有限群 主要な定理

有限群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/09 09:19 UTC 版)

主要な定理

ラグランジュの定理

任意の有限群G に対して、G の任意の部分群 H位数(元の個数)は Gの位数を割り切る。この定理はジョゼフ=ルイ・ラグランジュにちなんで名付けられた。

シローの定理

この定理はラグランジュの定理の部分的な逆であり、Gの部分群の中に与えられた位数の部分群が何個存在するかについての情報を与える。

与えられた位数を持つ群の個数

ある正の整数nが与えられたとき、位数 n の群が(同型なものを1つと数えて)何個存在するかを決定するのに決まったやり方は存在しない。位数が素数 p である群は巡回群である:これはラグランジュの定理からわかるように、単位元でない任意の元は位数が p であるので、それによって生成される巡回群はそれ自身に一致するためである。 n が素数の2乗である場合には、位数 n の群は同型を除いてちょうど2種類存在するが、どちらもアーベル群である。n が素数の高いの場合は、ヒグマン英語版チャールズ・シムズ英語版が位数 n の群の(同型を除いた)個数について、漸近的に正しい概算をしている。が高くなるにつれて個数は爆発的に増加する。

例えばシローの定理などの結果から、位数 n の群の構造には n の素因数分解に依存してある制限が加わる。例えば素数 p , q に対して、 q < p かつ p − 1 が q で割り切れない場合は、位数 pq の群は必ず巡回群となる。必要十分条件については巡回数 (群論)英語版を参照されたい。

n に平方因子が存在しない場合、位数 n の群はすべて可解である。群の指標理論を用いて証明されたウィリアム・バーンサイドの定理によれば、n が2個以下の素因数でのみ割り切れるのであれば、位数 n の群はすべて可解である。 ファイト-トンプソンの定理英語版という、証明が長く複雑な定理によると、n が奇数ならば位数 n の群は可解である。

任意の正の整数 n について、位数 n の群のほとんどは可解群である。特定の位数 n についてこの事実を確認することはそれほど困難なことではない(例えば位数60の群には、同型を除いて非可解なものが1個、可解なものが12個存在する)。しかし、任意の位数 n についてこの事実を証明するには有限単純群の分類を要する。任意の正の整数 n に対して位数 n の単純群は最大でも2種類しか存在せず、位数 n の同型でない単純群が2種類存在するような正の整数 n は無限に存在する。

位数 n の異なる群の個数の表

位数 n 個数[1] アーベル群 非アーベル群
1 1 1 0
2 1 1 0
3 1 1 0
4 2 2 0
5 1 1 0
6 2 1 1
7 1 1 0
8 5 3 2
9 2 2 0
10 2 1 1
11 1 1 0
12 5 2 3
13 1 1 0
14 2 1 1
15 1 1 0
16 14 5 9
17 1 1 0
18 5 2 3
19 1 1 0
20 5 2 3
21 2 1 1
22 2 1 1
23 1 1 0
24 15 3 12
25 2 2 0

関連項目


  1. ^ John F. Humphreys, A Course in Group Theory, Oxford University Press, 1996, pp. 238-242.


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