住友金属工業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/26 14:07 UTC 版)
概要
主な事業は鉄鋼業で、鋼管、薄板、厚板、建材、鉄道車両品、チタン、条鋼などを生産する(粗鋼生産量は年間1000万トン)。シームレスパイプと呼ばれる原油発掘用の鋼管は世界的にも上位の地位を確保しているが、シームレスパイプの価格は原油価格とリンクするため、1990年代の原油価格低迷期にはシームレスパイプも赤字部門として住金の経営の足を引っ張っていたが、2000年以降の原油価格の高騰で収益改善している。
主力の製鉄所は鹿島製鉄所と和歌山製鉄所である。2004年には鹿島製鉄所内に大型の新高炉を建設し、費用削減を進めている。一方、和歌山は古い製鉄所のため生産効率が劣っていた。そのため、熱間圧延ミルラインの休止および上工程(製銑・製鋼ライン)の台湾・中国鋼鐵との合弁会社への分離など大リストラ策が実施された。今日では、シームレスパイプの生産拠点として重要な役割を果たしており、海南市の海南鋼管所を含め、新たに設備投資が行われた。この設備投資により役割を終えた和歌山第4高炉は1982年2月23日の火入れ以降、2009年7月11日の吹き止めまで実に27年4か月(1万1日)稼働し、稼働日数世界最長記録を達成した。
また、1970年の新日本製鐵誕生から、鉄鋼業界は長らく大手5社体制で安定していたが、2002年に日本鋼管と川崎製鉄が経営統合して、JFEグループが誕生。これに対抗し、新日鐵・住金と神戸製鋼所も同年、包括的な提携を結びJFEへの対抗姿勢を示した。
ほかの鉄鋼会社と同様に事業の多角化の一環で、半導体用シリコンウエハーの生産も手掛けていたが、収益が悪化して、三菱マテリアルとの合弁会社(現在のSUMCO)に移管。橋梁やエネルギー分野、環境関連エンジニアリングの分野でも事業を展開。
1989年、プロサッカーリーグ(Jリーグ)設立が具体化した際に参加表明し、当時の住友金属工業蹴球団から鹿島アントラーズとしてJリーグクラブを誕生させた。現在は、オフィシャルスポンサーとして支えている。また、同クラブのホームスタジアムである茨城県立カシマサッカースタジアムの第2ゲートの命名権を取得し、「住金ゲート」(後に「新日鐵住金ゲート」に改称。現在は「NIPPON STEELゲート」と更に改称)としている。
2012年10月1日に新日本製鐵と合併して新日鐵住金株式会社となり、住友グループから離脱。これにより、60年にわたり掲げ続けてきた「住友金属」の名が、新日鐵住金の英文社名「NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL CORPORATION」に残るのみとなっていたが、同社は2019年4月1日に日本製鉄株式会社に社名を変更したため、「住友金属」の名前は消滅した。
住友金属は、太平洋戦争中、帝国海軍の零式艦上戦闘機などに使用された新素材、超々ジュラルミンを開発した。
以前、「柔らか頭してますか、住友金属」というフレーズのコマーシャル(出演:山瀬まみ、ほか)を流していた。
固有名詞の分類
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