セルバーグ跡公式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/04 14:12 UTC 版)
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セルバーグ跡公式(セルバーグせきこうしき、Selberg trace formula)とは、Selberg (1956) で導入された、二乗可積分函数の空間 L2(G/Γ) 上の G のユニタリ表現の指標の表現である。ここに G はリー群で Γ は余有限 (cofinite) な離散群とする。指標は、G 上のある函数のトレースにより与えられる。
Γ が余コンパクトな場合とは、離散的な和へ表現が分解するときのことを言う。ここで、跡公式とは、有限群の誘導表現の指標のフロベニウス公式(Frobenius formula)の拡張である。Γ が実数 G=R の余コンパクト部分群 Z のときには、セルバーグ跡公式は本質的にポアソン和公式である。
G/Γ がコンパクトでないときは、アイゼンシュタイン級数を使い記述された連続スペクトルとなり、より難しくなる。セルバーグは、G が群 SL2(R) の非コンパクトの場合に結果をもたらし、さらに高いランクの群への拡張がアーサー・セルバーグ跡公式(Arthur-Selberg trace formula)である。
Γ がリーマン面の基本群のとき、セルバーグ跡公式は、リーマン面の測地線の長さを意味する幾何学的データの項にラプラシアンのような微分作用素のスペクトルを書き表す。この場合にはセルバーグ跡公式は、リーマンの明示公式に似た形となり、素数のリーマンゼータ函数のゼロ点に関係し、ゼータのゼロ点はラプラシアンの固有値に対応し、素数は測地線に対応する。この類似に動機を得て、セルバーグはリーマン面のセルバーグゼータ函数を導入し、解析的な性質は、このセルバーグ跡公式にエンコードされる。
概要
セルバーグの跡公式は位相群上の関数空間に作用する積分作用素の跡を二通りの方法で計算することで得られる[1]。有限次元ベクトル空間に作用する線形作用素、つまり行列の場合、対角成分の和と固有値の和はともに行列の跡に等しいので
- 対角成分の和 = 固有値の和
が成り立つのであった。簡単にいうとこの等式の積分作用素版がセルバーグの跡公式である。
基本的な議論
セルバーグの跡公式は次のような議論を経て導出される。G を位相群、Γ をその離散部分群、f を G 上の関数とする。G 上の関数 φ に対して G 上の関数 R( f )φ を
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