召集令状 部隊到着後

召集令状

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/17 03:29 UTC 版)

部隊到着後

召集令状を持って部隊に到着した者は、徴兵検査と同様の入隊検査を受けた上で配属され、戦線に出発した。万が一、入隊検査で不合格となった場合は即日帰郷を命じられる。この場合、軍からは除隊扱いとなるが、予備役などの形で再び召集される可能性はあった。

その他

一銭五厘

従軍記や花森安治の著書などに見る「一銭五厘」の表現は、当時のハガキの郵便料金が一銭五厘であった[注釈 2]ことから、兵隊は一銭五厘で赤紙を送れば補充がきく、兵隊の命には一銭五厘の価値しかないという比喩である。ただし、実際には上述のとおり召集令状は役場の職員が直接持って来るのが原則で、郵送される場合も海軍省のごく一部、なおかつ軍事郵便で無料とはいえ現在の特別送達に相当する極めて厳格な送達手続きがなされていたので、葉書を郵送して召集ということはなかった。

外地の召集令状

朝鮮1943年(昭和18年)8月1日、台湾では1944年(昭和19年)9月1日から徴兵制度が実施され、それにあわせて召集令状が発行された。

自衛隊における招集命令書

自衛隊では、動員について「召集」ではなく“招く”の字がある「招集」の語を用い[注釈 3]、その命令を伝達する命令書は「招集命令書」(しょうしゅうめいれいしょ)という。

日本国憲法下の自衛隊法では、旧陸海軍と異なり無差別に選ばれた国民を闇雲に召集することはできなくなった(国民皆兵ではないので成年男子全員が予備役というわけではない)。このため、予備自衛官予備自衛官補一般公募ないしは技能公募と呼ばれる志願制度に基づいて出願し、採用試験に合格の上、所定の訓練を終了した者のみが、予備自衛官や予備自衛官補、および陸上自衛隊即応予備自衛官として招集の対象となる。

対象と成り得る事態ごとに色が異なっており、防衛出動にかかる「防衛招集命令書」は淡紅色、国民保護等派遣に関する「国民保護等招集命令書」は淡黄色、治安出動に必要な「治安招集命令書」は淡緑色、災害派遣にかかる「災害招集命令書」は淡青色、年に1度、5泊6日で行われ、参加手当も出る平時の訓練に対して出される「訓練招集命令書」は白色とされている。

このうち、防衛招集、国民保護等招集、治安招集の各命令書は制度発足以来、一度も使われたことはない。災害招集は2011年(平成23年)の東日本大震災で即応予備自衛官・予備自衛官に対して発動された例がある[4]

脚注


注釈

  1. ^ 各市町村の兵事係が編纂していた在郷軍人名簿には、市町村内に在住する兵役対象者の個人情報(健康状態や最終学歴、所有する技能や免許など)が記載され、これが管区の連隊に提出され、連隊の動員課がこの名簿を元に戦時編成に必要な技能を持った人員を選び出していた。[2]
  2. ^ 1899年(明治32年)4月から1937年(昭和12年)3月までの期間、はがき料金は1銭5厘であった[3]
  3. ^ 日本国憲法下においては、「召集」の語は天皇の国事行為として一定の期日に集合を命じる行為である国会の召集のみに用いられる。自衛隊に係る行政行為等は天皇の国事行為とは直接関係ないので、「招集」の語を用いる。

出典

  1. ^ 加藤陽子『徴兵制と近代日本』吉川弘文館、1996年
  2. ^ 小澤眞人 NHK取材班『赤紙 男たちはこうして戦場へ送られた』創元社、1997年。ISBN 4-422-30033-4
  3. ^ 『値段の明治大正昭和風俗史 上』(朝日文庫、1987年)p449の表
  4. ^ 東日本大震災における即応予備自衛官・予備自衛官の活動実績(概要) - 防衛省ホームページ。


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