必殺仕置屋稼業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/12 10:09 UTC 版)
登場人物
仕置屋
- 中村主水
- 演 - 藤田まこと[7]
- 南町奉行所の定町廻り同心。
- 組替えで、北町奉行所から南町奉行所へ転属となった。目明しの亀吉が下っ引きとして付き、厳しい規律のために袖の下は得られず、新築した離れの代金や表の仕事の失敗による減俸で中村家の家計は困窮する。他方で、村野の出す金一封の為に職務に励む姿が見られる。飯屋の女中 おはつに一目惚れして隙を見ては飯屋に出入りする。
- 裏稼業から足を洗っていたが、おこうの再三の誘いを受けたのを機に復帰する。『必殺仕置人』『暗闇仕留人』とは裏稼業に対する考え方が明確に変化。死んだ被害者の心情を記した手紙の受け取りを拒否する(第1話)など悪に対する義憤を燃やすことなく、「稼業」として淡々と仕置を行う姿勢となった。仲間への不信といったシビアさも前作に比べ、目立つ。
- 最終回で、自分の命と市松の命を天秤に掛けて悩んだ挙句に後者を選び、伝馬町牢屋敷の牢屋見廻り同心に降格したが、おこうの死に際の頼みを受けて、以後も裏の仕事を継続した。
- 市松
- 演 - 沖雅也
- 竹細工師。
- 整った顔立ちの色男で情に流されない冷淡な性格。殺し屋としてのプロ意識が非常に高く、万難を排して仕置を遂行する。
- 主水に自分の殺しの現場を見られた為、彼の命を狙うが命のやり取りを経て、仕置屋となる。他の組織からも別件の殺しの依頼を受けており、それが上手く噛み合うことがあったが最終回では仇となり、仕置屋グループ崩壊の原因を招いてしまう。
- 父親の市造[8]は殺し屋だったが仲間の罠に嵌まり、死亡した。幼い市松は悪人の養子となり、殺し屋として育てられたが市造の死の真相を知り、悪人を自分の手で始末した(第2話)。
- 感情を面に表さず、仲間意識も乏しいように見える為に主水や捨三から警戒されることが多い反面、堅気の人間に対しては無償の優しさを示し、竹細工の玩具で遊ぶ子供たちの前では温かい笑顔を見せる。自分に言い寄って来る女性には冷淡だが、悪人に苦しめられる女性には優しい。
- 最終回で奉行所に捕えられるが主水や捨三の助力により逃亡、江戸を離れた。次作『必殺仕業人』は名前のみの登場だが、逃亡先で赤井剣之介と出会い、主水を彼に紹介した。
- 印玄
- 演 - 新克利
- 破戒僧。
- 坊主頭の中年男性で竹の湯の釜場に入り浸り、女湯を覗いている。捨三の友人で設定年齢は30歳(第26話)。本名は「多助」(第13話)[9]。
- 上州で幼少期を過ごしたが家庭環境に恵まれず、幼少時に母と生き別れ、以後は父と暮らしていたが生活苦から父が印玄を道連れとして無理心中を図り、印玄が生き残った。印玄が青年になった頃に母との再会を果たすが息子や夫への愛情は無く、再会した息子に関係を求める姿に失望した印玄は情夫とともに母を仕置した(第13話)。
- 基本的に明るい性格だが、躁鬱と呼べる程に気分の浮き沈みが激しい。
- 裏の仕事に出向く前に女郎屋に足を運んで、女を抱くのが習慣になっている[10]。
- 市松の不遜な態度に不快感を示すことがあるが捨三と違い、邪険にされても市松との交流を深めようという姿勢を見せて、最終回では唯一、市松の身の潔白を主張した。
- 最終回で悪人に捕らえられた、おこうを助け出す。おこうを屋根から下ろす最中に悪人に背後から匕首で刺されるが、おこうを市松に託した後に悪人を道連れにして屋根から飛び降り、死亡した。
- 捨三
- 演 - 渡辺篤史
- 銭湯「竹の湯」の釜番。
- 仕置屋の密偵で、自分の勤める釜場が仕置屋の隠れ家となっている。
- かつて掏摸をしていた頃に主水から目こぼしを受けて以来、彼を慕うようになる。主水シリーズの他の密偵たちが基本的に主水と対等な関係として描かれるのに対して、主水と捨三のそれは完全な主従関係である。
- 主水に対する忠誠心が強く、主水に対する市松の不遜な態度に食って掛かったり、悪人が主水に向けた短筒の前に身を呈して庇ったりと主水に尽くす場面が多い。
- 仕置屋であることに矜恃を持ち、殺し屋の市松に対しては不快感と不信感を抱いているが仲間としての意識は強く、最終回では伝馬町牢屋敷へ護送される市松の逃亡を幇助する為に身体を張っての危険を冒している。
- 第1話の時点で、主水の裏の顔を知っていたが経緯は不明。主水の裏稼業再開に際して、友人の印玄を紹介した。自らは情報収集と連絡係を担っている。初期は変装術を駆使した(第1、6、9、11、14話)。
- おこう
- 演 - 中村玉緒[11]
- 女髪結い。
- 新富町で髪結い床を営んでいる。客に対する、おべっかが上手く、金にはがめついが弱者への情に厚い。上方出身で京言葉を話す。
- 主水がかつて仕置人として裏稼業を行っていたことを知り、彼を復帰させた。彼女が頼み人から依頼を受けて、おさすり地蔵で主水と密会した上で仕置を依頼する。主水が間に入る為、仕置その物については殆ど知らないが市松のことは知っていた。
- 主水に想いを寄せており、主水が中村家から離縁されても自分が養うとまで言い切る程だったが最終回で悪人の報復により熾烈な拷問を受ける。印玄と市松に救出されるが主水に裏稼業を続ける様に頼み、死亡した。
- おこう役の中村玉緒と主水役の藤田まことは本作終了の数カ月後に放送された時代劇『夫婦旅日記 さらば浪人』で夫婦役を演じている。
その他
- 中村せん
- 演 - 菅井きん
- 主水の姑。婿養子の主水をいびる。
- 南町への転属当初は主水を褒めていたが心付けが貰えず、離れの新築費用もあり、家計が困窮すると主水をいびるようになる。
- 中村りつ
- 演 - 白木万理
- 主水の妻。せんとともに、婿養子の主水をいびる。
- 亀吉
- 演 - 小松政夫[12]
- 目明し。
- 手柄が無く、主水の南町奉行所 着任に伴い、彼の下っ引きとなる。陽気で、お調子者の性格。
- 主水の無茶に付き従う一方で、せんとりつから小遣いを貰い、主水の行動を監視する役目を仰せ使っている。
- 主水からは「亀」と呼ばれている。
- 後に『新・必殺仕置人』第15話で、ゲスト出演している。
- 与力 村野
- 演 - 宗方勝巳[13]
- 南町奉行所の与力で、主水の上司。
- 規律に厳しい南町奉行所を代表する清廉な人物。昼行灯の主水を叱責することが多いが他シリーズでは上司から軽んじられる主水の話を公平に聞き、逆に相談を持ち掛けて、金一封を餌として主水を動かすことがあった
- おはつ
- 演 - 石原初音[14]
- 主水が行き付けの一膳飯屋で女中をしている少女。
- 主水は羽織を脱いで店に行くのは彼女が目当てだが年齢が離れている為、「おじさん」と呼んで軽く あしらう。主水が同心という事は全く気付いていない。
- 家庭と職場で軽んじられている主水に取って癒しのような存在である。
- おふく
- 演 - 近松麗江[15]
- おはつが勤める一膳飯屋の女将。
- 旗本たちが町で無法行為をした際は奉行所に訴状を持って直訴しに行くなど(第16話)、正義感の強い女性である。
- るみ[16]
- 演 - 香川留美[17]
- おこうが営む髪結い床の店員。
- のぞみ[18]
- 演 - 星野のぞみ[19]
- おこうが営む髪結い床の店員。
ゲスト
- 第1話 「一筆啓上 地獄が見えた」
- 第2話 「一筆啓上 罠が見えた」
- 第3話 「一筆啓上 紐が見えた」
- 第4話 「一筆啓上 仕掛が見えた」
- 第5話 「一筆啓上 幽鬼が見えた」
- 第6話 「一筆啓上 怨霊が見えた」
- 第7話 「一筆啓上 邪心が見えた」
- 第8話 「一筆啓上 正体が見えた」
- 第9話 「一筆啓上 偽善が見えた」
- 第10話 「一筆啓上 姦計が見えた」
- 第11話 「一筆啓上 悪用が見えた」
- 第12話 「一筆啓上 魔性が見えた」
- 第13話 「一筆啓上 過去が見えた」
- 第14話 「一筆啓上 不義が見えた」
- 第15話 「一筆啓上 欺瞞が見えた」
- 第16話 「一筆啓上 無法が見えた」
- 第17話 「一筆啓上 裏芸が見えた」
- 第18話 「一筆啓上 不実が見えた」
- 第19話 「一筆啓上 業苦が見えた」
- 第20話 「一筆啓上 手練が見えた」
- 第21話 「一筆啓上 逆夢が見えた」
- 第22話 「一筆啓上 狂言が見えた」
- 第23話 「一筆啓上 墓穴が見えた」
- 第24話 「一筆啓上 血縁が見えた」
- 第25話 「一筆啓上 不倫が見えた」
- 第26話 「一筆啓上 脅迫が見えた」
- 第27話 「一筆啓上 大奥が見えた」
- 第28話 「一筆啓上 崩壊が見えた」
- ^ a b c 本名は伊藤美音子のようであり(葵三音子-昭和碟典)、ネットでは「美音子」の表記も見られるが、当番組の主題歌や出演の表記は三音子(みねこ)である
- ^ “必殺仕置屋稼業とは”. kotobank. 2021年7月23日閲覧。
- ^ 第14話以降は、22:00 - 22:54。
- ^ a b “必殺仕置屋稼業”. 千葉テレビ. 2021年7月23日閲覧。
- ^ 参照:必殺必中仕事屋稼業#腸捻転解消(ネットチェンジ)
- ^ 制作スタッフは「藤田のテロップ部分に起こし効果を追加する」「他の出演者はタイトルバックが静止画なのに対して、藤田は動画とする」という措置を取っている。
- ^ クレジットは「起こし」。
- ^ 第2話で市松の回想という形で登場。沖の二役。
- ^ LD『必殺仕置屋稼業』ライナーノーツ解説、角川書店『必殺シリーズ 完全殺し屋名鑑』に記載。
- ^ 絶倫で女郎達からは敬遠されているが嫌がる女郎を捕まえては脇に抱え、廓内の部屋へ連れ込み、事を終えてから裏の仕事に向かう。
- ^ 第1 - 9、11、13、15 - 22、24 - 26、28話
- ^ 第1 - 13、16 - 19、22 - 25話
- ^ 第2 - 5、7 - 9、11、12、16、17、19 - 21、23 - 25、27、28話
- ^ 第2 - 11、13 - 17、19、21 - 24、26、27話。第15話のエンディングでは「お初」と表記。
- ^ 第2、4、9、16話
- ^ 役名の名前と同様。
- ^ 第3 - 6、8、9、13、20、22話。第3話のエンディングでは「髪結の少女 るみ」と表記。
- ^ 同じく役名の名前と同様。
- ^ 第3 - 6、8、9、13、17、20、22、28話。第3話のエンディングでは「髪結の少女 のぞみ」と表記。
- ^ 特別出演のクレジット表記は無し。
- ^ 主題歌『哀愁』の歌唱者。劇中でも一節披露している。
- ^ 大学在学中で松浦竹夫演劇研究所に入る前の仕事。1分足らずの出演だが、おそらく初の映像出演
- ^ その後は折鶴が悪人の血で赤く染まる。
- ^ 一度に押された二人組が「止めて!」「助けて!」と交互に叫び、屋根の下で転落していく悪人を目の当たりにした女が「止まって止まって止まって!」と無意識に叫んでしまう事があった。
- ^ 第26話を除く。
- ^ 第5、11、13、14、19、22話を除く。
- ^ 一部資料での「桜井康裕」という情報は誤り。
- ^ 一部資料での「長谷和夫」という情報は誤り。
- ^ テレビ新広島が開局するまでは広島テレビが日本テレビ系とフジテレビ系のクロスネット局であった関係で、広島ホームテレビは中国放送と共に広島テレビの編成から外れた日本テレビ系の番組とフジテレビ系の番組を、中国放送は広島ホームテレビの編成から外れたNETテレビ系列の番組を放送していた為、本来の金曜22:00枠に『ワールドプロレスリング』を2時間遅れ(本来の20:00枠はフジテレビから『歌謡ヒットプラザ』を同時ネット)で放送していたことによる。
- ^ 後年の再放送で初放送となった。
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