大島本 その他の「大島本」

大島本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/18 00:18 UTC 版)

その他の「大島本」

本項で以上解説した以外の写本で、「大島本」と呼ばれるもののいくつかを列挙する。

源氏物語の写本では、以下。

  • 全帖にわたって河内本系統の本文を持つとされる大島河内本と呼ばれる写本。現在は中京大学の所蔵。
  • 耕雲本の一伝本とされる伝冷泉為清筆とされる54帖の揃い本。校異源氏物語及び源氏物語大成には不採用[31][32]
  • 46帖からなる伝本。筆写は不詳。青表紙本系統の本文を持つとされる。校異源氏物語及び源氏物語大成には不採用[33]
  • 耕雲筆花宴巻。青表紙本系統の本文を持つとされる。校異源氏物語及び源氏物語大成には写本記号「長」、「伝耕雲花山院長親筆 大島雅太郎蔵」として採用[34][35]
  • 二条為氏筆松風巻。青表紙本系統の本文を持つとされる。校異源氏物語及び源氏物語大成には写本記号「氏」、「伝二条為氏筆 大島雅太郎蔵」として採用。現在は日本大学所蔵。[36][37]
  • 伝二条為氏筆鈴虫巻。青表紙本系統の本文を持つとされる。校異源氏物語及び源氏物語大成には写本記号「島」、「伝二条為氏筆 大島雅太郎蔵」として採用。現在は日本大学所蔵。[38][39]
  • 冷泉為相筆鈴虫巻。河内本系統の本文を持つとされる。校異源氏物語及び源氏物語大成には写本記号「冷」、「伝冷泉為相筆写 大島雅太郎蔵」として採用。現在は日本大学所蔵。[40][41]
  • 藤原為家筆藤裏葉巻。河内本系統の本文を持つとされる。校異源氏物語及び源氏物語大成には写本記号「青」、「伝藤原為家筆写 大島雅太郎蔵(青谿書屋)」として採用。現在は日本大学所蔵。[42][43]
  • 二条為氏筆柏木巻。河内本系統の本文を持つとされる。校異源氏物語及び源氏物語大成には写本記号「谿」、「伝二条為氏筆写 大島雅太郎蔵(青谿書屋)」として採用。現在は日本大学所蔵。[44][45]
  • 伝二条為氏筆紅葉賀巻。別本の本文を持つとされる。校異源氏物語及び源氏物語大成には写本記号「氏」、「伝二条為氏筆 大島雅太郎蔵」として採用。現在は日本大学所蔵。[46][47]
  • 西行筆竹河巻。別本の本文を持つとされる。校異源氏物語及び源氏物語大成には写本記号「大」、「伝西行筆写 大島雅太郎蔵」として採用。現在は天理図書館所蔵。[48][49]
  • 伝西行筆竹河巻。別本の本文を持つとされる。校異源氏物語及び源氏物語大成には写本記号「西」、「伝西行筆写 大島雅太郎蔵」として採用。
  • 伝藤原為家筆夕霧巻。校異源氏物語及び源氏物語大成には不採用。現在は日本大学所蔵。[50][51]

源氏物語以外では以下。


注釈

  1. ^ 「宮河」印を有する19 帖、他の34帖
  2. ^ 田中とみについては千利休の末裔である可能性を指摘されている[5]
  3. ^ ある古書店が付けた価格が400円であったのに対して、希望価格は一万円であった。
  4. ^ ただし十数帖は必ずしも大島本を優先しない。#各種校訂本での大島本の採用状況に後述。
  5. ^ 但しその後に見いだされた明融本にされているものもあると見られる。
  6. ^ 残りの5帖は、臨模本以外も含む明融本を使用している。
  7. ^ 平安時代には「みこ」なる言葉は天皇の子についてのみ用いられ、親王などそれ以外の貴人の子はあくまで「御こ」(おほむこ)と厳密に使い分けられている事を指摘[21]

出典

  1. ^ 佐々木孝浩「蔵書家大内政弘をめぐって」佐藤道生編『名だたる蔵書家、隠れた蔵書家』慶応義塾大学出版会、2010年(平成22年)11月、pp. 57-79。ISBN 978-4-7664-1764-7
  2. ^ a b c d e 佐々木孝浩「「大島本源氏物語」に関する書誌学的考察」「斯道文庫論集」第41輯(慶應義塾大学斯道文庫、2007年(平成19年)2月28日)pp.165-200、『大島本源氏物語の再検討』(和泉書院、2009年(平成21年)10月)ISBN 978-4757605299 所収。
  3. ^ 田坂憲二 「大島本源氏物語をめぐって -その伝来過程を中心に-」『香椎潟』第33号、福岡女子大学、1987年(昭和62年)9月25日、pp. 13-26。のち『源氏物語享受史論考』風間書房、2009年(平成21年)10月、pp. 484-505。ISBN 978-4-7599-1754-3、柳井滋「大島本『源氏物語』の書写と伝来」新日本古典文学大系『源氏物語』第1巻、解説、岩波書店、1993年(平成5年)、上原作和「青表紙本『源氏物語』原論 青表紙本系伝本の本文批判とその方法論的課題」王朝物語研究会編『論叢源氏物語 4 本文と表現』新典社、2002年(平成14年)5月、pp. 17-78。ISBN 4-7879-4923-3 のち『光源氏物語學藝史 右書左琴の思想』翰林書房、2005年(平成17年)5月、pp. 134-179。ISBN 978-4-87737-229-3
  4. ^ 上原作和「佐渡時代の大島本『源氏物語』と桃園文庫」『光源氏物語傳來史』武蔵野書院、2011年(平成23年)11月、pp…142-161、286‐312。ISBN 978-4-838-60256-8
  5. ^ 『源氏物語』の佐渡時代保有者は千利休の末裔か。物語研究会11月例会 佐渡の大島本『源氏物語』のことなど 坂口昭一・上原作和、上原作和「佐渡時代の大島本『源氏物語』と桃園文庫」『光源氏物語傳來史』武蔵野書院、2011年(平成23年)11月、pp…142-161、286‐312。ISBN 978-4-838-60256-8
  6. ^ 高木文「賜架書屋随筆」『書物展望』第5巻第8号(通号第50号)、書物展望社、1935年(昭和10年)8月、pp. 126-129。
  7. ^ 反町茂雄「源氏物語蒐集と池田亀鑑さんと」『定本 天理図書館の善本稀書 一古書肆の思い出』八木書店、1981年(昭和56年)7月、pp. 149-173。
  8. ^ 角田文衞「大島本源氏物語の由来」『古代文化』第44巻第5号、1992年(平成4年)5月。のち『影印本大島本源氏物語』の別巻解説 および『紫式部伝 その生涯と源氏物語』法藏館、2007年(平成19年)1月25日、pp. 591-598。ISBN 978-4-8318-7664-5 に収録。
  9. ^ 藤本孝一「大島本の名称」『日本の美術 第468号 「定家本源氏物語」冊子本の姿』至文堂、2005年(平成17年)4月、p.28。ISBN 978-4784334681
  10. ^ 鷺水庵より 『源氏物語』の古写本を調べる” (Japanese). 伊藤鉄也 (2007年11月3日). 2017年3月25日閲覧。
  11. ^ 阿部秋生「現時点における本文整定の問題」『国文学解釈と鑑賞別冊 源氏物語をどう読むか』至文堂、1986年(昭和61年)4月5日、pp. 8-21。
  12. ^ 伊井春樹「保坂本と『源氏物語大成』の校異」『保坂本源氏物語 別冊2 保坂本源氏物語解題』1997年(平成9年)3月、p. 15。ISBN 978-4-273-02872-5
  13. ^ 土方洋一「源氏物語のテキスト研究」小森陽一編集『岩波講座 文学 〈1〉 テクストとは何か』岩波書店、2003年(平成15年)5月、pp. 165-188。ISBN 978-4-0001-1201-7
  14. ^ 「凡例Ⅲ」『源氏物語別本集成 第1巻』p. 6。
  15. ^ 渋谷栄一「縦長四半本・藤原定家筆「源氏物語」と大島本との関係について--大島本が定家筆本に最も近似する本文であることの再確認と問題点」高千穂大学高千穂学会編『高千穂論叢』第45巻第1号、高千穂大学高千穂学会、2010年(平成22年)5月、pp. 1-29。
  16. ^ 加藤洋介「大島本源氏物語の本文成立事情 大島本若菜下巻の本文状況 大島本をめぐる異同状況」中古文学会関西部会(編)『大島本源氏物語の再検討』(和泉書院、2009年(平成21年)10月)、pp. 182-184。ISBN 978-4757605299
  17. ^ 渋谷栄一「定家本「源氏物語」の生成過程について 桐壺を中心として」紫式部学会編『古代文学論叢15 源氏物語とその前後 研究と資料』武蔵野書院、1997年(平成9年)7月、pp. 165-197。ISBN 4-8386-0170-0
  18. ^ 藤本孝一「大島本源氏物語の写本学的研究 原本復元」中古文学会関西部会(編)『大島本源氏物語の再検討』和泉書院、2009年(平成21年)10月。ISBN 978-4-7576-0529-9
  19. ^ 伊井春樹「大島本源氏物語本文の意義と校訂方法」上原作和「研究史の総括と展望 〈戦国時代〉の『源氏物語』本文史研究」今西祐一郎,室伏信助 (監修)上原作和,陣野英則 (編集)『テーマで読む源氏物語論 2 本文史学の展開/言葉をめぐる精査』(勉誠出版、2008年(平成20年)6月12日)
  20. ^ 加藤昌嘉「本文研究と大島本に対する15の疑問」中古文学会関西部会(編)『大島本源氏物語の再検討』和泉書院、2009年(平成21年)10月。ISBN 978-4-7576-0529-9
  21. ^ 池田利夫「あとがき」『源氏物語回廊』笠間書院、2010年(平成22年)1月、pp. 1017-1020。ISBN 978-4-305-70495-5
  22. ^ 室伏信助「源氏物語の本文とはなにか -大島本「初音」巻をめぐって-」『源氏物語の鑑賞と基礎知識 18 初音』国文学解釈と鑑賞 別冊、2001年(平成13年)10月、至文堂、pp. 241-247。
  23. ^ 「凡例」石田穣二・清水好子校注『新潮日本古典集成 源氏物語 8』新潮社、1985年(昭和60年)4月、p. 3。ISBN 978-4-10-620369-5
  24. ^ 藤本孝一「大島本源氏物語の写本学的研究 原本復元」中古文学会関西部会(編)『大島本源氏物語の再検討』和泉書院、2009年(平成21年)10月、pp. 1-49。ISBN 978-4-7576-0529-9
  25. ^ 佐々木孝浩「「大島本源氏物語」に関する書誌学的考察 再説」代表者(豊島秀範)國學院大學『源氏物語の研究支援体制の組織化と本文関係資料の再検討及び新提言のための共同研究』第1号、2008年(平成20年)3月、pp. 65-78。
  26. ^ 根来司『源氏物語枕草子の国語学的研究』 有精堂、1977年(昭和52年)10月。
  27. ^ 室伏信助「大島本『源氏物語』採択の方法と意義」『新日本古典文学大系 19 源氏物語一』岩波書店、1993年(平成5年)1月、pp. 456-467。ISBN 4-00-240019-0
  28. ^ 今井源衛「『源氏のゆふだすき』と『源氏六十三首之歌』」『語文研究』第25号、九州大学国語国文学会、1973年(昭和48年)3月号。のち『王朝文学の研究』(角川書店、1970年(昭和45年)および『今井源衛著作集 4 源氏物語文献考』2003年(平成15年)9月、pp.302-313。ISBN 4-305-60083-8
  29. ^ 池田亀鑑編『源氏物語大成 研究編』中央公論社、1985年(昭和60年)10月、p. 124。
  30. ^ 藤本孝一「大島本源氏物語の写本学研究」中古文学会関西部会(編)『大島本源氏物語の再検討』(和泉書院、2009年(平成21年)10月)、pp. 1-49。ISBN 978-4-7576-0529-9
  31. ^ 池田亀鑑『源氏物語大成 研究編』中央公論社、1956年(昭和31年)、p. 221。
  32. ^ 大津有一「諸本解題 大島氏旧蔵冷泉為清筆源氏物語」池田亀鑑編『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 132。
  33. ^ 大津有一「諸本解題 大島氏旧蔵源氏物語」池田亀鑑編『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 131。
  34. ^ 池田亀鑑「重要諸本の解説 大島氏旧蔵小汀利得氏蔵花宴巻」『源氏物語大成 研究編』中央公論社、1956年(昭和31年)、p. 263。
  35. ^ 大津有一「諸本解題 小汀氏蔵伝耕雲筆花宴巻」池田亀鑑編『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 132。
  36. ^ 池田亀鑑「重要諸本の解説 大島氏旧蔵小汀利得氏蔵松風巻」『源氏物語大成 研究編』中央公論社、1956年(昭和31年)、p. 265。
  37. ^ 大津有一「諸本解題 小汀氏蔵伝為氏筆松風巻」池田亀鑑編『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 132。
  38. ^ 池田亀鑑「重要諸本の解説 大島氏旧蔵小汀利得氏蔵鈴虫巻」『源氏物語大成 研究編』中央公論社、1956年(昭和31年)、p. 265。
  39. ^ 大津有一「諸本解題 小汀氏蔵伝為氏筆鈴虫巻」池田亀鑑編『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 132。
  40. ^ 池田亀鑑「重要諸本の解説 大島氏旧蔵小汀利得氏蔵鈴虫巻」『源氏物語大成 研究編』中央公論社、1956年(昭和31年)、p. 263。
  41. ^ 大津有一「諸本解題 小汀氏蔵伝為相筆松風巻」池田亀鑑編『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 132。
  42. ^ 池田亀鑑「重要諸本の解説 大島氏旧蔵小汀利得氏蔵藤裏葉巻」『源氏物語大成 研究編』中央公論社、1956年(昭和31年)、p. 265。
  43. ^ 大津有一「諸本解題 小汀氏蔵伝為家筆藤裏葉巻」池田亀鑑編『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 132。
  44. ^ 池田亀鑑「重要諸本の解説 大島氏旧蔵小汀利得氏蔵柏木巻」『源氏物語大成 研究編』中央公論社、1956年(昭和31年)、p. 266。
  45. ^ 大津有一「諸本解題 小汀氏蔵伝為氏筆柏木巻」池田亀鑑編『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 132。
  46. ^ 池田亀鑑「重要諸本の解説 大島氏旧蔵小汀利得氏蔵紅葉賀巻」『源氏物語大成 研究編』中央公論社、1956年(昭和31年)、p. 263。
  47. ^ 大津有一「諸本解題 小汀氏蔵伝為氏筆紅葉賀巻」池田亀鑑編『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 132。
  48. ^ 池田亀鑑「重要諸本の解説 大島氏旧蔵伝西行筆竹河巻」『源氏物語大成 研究編』中央公論社、1956年(昭和31年)、p. 266。
  49. ^ 大津有一「諸本解題 大島氏旧蔵伝西行筆竹河巻」池田亀鑑編『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 131。
  50. ^ 池田亀鑑「重要諸本の解説 大島氏旧蔵小汀利得氏蔵夕霧巻」『源氏物語大成 研究編』中央公論社、1956年(昭和31年)、p. 266。
  51. ^ 大津有一「諸本解題 小汀氏蔵伝為家筆夕霧巻」池田亀鑑編『源氏物語事典 下巻』東京堂出版、1960年(昭和35年)、p. 132。
  52. ^ 北川忠彦・西浦甲佐子翻刻「天理図書館蔵大島本平家物語巻十二」『ビブリア 天理図書館報』第79号、天理大学出版部、1982年(昭和57年)10月、pp. 84-117。
  53. ^ 久保木秀夫「『伊勢物語』大島本奥書再読」谷知子・田渕句美子編著『平安文学をいかに読み直すか』笠間書院、2012年(平成24年)10月25日、pp. 10-37。ISBN 978-4-3057-0678-2
  54. ^ 加藤昌嘉「源氏物語古系図の中の巣守」陣野英則・新美哲彦・横溝博編『平安文学の古注釈と受容 第二集』武蔵野書院、2009年(平成21年)10月、pp. 17-34。ISBN 978-4-8386-0237-7


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