海水準変動 日本で知られている海水準の上昇期

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海水準変動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/01 04:58 UTC 版)

日本で知られている海水準の上昇期

第四紀後期と完新世に起きた大規模な海水準の上昇(海進現象)が、日本列島でも知られている。一つ前の間氷期(エーミアン間氷期)の時に起こったのが下末吉海進、現在の間氷期になってから起きた6000年前のものが縄文海進8世紀から12世紀にかけてのものが平安海進(ロットネスト海進)と呼ばれている。縄文時代後期から古墳時代初頭にかけて海水準の低い時期の可能性があり、北陸海退が提唱されている[1]

ローズ・フェアブリッジ教授(en)の海水準曲線によると、8世紀初頭の海水面は、現在の海水面より約1メートル低かった。10世紀初頭には現在の海水面まで上昇した。11世紀前半には現在の海水面より約50センチメートル低くなった。12世紀初頭に現在の海水面より約50センチメートル高くなった[2]。『更級日記』で真野の長者の家(現千葉県市川市)が水没した原因はこの海進であるとされる。またこの頃、ヨーロッパ中世の温暖期であった。

その後、海水面は14世紀後半のパリア海退により、現在の海水面から1メートル以上低くなった。16世紀中頃の中世海進により上昇したが、それでも現在の海水面よりは低かった[2]江戸時代は現在の海水面より約50センチメートル低く、小野忠煕は江戸海退と呼んだ。このパリア海退から江戸海退の時期は小氷期とされる[3]

最終氷期以降の海水準変動

過去12万年の海水準変動のグラフ[4]を見ると

  • およそ2万年前の最終氷期以降、海水準は大規模氷床の融解の結果120m以上上昇した(年平均6mm)。
  • 急激な海水準の上昇が1万5千年前から6千年前までの間に起こり90m(上昇率は平均10mm/年)上昇した。現在から過去2万年を平均すると3mm/年である(急激な変化を除く)。
  • 約1万4千200年前の前後500年間ほどで、融解水のパルス(Meltwater Pulse 1A、mwp-1A), という重要な出来事が起こった。この時海水準はおよそ20m上昇し、上昇率はおよそ40mm/年である。
    近年の研究では北半球のヤンガードリアス期よりも早く南半球に寒冷化の影響が現れており(Huelmo/Mascardi Cold Reversal)、寒冷化は南極の融解水を主な原因として南から北へ伝わったということを示している。
  • 地質学的データから、世界的な海水面は過去6千年間(人類が文書記録を残すようになるずっと前)、徐々に現在のレベルまで上昇。平均でおよそ0.5mm/年、過去3千年間は平均して0.1-0.2mm/年のペースで上昇した。
  • なお、ローマ時代の文献からは、イタリアでは紀元後数百年は海水準は安定していたということがわかっている。

英語版Sea level rise 12:18, 29 Mar 2005 より、地質時代の部分を抜粋・翻訳・再編集・加筆した。


  1. ^ 藤則雄, 2002, 北陸海退 the Holeurileu Regression : 縄文後期〜古墳期初頭の海水面低下の提唱 , 金沢星稜大学論集, 第36巻, 第2号, p72.
  2. ^ a b UNESCO, 1963, CHANGES OF CLIMATE (PDF) Proceedings of the Rome Symposium orgunized by Unesco und the World Meteorological Orgunization, p238.
  3. ^ 藤則雄, 2004, 縄文時代における自然環境 (3)自然環境要因の相関性, 金沢星稜大学論集1, 第37巻第3号, p17.
  4. ^ IPCC TAR, figure 11.4(2002年3月20日時点のアーカイブ


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