安息香 安息香の概要

安息香

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 03:03 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
ジャワ島ガンボン産の処理済スマトラ安息香 (Styrax benzoin) 樹脂

ベンゾイン (benzoin) とも呼ばれるが、化合物名のベンゾインとは別である。安息香酸 (benzoic acid) の名はこの樹脂から得られたことによる。ベンゼン (benzene) の名も安息香酸から得られたことにちなむので、間接的にこの樹脂に由来している。

名前の由来

安息香の名の由来にはいくつかの説がある。一説にはパルティア(漢名が安息)で用いられていた香りと安息香の香りが似ていたのでこの名がついたという。また中国の時代に記された『本草綱目』には諸邪を安息する効能があることから名づけられたとの記載がある。また、チンキの蒸気に呼吸器粘膜を刺激して痰の排出を促進する作用があることから安息香と名づけられたという説もある。

ベンゾインの名はガム・ベンジャミンと呼ばれていたものが訛ったものと考えられている。またこのベンジャミンは人名由来ではなくジャワから来た香を意味するアラビア語のルバーン・ジャーウィー(لبان جاوي、ジャワの乳香)が訛ったものという説がある。

産地

安息香の主な産地はタイラオスベトナムの高原地方を中心とするインドシナ半島インドネシアスマトラ島である。

インドシナ半島とインドネシアでは産出する樹木の種に違いがあり、前者はシャム安息香 (S. tonkinensis)、後者はスマトラ安息香(アンソクコウノキ)と区別されている。

産出量はスマトラ安息香の方がずっと多いが、香料としての品質はシャム安息香の方がすぐれている。これは安息香の香気に主要な寄与をしているバニリンの含有量がシャム安息香の方がずっと高いためである。

成分

安息香の主要な成分は芳香族カルボン酸とそのエステルである。シャム安息香では安息香酸とそのエステルが主成分である。バニリンは3%程度含まれる。スマトラ安息香ではケイ皮酸とそのエステルが主成分で、バニリンは1%程度と少ない。

用途

安息香は香料として使用される。

そのほか、含まれる安息香酸の静菌作用により食品添加物保存料として使用されていたとの書籍上の記載もある。ただし、食品添加物としての使用については、香料としての使用実績はあっても保存料としての使用実績は無いのではないかと疑問視する研究者もいる。

脚注

[脚注の使い方]

  1. ^ Pastrorova I, de Koster CG, Boom JJ (1997). “Analytic Study of Free and Ester Bound Benzoic and Cinnamic Acids of Gum Benzoin Resins by GC-MS HPLC-frit FAB-MS”. Phytochem. Anal. 8 (8): 63–73. doi:10.1002/(SICI)1099-1565(199703)8:2<63::AID-PCA337>3.0.CO;2-Y. 
  2. ^ Arcigola Slow Food Editore, ed (1977). Ricette di Osterie dell'Emilia. pp. 150. ISBN 88-86283-29-6 


「安息香」の続きの解説一覧




安息香と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「安息香」の関連用語

安息香のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



安息香のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの安息香 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS