旧台南警察署
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/20 07:25 UTC 版)
沿革
前身
日本統治時代の1896年(明治29年)、大日本帝国の台湾統治を軍政から民政に改めるべく、地方制度を3県1庁に変更した。1901年(明治34年)、台湾総督府民政部は「警保課」を「警察本署」に、合わせてその管轄下の地方組織でも20庁とその傘下に警務課と支庁を置いた[3]:(1-1)。
1919年(大正8年)警察本署は警務局に、その翌1920年に地方組織も5州2庁となり、このときに台南州に警務課が、州轄市の台南市にはその警務課の下に属する「警察署」が置かれた[3]:(1-1)。当初は台南市役所とともに台南州庁の建物を間借りしていた[3]:(1-1)。現在地は警察署ができる前は清朝統治時代に台湾府城の七寺八廟の一つ龍王廟があり、民生緑園造成とそれに伴う道路拡張で台南公園に移転される前の重道崇文坊も当地付近に建っていた[4]。
建設
1930年(昭和5年)10月29日、州庁舎東隣の幸町1丁目で着工[3]:(1-2)、翌1931年(昭和6年)6月22日に上棟式、11月20日に落成した[3]:(1-2)。台北南警察署(現存せず)に次いで台湾では2番目の警察専用庁舎だった[3]:(1-1)。総費用は当時の金額で91,911円97銭(建築費用86,432円3銭、設備費用5,479円94銭)[3]:(1-2)。
台湾総督府から1930年に台南州へ配属された土木技術者で、台湾建築会台南州支部長でもあった梅澤捨次郎が設計監督を[5]、梅沢が所属した土木課営繕係が工事監督を、「台南消防の父」として知られる住吉秀松が創業した建設業の住吉組を継いだ中井組が施工を担った[3]:(3-50)[注 1]。梅澤と親交の深かった台湾総督府営繕課の井手薫も技術協力という形で参加している[3]:(3-50)。警察の互助組織だった「台南州警察協会」は、秀松が建てた旧台南合同庁舎に入居していた[3]:(2-46)。1945年には米軍の空襲で庁舎の一部が全半壊している[3]:(3-15)-(3-18)。
戦後
第二次世界大戦後、台南警察署は省轄市としての台南市政府警察局となった。数度の増築を経て1998年6月26日に台南市政府は警察署庁舎を市の指定古蹟に登録[3]:(1-1)。戦前に台湾各地で建てられた警察施設の中では保存状態も良好である[7]
2010年に市が台南県との合併で直轄市に昇格すると新市政府の警察局庁舎は新営区の旧台南県警察局庁舎に集約移転した。2011年6月17日、市長の頼清徳はこの建物と同区忠義路二段の「公11立体駐車場」跡地を台南市美術館(行政法人)の拠点として美術館とすることを発表した。警察署建物は1館(近現代美術館)、駐車場は2館(当代美術館)へとリニューアルし[8][9]、2019年に正式開館[10]。また、将来的に展示スペースが不足した際は友愛街を隔てて南隣の指定古蹟「旧嘉南大圳組合事務所」とペデストリアン・デッキで連結することも嘉南農田水利会との間で合意に達している[11]。美術館1館となる警察庁舎のうち、戦後増築された部分のいくつかは撤去される[3]:(6-35)。
註釈
出典
- ^ (繁体字中国語)“台南市美術館館址選定記者會”. 台南市政府 (2011年6月17日). 2017年11月26日閲覧。
- ^ “台南美術館あす開館 日本時代庁舎再利用の1号館、2号館は坂氏設計/台湾”. フォーカス台湾. (2019年1月26日)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r (繁体字中国語)興興建築師事務所 (2006年10月). 臺南市市定古蹟「原臺南警察署」調查研究及修復計劃. 臺南市政府. ISBN 986-00-4442-2 国家図書館
- ^ “重道崇文坊”. 台南市政府観光旅遊局 (2018年12月13日). 2019年8月25日閲覧。
- ^ “建築”. ハヤシ百貨店 (2014年4月15日). 2017年11月26日閲覧。
- ^ (繁体字中国語)陳秀琍 (2019年3月). “臺南消防博物館 見證城市百年消防變遷”. 臺南市刊 (臺南市政府新聞及國際關係處) (第三十一期 悠活臺南): 41. ISSN 2223-943X .
- ^ (繁体字中国語)傅朝卿 (2013-05-25). 台灣建築的式樣脈絡 新藝術與新藝術裝飾式樣4. 五南圖書出版. p. 107. ISBN 9789571170862
- ^ a b c d (繁体字中国語)“原台南警察署 一年後卸妝”. 中華日報 (Yahoo奇摩). (2015年8月4日)
- ^ (繁体字中国語)“台南美術館在抗議聲中勘定”. 中国評論新聞網. (2011年6月17日)
- ^ “台南美術館あす開館 日本時代庁舎再利用の1号館、2号館は坂氏設計/台湾”. フォーカス台湾. (2019年1月26日) 2019年8月25日閲覧。
- ^ (繁体字中国語)“〈南部〉連結友愛街 美術館廊道更有料”. 自由時報. (2012年8月19日)
- ^ a b (繁体字中国語)“【中西區-景點】台南市警察局(原 台南警察署)(市定古蹟)”. 南人幫 (2011年6月2日). 2017年11月26日閲覧。
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