後期高齢者医療制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/06 10:47 UTC 版)
保険者
都道府県ごとに後期高齢者医療広域連合(その都道府県の区域内の全市町村が加入する広域連合。以下、特に断らない限り「広域連合」と略す)が置かれ、保険者となる(第48条)。いわゆる「委譲事務」ではないため、政令指定都市も独立した運営ではなく、その市がある都道府県の広域連合に参加する。なお、保険料の徴収事務や申請・届出の受け付け、窓口業務については市町村が処理する事務とされる。
広域連合及び市町村は、後期高齢者医療に関する収入及び支出について特別会計を設けなければならない(第49条)。
広域連合は、健康教育、健康相談、健康診査その他の被保険者の健康の保持増進のために必要な事業を行うように努めなければならない(第125条)。
被保険者
年 | 被保険者数 (千人) |
うち現役並み 所得者(千人) |
一人あたり 医療費(円) |
---|---|---|---|
2008年(平成20年) | 13,210 | 1,073 | 785,904 |
2009年 | 13,615 | 1,033 | 882,118 |
2010年 | 14,059 | 1,012 | 904,795 |
2011年 | 14,483 | 1,013 | 918,206 |
2012年 | 14,904 | 1,016 | 919,529 |
2013年 | 15,266 | 1,021 | 929,573 |
2014年 | 15,545 | 1,038 | 932,290 |
対象となる被保険者は以下のとおり(第50条)。ただし、生活保護法による生活保護を受けている世帯に属する者その他適用除外とすべき特別の理由がある者を除く(第51条)。
- 広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者
- 広域連合の区域内に住所を有する65歳〜74歳の者であって、政令で定める程度の障害の状態にある旨の認定を広域連合から受けた者
- 被保険者証の保険者番号は、39から始まる8桁の番号となる。
- 75歳(障害の状態にある場合は65~74歳)に達しても、海外在住により広域連合の区域内に住所が無い場合は、被保険者とならない。
被保険者の人数が最も多いのは東京都の約143万人。最も少ないのが鳥取県の約9万人である(平成28年12月現在)[5]。
被保険者資格の取得
75歳到達による資格取得日は、75歳の誕生日当日である(第52条1項)[注釈 1]。この場合、14日以内に所定の届出を広域連合にしなければならない(施行規則第10条)。したがって、1日生まれの人は、当月から保険料が課されることになる。また、2月29日生まれの者の平年における資格取得日は3月1日となる[注釈 2]
障害認定による資格取得日は、広域連合が障害認定した日となる(第52条3項)。認定を受けようとする場合、所定の申請書に障害の状態を明らかにする書類を添えて、広域連合に申請しなければならない(施行規則第8条)
住所地特例
保険者である広域連合の区域外にある、住所地特例対象の施設に住所を移した場合に、引き続き従前の保険者の被保険者となる仕組み(第55条)。
- 住所地特例の判断は保険者単位となるため、同一都道府県内の他の市区町村の住所地特例の対象施設等に住所を移しても、住所地特例とならない。
- 国民健康保険法第116条の2の規定により、住所地特例の適用を受けて、従前の住所地の市町村の国民健康保険被保険者とされている者が、75歳到達等により後期高齢者医療に加入した場合には、特例を引き継ぎ、従前の住所地の後期高齢者医療広域連合の被保険者とする(平成27年5月29日保発0527第1号)。
保険給付
国民健康保険と同じく、加入者全員が「被保険者」となる(「被扶養者」という概念はない)ため、被用者保険(健康保険、船員保険、共済組合等)に定める「家族給付」は存在しない。
絶対的必要給付
法律により広域連合に実施が義務付けられる給付である。
- 療養の給付(第64条)
- 一部負担金割合は、現役並み所得者は3割、それ以外の者は1割(第67条)。ただし現役並み所得者であっても、基準収入額未満であることを申請(基準収入額適用申請)すると1割になる(施行令第7条、施行規則第32条)。詳細は療養の給付#一部負担金を参照のこと。
- 入院時食事療養費(第74条)
- 入院時生活療養費(第75条)
- 保険外併用療養費(第76条)
- 療養費(第77条)
- 訪問看護療養費(第78条)
- 移送費(第83条)
- 高額療養費(第84条)
- 高額介護合算療養費(第85条)
- 高額療養費・高額介護合算療養費の計算方法は、70歳以上である国民健康保険の被保険者と同じである。また、65~69歳で障害認定により後期高齢者医療制度の被保険者となった者も70歳以上の国民健康保険の被保険者の計算方法を用いる。
以上については、それぞれ当該記事を参照のこと。
- 特別療養費(第82条)- 被保険者資格証明書による医療受給。国民健康保険と内容は同じである。詳細は国民健康保険#保険料の滞納を参照のこと。
相対的必要給付
広域連合の条例の定めるところにより行うものとされるが、特別の理由があるときにはその全部又は一部を行わないことができる(第86条1項)。
任意給付
広域連合の条例の定めるところにより行うことができる(第86条2項)。
- 傷病手当金
- 付加給付(第56条3号)
- 後期高齢者医療制度のページへのリンク