施設科
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 07:59 UTC 版)
概要
作戦の全局面において施設技術能力を駆使し、主として戦闘支援及び兵站支援を行って諸部隊を支援することを任務とする[1]。地雷原や対戦車壕等の障害の構成や処理、道路や橋梁等の破壊や構築あるいは修復、各種渡河機材を用いた渡河支援、陣地の構築など、第一線部隊に戦闘力を発揮させるための支援の他、交通路、離着陸場、港等の建設・維持、不動産業務の技術援助などの兵站を維持するための支援、測量及び地図の作成・航空写真の複製を行う。通常は施設科部隊自らが第一線に立って戦闘することは少ないが、敵陣前における地雷原の強行処理のような極めて危険な任務を遂行すること[1] もあり、特に必要な場合、予備戦力部隊として近接戦闘にも当たる[1]。
任務の特性上、多くの建設機械を保有しているため災害派遣や国際貢献などでも施設科が活躍する[1]。自衛隊草創期に多く行われた土木工事等の受託でも施設科部隊が多く運用され、初のPKO活動となった自衛隊カンボジア派遣においては施設大隊、自衛隊東ティモール派遣では施設群が派遣された。2010年(平成22年)には1月に発生したハイチ地震 (2010年)に対する国際貢献(国際連合ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH))の一環として陸上自衛隊の施設科部隊が主力となり、のべ3年間にわたり復興活動を行った(詳細は自衛隊ハイチPKO派遣を参照)。2011年7月に北部スーダンから分離独立を果たした南スーダン共和国の施設基盤整備を行うため、2012年から2017年まで施設科を主力とした500名程度の部隊が派遣された(詳細は自衛隊南スーダン派遣を参照)。
部隊編制として、最も規模の大きなものは施設団であり5個の各方面隊に1個ずつ編成されている。施設器材隊(架橋中隊、特殊器材中隊)、ダンプ車両中隊、施設隊が施設団直轄に、施設団直轄または隷下の施設群の中に編制として水際障害中隊がある。また、各師団には施設大隊・各旅団には施設隊が置かれている。そのほか、各普通科連隊、即応機動連隊隷下の本部管理中隊には施設作業小隊が、各戦車連隊、第11普通科連隊隷下の本部管理中隊には施設小隊が、中央即応連隊・第1空挺団・水陸機動団には施設中隊が編成されている。また、後方支援部隊の施設直接支援大隊等の部隊も施設科隊員を主力として編成される。
職種学校は勝田駐屯地にある陸上自衛隊施設学校、教育支援部隊は同校直轄の施設教導隊、陸上自衛隊富士学校の教育支援施設隊である。他、化学科と装備が共通するも人員除染に関しては施設科も一部担当する[2]。
施設科部隊
施設科又はこれと同種の部隊として、施設団本部及び本部付隊、施設群本部及び本部管理中隊、施設大隊、架橋中隊、施設器材(中)隊、ダンプ車両中隊、施設(中)隊、水際障害中隊、空挺団施設中隊、水陸機動団施設中隊、教育支援施設隊、施設教導隊が、施設科又はこれと同種の機関として、陸上自衛隊施設学校がある。
- 方面隊直轄施設団
- 師団直轄施設大隊
- 第1施設大隊(朝霞駐屯地)第1師団
- 第2施設大隊(旭川駐屯地)第2師団
- 第3施設大隊(大久保駐屯地)第3師団
- 第4施設大隊(大村駐屯地)第4師団
- 第6施設大隊(神町駐屯地)第6師団
- 第7施設大隊(東千歳駐屯地)第7師団
- 第8施設大隊(川内駐屯地)第8師団
- 第9施設大隊(八戸駐屯地)第9師団
- 第10施設大隊(春日井駐屯地)第10師団
- 旅団直轄施設隊
- 第5施設隊(帯広駐屯地)第5旅団
- 第11施設隊(真駒内駐屯地)第11旅団
- 第12施設隊(新町駐屯地)第12旅団
- 第13施設隊(海田市駐屯地)第13旅団
- 第14施設隊(徳島駐屯地)第14旅団
- 第15施設隊(那覇駐屯地)第15旅団
- 防衛大臣直轄機関・部隊
- ^ a b c d 『陸上自衛隊パーフェクトガイド 2008-2009』学習研究社、2008年、122-128頁。ISBN 978-4056051414。
- ^ 普通科連隊の施設小隊が該当
- ^ “[chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/funaoka/camp_funaoka/contents/1-1-aboutus/images/aboutus-main-img2.pdf 第2施設団の沿革]”. 2024年1月28日閲覧。
- ^ “小郡駐屯地のあゆみ-陸上自衛隊第5施設団 小郡駐屯地”. www.mod.go.jp. 2022年5月4日閲覧。
- ^ “第2施設団の沿革”. 2022/4/24閲覧。
- ^ “第5施設群HP”. 陸上自衛隊. 2022年10月23日閲覧。
- ^ a b 「築城・障害」を担当
- ^ 『第一管区隊史 保安隊編』保安隊第一管区総監部、1958年。
- ^ 「19年度末部隊新改編 詳報」朝雲新聞(2008年4月3日付)
- ^ a b 陸上自衛隊 第15旅団 [@jgsdf_15b_pr] (2022年3月31日). "【第15施設「中隊」から「隊」へ改編】". X(旧Twitter)より2022年4月8日閲覧。
- ^ a b “第15施設隊に改編 島しょ展開能力を拡充”. 防衛ニュース (防衛ホーム). (2020年4月15日) 2022年5月9日閲覧。
- ^ “駐屯地史跡巡り”. 2024年4月3日閲覧。
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