大英図書館
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所蔵資料
大英図書館はその設立の経緯から、イギリスの旧王室図書館を経て大英博物館に集められた蔵書を数多く所有し、世界中の3000年分にわたる写本、稀覯本と言ったものが多数蔵書として管理されているのが特徴である。古書や外国文献の収集も盛んに行われている。
また、セント・パンクラス館内には、人文、科学技術、貴重書、手稿、東洋・インド文献などの複数のテーマ別閲覧室が設置されている[18]。
大英図書館の蔵書は、毎年およそ300万冊のペースで増加しており[1]、一日あたりに換算すると、毎日8,000冊ほどの新刊が納められていることになる。図書館の書架の長さの総延長は625kmで、一年に12km延びている計算になる。所蔵する最古の資料は中国の甲骨で、紀元前1600年にまで遡る。蔵書(所蔵品)の構成は、2500万冊以上の書籍、5800万件の特許、92万部の新聞・雑誌、160万曲の音楽、800のデータベース、40万リールのマイクロフィルム、800万点の切手・証紙、430万点の地図制作用品である。
図書コレクション
大英図書館の蔵書の中で最も重要なものは、マグナ・カルタの手稿(2部)[19]、ベーオウルフ叙事詩の唯一保存された古写本、グーテンベルク聖書(2冊)[20]、シェイクスピアのファースト・フォリオ(5冊)[21]、シナイ写本[22]である。大英図書館によると、同館の2500万冊以上の蔵書は、これまでにイギリスで印刷されたほぼ全ての図書を網羅しているという。さらに、図書の購入については、大英図書館にとって必要なものだけに留まらない。例えば、2012年に大英図書館はヨーロッパで最も古い有名な書物である聖カスバートの福音書の写本を購入した。この写本は、聖カスバートの死後、698年頃に棺とともに埋められたもので、大英図書館はこれを900万ポンドで購入した。印刷されたものとして世に知られた世界最古の書物は、グーテンベルク聖書よりも600年近く前に出された、中国の金剛般若経の868年5月11日の版で、大英図書館に所蔵されている。このほか、サントメール、ボーフォート、パリ、スフォルツァ家、テイマウス城、エティエンヌ・シュヴァリエの各時祷書を所蔵する。また、世界最大の聖書コレクションも大英図書館に所蔵されており、前述したグーテンベルク聖書とシナイ写本の他に、グランヴァルの聖書、フランケンタールの聖書、リンディスファーンの福音書などがある。
貴重な所蔵品
大英図書館が選ぶ貴重な所蔵品には以下のような品がある:[23]
- 金剛般若経(出版年が確認できる世界最古の印刷書で[24]、唐代の868年に印刷された)
- シナイ写本の大部分(4世紀頃にコイネー・ギリシャ語で書かれた、世界で2番目に古い聖書の写本[25])
- アレクサンドリア写本(コイネー・ギリシャ語で書かれた初期の聖書の写本)
- リンディスファーンの福音書(ノーサンブリアで製作された福音書のラテン語装飾写本)
- 聖カスバートの福音書(西洋風の装丁がなされた最古のノーサンブリアの福音書)
- 2冊のグーテンベルク聖書(1450年代にドイツのマインツで印刷されたラテン語聖書)
- 1215年のマグナ・カルタの手稿(2部)
- 唯一保存された叙事詩『ベーオウルフ』の古写本[26]
- ベッドフォードの時祷書(かつてベッドフォード公が所有していた、豊かに彩られた中世後期の時祷書)
- 皇帝イヴァン・アレクサンダルの諸福音書(1355年から1356年にかけて製作された、最も重要な中世ブルガリアの装飾写本)
- アランデル手稿(レオナルド・ダ・ヴィンチ手稿の一つ)
- 1534年のウィリアム・ティンダル訳『新約聖書』英語版(アン・ブーリンの蔵書より[27])
- ヘンデル作曲の『メサイア』の自筆譜
- ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』の手稿
- ^ カレントアウェアネス・ポータルの例にあるように、国立国会図書館では主にこちらの名称が用いられている。
- ^ a b c 「文化の十字路 大英図書館」『日本経済新聞』朝刊2020年1月12日(NIKKEI The STYLE)9-11面
- ^ “British Library(大英図書館)” (PDF). British Library. 2016年12月24日閲覧。
- ^ a b オンライン版のブリタニカ百科事典のこちらから確認できる。
- ^ In Our Time: The Written World.
- ^ a b c d e f g “History of the British Library”. British Library. 2016年12月25日閲覧。
- ^ George III Collection: the King’s Library from bl.uk
- ^ Barry Taylor: Thomas Grenville (1755–1846) and his Books. In: Giles Mandelbrote (Hrsg.): Libraries within the library. The origins of the British Library’s printed collections. British Library, London 2009, ISBN 978-0-7123-5035-8, pp. 321–340.
- ^ Andy Stephens: The history of the British national bibliography 1950–1973. British Library, Boston Spa 1994, ISBN 0-7123-1069-X.
- ^ “The British Library, London”. 2011年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月6日閲覧。
- ^ Robert C. Barrington Partridge "The history of the legal deposit of books throughout the British Empire", London: Library Association, 1938
- ^ 平野 2005, p.95
- ^ 平野 2005, pp.95-97
- ^ 平野 2005, p.97
- ^ “How to deposit printed publications”. The British Library. 2016年12月28日閲覧。
- ^ 平野 2005, p.96
- ^ “Legal Deposit Libraries Act 2003”. Office of Public Sector Information. 2010年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年2月7日閲覧。
- ^ 平野 2005, p.101
- ^ “St Pancras Reading Rooms - Reading Rooms subject focus”. The British Library. 2016年12月28日閲覧。
- ^ “Treasures in full: Magna Carta”. The British Library. 2016年12月27日閲覧。
- ^ “Treasures in full: Gutenberg-Bible”. The British Library. 2016年12月27日閲覧。
- ^ “Shakespeare’s First Folio”. The British Library. 2016年12月27日閲覧。
- ^ Bruce Metzger: The Text of the New Testament: Its Transmission, Corruption and Restoration. Oxford University Press, Oxford 1992, p.46
- ^ “Highlights tour”. British Library (2003年11月30日). 2011年2月6日閲覧。
- ^ “BL, Facts & figures”. British Library. 2010年4月12日閲覧。
- ^ Sinai: The Site & the History by Mursi Saad El Din, Ayman Taher, Luciano Romano 1998 ISBN 0-8147-2203-2 page 101
- ^ “Beowulf: sole surviving manuscript”. The British Library. 2008年10月22日閲覧。
- ^ “Let There Be Light”. Library of Congress Information Bulletin. Library of Congress (1997年7月). 2010年4月12日閲覧。
固有名詞の分類
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