胆沢ダム 岩手内陸地震

胆沢ダム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/29 06:57 UTC 版)

岩手内陸地震

2008年6月14日の岩手宮城内陸地震により、震源とあまり距離が離れていないこの地域も震度6強の揺れに襲われた。これにより胆沢ダムは、コンクリート造の洪水吐きが大きな損傷を受けた他、堤体本体(進捗率60%)は盛立上部のコアとフィルター部分に亀裂が見つかったが、検査の結果深刻な物ではなく、直に回復できた。また、胆沢川転流トンネルの上流呑み口が二つとも土砂に埋もれ水位が急上昇したが、緊急工事により14日深夜には危機を脱した(この際作業員1名が落石によって死亡)。コア材運搬ベルトコンベアーや原石採取山・運搬路も深刻な損傷を受け工期は大幅に遅れたが、2008年12月の冬季休業までにはかなり遅れを取り戻した。

資料館・展望台

胆沢ダムへのアプローチは、国道397号を奥州市水沢から秋田方面に車で30分ほど進むと、進行方向左側に見えてくる。

旧国道397の道沿いにある、建設現場の下流ゲート前には胆沢ダム資料館(AM9-PM4:30:無料)があり、ダムと周辺地域の立体模型・周辺に生息する動植物の写真・先人が遺した堰(せき)の模型が展示されている。ダム左岸、新国道(国道397)沿い、焼石東トンネル直前の管理棟予定地には、展望台(AM9-PM6:トイレ有り)が設けられており、巨大なダムの建設現場や国内最大級の多くの大型工事機械(日曜日は工事は休み)が一望できる。また、2009年までは年に数回程度のダム見学会が実施されていた。(詳細は胆沢ダムホームページ https://www.thr.mlit.go.jp/isawa/ )

計画一時凍結発表と事業継続

2009年9月に成立した鳩山由紀夫内閣による大規模ダム見直し宣言に関連して前原誠司国土交通相が国直轄の48ダムを一時凍結を発表し、胆沢ダムもこの48ダムに含まれていたが、岩手県では「すでに本体工事中の胆沢ダムの事業は継続される」とみており(根拠は不明)、達増拓也知事は「事業を続けることに問題は感じてなかった。当然のこと」と述べ、奥州市の相原正明市長は「本体工事もほぼ終了段階まで進んでおり、ぜひ計画通りに建設されることを望む」とコメントし、2009年内は続行する姿勢を見せた[3]。その後、2009年12月25日、10年度政府予算案が閣議決定され、胆沢ダムには141億円の予算が計上されて、事業が継続された。

西松建設受注問題

2009年3月、民主党代表である小沢一郎資金管理団体が、胆沢ダムの洪水吐き打設工事などを受注していた西松建設から違法献金を受け取っていたとして小沢の公設第一秘書である大久保隆規政治資金規正法違反容疑で逮捕されている。西松建設側の供述によれば、西松建設を含むJVが工事の一部を受注した際、受注直後脱談合宣言を受けて表立った選挙応援を控えていた同社盛岡営業所長は、大久保秘書から「最近協力的じゃねえじゃねえか。お宅らが取った胆沢ダムは小沢ダムなんだ。今後も協力してくれないと困るよ」と献金を強く要請したとされ、西松建設も「ダム受注のための献金だった」と東京地検特捜部に供述をしている[4][5]


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p “胆沢ダム竣工”. 日刊建設工業新聞 (日刊建設工業新聞社). (2013年11月25日)
  2. ^ 胆沢ダム 国土交通省 北上川ダム統合管理事務所
  3. ^ 2009年10月10日 朝日新聞
  4. ^ 2009年3月24日 毎日新聞
  5. ^ 2009年12月19日 朝日新聞






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