渡辺謙 来歴

渡辺謙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/05 06:01 UTC 版)

来歴

デビューまで

新潟県北魚沼郡広神村にて共に教師をしていた両親の元に生まれる。両親の転勤で、幼少期を新潟県内の入広瀬村守門村(ともに現・魚沼市)、高田市で過ごす。新潟県立小出高等学校在学時には吹奏楽部に所属し、幼少の頃から親しんできたトランペットを担当。高校卒業後の1978年、東京の武蔵野音楽大学進学を目指す。しかし音大受験に必要な本格的な音楽教育は受けておらず、また渡辺が中学生の時、父・亮一が病に倒れ、仕事ができなくなったこともあり、学費捻出の困難などの問題から断念した。

同年、芥川比呂志演出による演劇集団 円公演『夜叉ヶ池』を観劇して感銘を受け、翌年に同劇団附属の研究所に入所。アルバイト先で知り合った猪俣公章の紹介で唐十郎作、蜷川幸雄演出『下谷万年町物語』のオーディションを受け、研究生ながら主演の青年役に抜擢された。

1982年、演劇集団 円の劇団員に昇格し、『未知なる反乱』でテレビデビューを果たした。1984年には『瀬戸内少年野球団』で映画デビュー。その後も『タンポポ』、『海と毒薬』などの映画に相次いで準主役級で出演。1986年のNHK連続テレビ小説はね駒』にも出演した。

『独眼竜政宗』『藤枝梅安』と闘病

1987年のNHK大河ドラマ独眼竜政宗』で主役(伊達政宗役)を演じ、39.7%という大河ドラマ史上最高の平均視聴率を獲得。一躍全国的な人気を獲得、スターダムにのし上がる。また、その頃から歌手としても1992年頃まで活動していた。

以降、舞台・テレビドラマなどで次々と大役を演じ、前途洋々に見えた1989年、映画初主演となるはずであった『天と地と』の撮影中に急性骨髄性白血病を発症し、降板。再起はおろか生命も危ぶまれたが約1年間の闘病後、治療を続けながらも俳優業に復帰。定期的に入院治療を続けながら、『仕掛人・藤枝梅安』を中心に活動するが、大きな仕事はできなかった。経過は良好に見え、一応治療が終了した1993年、NHK大河ドラマ『炎立つ』に再び主演、完全復活をアピールした。しかし、発病から5年が経った1994年に再発。再治療を行い、経過は良好となり、翌年、無事復帰を果たす。

方向性の模索

病気再発を経て再復帰した時期と前後して、初の本格的娯楽時代劇シリーズドラマ『御家人斬九郎』、2時間ドラマでは『わが町』『鍵師』などが当たり役となりシリーズ化されたが、渡辺はあまりにも強烈な「政宗」のイメージと、俳優としての評価以前にまず病気のことを持ち出されることなどに悩んでいたという。30代の終わりを機に、これらの人気シリーズを全て終了させるとともに、従来彼のイメージにはなかった悪役・ダメ男役・格好悪い役柄などを積極的に演じるようになる。2000年には、『池袋ウエストゲートパーク』に出演。2001年、久々に演劇集団 円の公演『永遠 Part2』で舞台に立つが、これが結局「円」での最後の舞台となった。2002年元日をもって演劇集団 円を退団、所属をケイダッシュに移す。

世界進出と映画初主演

日本国外映画初出演となったアメリカ映画『ラスト サムライ』(2003年公開)で、渡辺は同年度の第76回アカデミー賞助演男優賞ならびに第61回ゴールデングローブ賞 助演男優賞第30回サターン賞 助演男優賞にノミネートされる等高い評価を得る[2]。これを機にロサンゼルスに居を構え、『バットマン ビギンズ』や『SAYURI』など日本国外映画に立て続けに出演。当初通訳を要していた英会話に関しても猛勉強の末、殆どの会話を自らこなしている(現地での生活ぶりや英語学習の様子は「AERA English」に掲載中)。2005年には米国のTIME誌の表紙にグラビアが掲載されたりピープル誌が企画する「最もセクシーな外国人男性」に選出されたりするなど、米国における知名度が高い日本人俳優の一人である。

日本映画では2006年に、荻原浩の小説『明日の記憶』映画化作品で映画初主演[3]。同作品の映画化に当たっては各映画会社の駆け引きがあり、渡辺を含む複数の日本を代表する大物俳優達が候補に挙がったが、自らも闘病経験があり原作に人一倍の共感を持てた渡辺が、荻原に映画化を熱望する旨の手紙を直接送付したことで(荻原は最初誰かの悪戯だと思ったが、紛れもなく渡辺本人からのものだと知り仰天したという)、渡辺の主演で映画化された。白血病の発症以降、患者役や医療関係者役、難病を扱った作品は避けてきたが、この作品で若年性のアルツハイマー病に冒されていくという主人公を演じている。また、映画公開と同じ時期に発表した自らの著書『誰? - WHO AM I?』で、かつて白血病の治療中頻繁に受けた輸血(主に血小板輸血)が原因でC型肝炎ウイルスに感染し、『明日の記憶』の撮影はその治療の副作用に悩まされながら敢行していたことを告白。現在は急性骨髄性白血病・C型肝炎ウイルス感染ともに問題のない良好な状態を保っているという。更にこの作品で初めてエグゼクティブ・プロデューサーを兼任[4]。映画の普及とアルツハイマー病への理解を促進するため全国各地を奔走した(ただし、渡辺本人は「自分はプロデューサーというよりも『イントロデューサー(紹介者)』である」と述べている)。

2006年には、クリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』に、栗林忠道役で日本国外映画初主演。他の主要日本人キャストはオーディションの末選出されたが、渡辺だけは監督から直接出演要請があった。外国語映画賞を受賞したゴールデングローブ賞の授賞式において、壇上のクリント・イーストウッド監督は「偉大なるケン・ワタナベに敬意を表したい」と渡辺に言葉を贈った。

2007年2月25日(現地時間)、第79回アカデミー賞授賞式に出席し、カトリーヌ・ドヌーヴと2人で非英語圏の俳優代表として舞台に立ち、賞が設定されて50周年を迎えた外国語映画賞の歴史を紹介した[5][6]

2008年2月に撮影開始された映画『ダレン・シャン』にも、サーカスのオーナー、Mr.トールで出演。また、『バットマン ビギンズ』で仕事をしたクリストファー・ノーラン 監督の新作サスペンス『インセプション』で再び起用されている。

2009年10月、山崎豊子原作の映画『沈まぬ太陽』に恩地元役で主演し、第33回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、第34回報知映画賞主演男優賞を受賞。映画公開初日の舞台挨拶にて作品・撮影の厳しさを語り、男泣きした。

2014年には、『GODZILLA ゴジラ』にメインキャストの一人として出演。この作品の中で「ガッズィーラ」という英語の発音を頑なに拒否し、「ゴジラ」と日本語の発音にこだわったとインタビューに答えている[7][8][9][10]

韓国の釜山国際映画祭では日本人として初めて開幕式の司会をした[11]

2015年、ミュージカル『王様と私』でトニー賞・ミュージカル部門主演男優賞にノミネートされる[12][13][14]

2016年2月9日、早期の胃がんが発見され、手術を受けたことを明らかにした[15]。2時間弱の手術と4日間の入院後、自宅療養を経て、3月5日に渡米し、再び『王様と私』でブロードウェイミュージカルに出演を果たす[16]

吹き替えに関しては基本的に本人が行っているが、都合上出演出来ない場合は、大川透水内清光などが行っている。

栄誉賞

  • 2014年11月1日、魚沼市制施行10周年記念式典で「名誉市民称号」を授与[17]
  • 2015年9月2日、新潟県民栄誉賞授与[18]

  1. ^ a b PROFILE / プロフィール” (日本語). 渡辺謙. ケイダッシュ. 2011年10月28日閲覧。
  2. ^ 「たそがれ清兵衛」と渡辺謙さんがアカデミー賞にノミネート”. News. CINEMA TOPICS (2004年1月28日). 2015年5月10日閲覧。
  3. ^ 渡辺謙初主演作「明日の記憶」初日に感激”. シネマ ニュース. 日刊スポーツ (2006年5月14日). 2015年5月10日閲覧。
  4. ^ 明日の記憶”. 作品. Walkerplus. 2015年5月10日閲覧。
  5. ^ “<第79回アカデミー賞>会場に渡辺謙が登場”. 「MODE PRESS」AFPBB News(AFP通信). フランス通信社 / 株式会社クリエイティヴ・リンク. (2007年2月26日). https://www.afpbb.com/articles/modepress/2187661?pid=1373293 2022年9月5日閲覧。 
  6. ^ 外国語映画賞のプレゼンターで、謙さん登場!- 第79回アカデミー賞”. シネマトゥデイ. 株式会社シネマトゥデイ (2007年2月26日). 2022年9月5日閲覧。
  7. ^ 渡辺謙「ゴジラに国境も国籍もない」『GODZILLA』ハリウッドで初お披露目”. レポート. cinemacafe (2014年5月10日). 2015年5月10日閲覧。
  8. ^ 渡辺謙「GODZILLA」に確かな手応え「ゴジラに国境ない、世界中に愛されている」”. 映画ニュース. 映画.com (2014年5月10日). 2015年5月10日閲覧。
  9. ^ 渡辺謙 こだわりの発音!「GODZILLA」ではなく「ゴジラ」”. スポーツニッポン (2014年5月10日). 2015年5月10日閲覧。
  10. ^ ハリウッドが「ゴジラ」に熱狂! 映画の聖地 “ドルビー・シアター”で、「ゴジラ」を初上映!!”. 映画トピックス. 東宝 (2014年5月8日). 2015年5月10日閲覧。
  11. ^ “渡辺謙、浅野忠信、三浦春馬らがそろい踏み!第19回釜山映画祭開幕”. シネマトゥデイ. (2014年10月3日). http://www.cinematoday.jp/page/N0066925 2014年10月6日閲覧。 
  12. ^ 日本人初の快挙!渡辺謙、トニー賞主演男優賞にノミネート”. シネマトゥデイ (2015年4月28日). 2015年4月29日閲覧。
  13. ^ Kelli O'Hara and Ken Watanabe in THE KING AND I”. YouTube (2015年4月28日). 2015年4月29日閲覧。
  14. ^ 「王様と私」渡辺謙さん、トニー賞にノミネート”. YOMIURI ONLINE (2015年4月28日). 2015年4月28日閲覧。
  15. ^ “渡辺謙、早期の胃がんを公表 内視鏡手術受け療養中”. Sponichi Annex (スポーツニッポン新聞社). (2016年2月9日). http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/02/09/kiji/K20160209012011560.html 2016年2月9日閲覧。 
  16. ^ a b 胃がん手術の渡辺謙 「王様と私」に予定前倒し出演、ツイッターで発表”. スポニチアネックス (2016年3月9日). 2016年3月9日閲覧。
  17. ^ 渡辺謙 氏 魚沼市名誉市民へ!”. 魚沼市. 2014年11月2日閲覧。
  18. ^ 渡辺謙 新潟県民栄誉賞授与「故郷に少しずつお返しをしていければ」”. 『スポニチ』 (2015年9月3日). 2015年9月4日閲覧。
  19. ^ 渡辺謙の不倫はなぜ大々的に報道されたのか? 裏側にバーニング系所属事務所との関係悪化が exciteニュース 2017年4月2日
  20. ^ 世界の渡辺謙さんに「不倫」報道 お相手は元ホステスの36歳清楚系美人…「週刊文春」報じる産経新聞』2017年4月2日
  21. ^ “渡辺謙、南果歩との離婚を発表 結婚13年目の破局 昨年3月に不倫発覚”. Sponichi Annex (スポーツニッポン新聞社). (2018年5月17日). http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2018/05/17/kiji/20180517s00041000288000c.html 2018年5月17日閲覧。 
  22. ^ https://mdpr.jp/interview/detail/1505760
  23. ^ http://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20170404/Cyzowoman_201704_post_134636.html
  24. ^ 渡辺謙、新国立計画をチクリ「不思議なニュース」『スポーツ報知』2015年7月8日
  25. ^ <上海万博>「遣唐使船」が到着、12日のジャパン・デーにお披露目―上海市”. Record China (2010年6月11日). 2018年3月3日閲覧。
  26. ^ 渡辺謙 遣唐使船に乗って上海万博を訪問”. 『スポニチ』 (2010年6月13日). 2018年3月3日閲覧。
  27. ^ 男の履歴書 渡辺謙編|インライフ
  28. ^ 渡辺謙、気仙沼に毎日ファクス「五輪、東北そっちのけ」朝日新聞デジタル(2019年2月11日)2019年2月17日閲覧。
  29. ^ “渡辺謙が“山小屋で暮らす”ワケ…ハリウッド進出の知られざる挫折と被災地での活動”. FNN PRIME 「直撃!シンソウ坂上」6月6日放送. (2019年6月6日). https://www.fnn.jp/posts/00046607HDK/201906062155 
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