変成作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/23 14:29 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動変成作用は、大きく広域変成作用(英語: regional metamorphism[3])と接触変成作用(英語: contact metamorphism[3])に分けられる[4][5][6]。
広域変成作用
広域変成作用(regional metamorphism)は、地球内部における広域な運動に伴い、既存の岩石が地下深部で受ける変成作用のことであり、広域変成岩を形成させる[7]。広域変成作用は岩石を再結晶させ、片麻岩となり片理面や片麻状構造、縞状構造ができる[8]。なお、高温低圧型変成岩では主に片麻状構造や縞状構造が形成される一方、低温高圧型変成岩では結晶片岩として片理面が形成されることが多い[8]。
なお、広域変成作用はさらに造山帯変成作用、海洋底変成作用、埋没変成作用に分類される[9]。造山帯変成作用は、造山運動(大陸プレートや島弧どうしの衝突、海洋プレートの沈み込みなど)による変成作用のことで、変成岩組織がよく確認される[9]。海洋底変成作用は、中央海嶺や大洋底下において、地殻や上部マントルで発生する[10]。ここでは原岩がマフィック岩・超マフィック岩であり、変成岩組織は見られない[10]。埋没変成作用は厚い堆積岩層の下部で起こる、続成作用と造山帯変成作用の中間にあたる作用のことで、原岩の堆積構造や岩石組織が残ったり、不完全な再結晶作用だったりする[11]。
接触変成作用
接触変成作用(contact metamorphism)は、マグマの貫入に伴う周辺の加熱により原岩が再結晶される変成作用のことであり[11]、接触変成岩を形成させる[12]。この岩石は一般にホルンフェルスとよばれる[13]。
接触変成作用が起こる範囲は、マグマの貫入により形成された火成岩体の周囲であり[14]、火成岩体から数キロメートル以内であることが多い[12]。また火成岩体に近いほど変成作用時の温度は高い[12]。ただし、広域変成作用のときよりも圧力は小さい傾向にある[12]。
その他の変成作用
衝撃変成作用(impact metamorphism)とは、隕石の落下時に起こる瞬間的な変成作用のことで、衝撃角礫岩やインパクタイトなどを形成する[15]。
この他にも、岩石の割れ目に熱水やガスが入ることによる局所的な変成作用として熱水変成作用(hydrothermal metamorphism)、岩石の物理的破壊などに起因する動力変成作用(dynamic metamorphism)、変成作用中に化学物質の転移が行われた交代作用(metasomatism)などの変成作用が挙げられる[16]。
- ^ a b 周藤・小山内 2002, p. 113.
- ^ 角替 2007, p. 99.
- ^ a b 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、ISBN 4-8181-8401-2。(J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター)
- ^ 都城秋穂・久城育夫 『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年、110-112頁、ISBN 4-320-00205-9。
- ^ 黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、282-288頁、ISBN 4-320-04578-5。
- ^ 角替 2007, p. 100.
- ^ 周藤・小山内 2002, p. 114.
- ^ a b 榎並 2013, p. 119.
- ^ a b 周藤・小山内 2002, p. 115.
- ^ a b 周藤・小山内 2002, p. 116.
- ^ a b 周藤・小山内 2002, p. 117.
- ^ a b c d 榎並 2013, p. 120.
- ^ 榎並 2013, p. 122.
- ^ 周藤・小山内 2002, p. 118.
- ^ a b 周藤・小山内 2002, p. 119.
- ^ 周藤・小山内 2002, pp. 118–119.
- ^ a b 榎並 2013, p. 117.
- ^ 榎並 2013, pp. 117–118.
- ^ a b 榎並 2013, p. 118.
- ^ 周藤・小山内 2002, p. 137.
- ^ 角替 2007, p. 101.
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