10月10日 朝日新聞
  4. ^ 2009年3月24日 毎日新聞
  5. ^ 2009年12月19日 朝日新聞


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