明示公式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 08:40 UTC 版)
一般化
リーマンゼータ函数はディリクレ指標 χ のディリクレのL-函数により置き換えることができる。従って、素数べきを渡る和は余剰要素 χ(p m) と項 Φ(1) を持っていて、L-級数は極を持たないので Φ(0) は 0 となり消える。
さらに一般的には、リーマンゼータ函数や一般のL-函数は、デデキントゼータ函数を代数体のヘッケのL-級数を置き換えることにより得られる。従って、素数を渡る和は、素イデアルを渡る和に置き換えることができる。
応用
明示公式のリーマンによる元々の用途は、与えられた数よりも小さな素数の数を求める完全な公式を与えるためであった。このためには、F(log(y)) を 0 ≤ y ≤ x に対しては y1/2/log(y) であり、そうでない場合は 0 であるとすると、右辺の和の主要項は、x より小さな素数の数である。左辺の主要項は、Φ(1) であり、この式が素数定理の主要項であることが分かり、ゼータ函数の非自明な零点を渡る和が主要な補正項であることが分かる。(これを使う場合には F が滑らかであるという条件を満たさないという小さな問題がある。)
ヒルベルト・ポリア予想
ヒルベルト・ポリア予想に従うと、複素数の零点 ρ はある線型作用素 T の固有値であるはずである。明示公式の零点を渡る和は、(少なくとも形式的には、)跡(トレース)
により与えられる。
L-函数の広いクラスについての明示公式は、Weil (1952) で発展した。彼は最初に、アイデアを局所ゼータ函数へ拡張して、この設定での一般化されたリーマン予想のバージョンを、位相群上の超函数の正値性として定式化した。より最近のアラン・コンヌ(Alain Connes)の仕事は、函数解析的な背景へと大きく進み、そのように一般化されたリーマン予想に等価である跡公式をもたらした。少し異なる観点がラルフ・マイヤー(Ralf Meyer)により、アデール的空間上の調和解析を経由してヴェイユの明示公式が導かれた。
関連項目
- ^ Weisstein, Eric W. Explicit Formula on MathWorld.
- ^ a b Ingham (1990) p.77
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