交通信号機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 15:39 UTC 版)
概要
道路の交差点などで、自動車や自転車、歩行者の通行の優先権を伝えるための装置で、道路交通の安全を図りつつ、自動車を円滑に走行させることを目的に設置される道路の付属施設である[1]。交通事故の危険性が予測される交差点は優先道路や一時停止などの規制を実施するが、多量な交通需要は交通信号を設置し、交互に通行権を割り振ることで積極的に交通を処理[2]し、交通流の安定、排気ガスや騒音など交通公害の低減、交通環境の改善[3]、などを見込む。
識別は世界で共通して緑(青)・黄・赤の三色を用いる[4]。世界のほぼすべての国で、赤が止まれ、青が前に進んでも良いをあらわす[4]。世界的に統一された基準として道路標識及び信号に関するウィーン条約が存在するが、日本やアメリカ合衆国などは批准せずに独自に定めている。
内部に光源が収められて灯火を行う信号本体の装置を灯器と称する。
灯色について
国別で信号機の灯色の表現が異なる[5]。
日本における呼称 | 青 | 黄 | 赤 |
---|---|---|---|
中国 | 緑 | 黄 | 紅 |
アメリカ | green | yellow | red |
イギリス | green | amber | red |
日本の法令は、進行許可の「緑」を「青」としている[4]。緑なのに青と呼ばれる理由は諸説あるが導入当初(昭和初期)の日本人に青と緑の区別が希薄だったからといわれる[6]。
本項目は日本の法令に関して記述し、誤解のおそれが無い場合は「青」と記述する。
信号機の配列・意味・点灯パターン
国際ルール
日本は批准していないウィーン条約で信号機に関する国際的基準が示されている。
日本
アメリカ
赤信号は安全を確認して右折が許容されている[7]が、「NO TURN ON RED」(赤信号で右折禁止)の標識が設置されている場合は赤信号時の右折が不可であり、赤信号時の右折が全く認められない地域も存在する[7]。
青矢印信号と赤信号の間に黄矢印信号が設けることもある[8][9]。
韓国
その他の国
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イスラエル、オーストリア、エストニア、カンボジア、ラトビア、メキシコの一部、トルコ、ロシア、EUのいくつかの地域では緑信号から黄信号の間に青点滅を挿入している[10]。青点滅の挿入は高速度で進入する車両に対する安全性を向上するのに有効である[10]。日本以外でも、歩行者用信号での青点滅がベルギー、フィンランド、オーストリア、イギリス、オランダ、ハンガリー、ノルウェー、スペイン、ポーランド、スウェーデン、中国、メキシコで導入されている[11]。中国の一部地域では水平線が1本ずつ減ることで残り時間を示す歩行者用信号が設置されている[12]。
法律上の扱い
日本
注釈
出典
- ^ 浅井 2001, p. 256.
- ^ 宮城 1977, p. 8.
- ^ “信号機の役割”. 日本交通管理技術協会. 2017年10月12日閲覧。
- ^ a b c “なぜ信号機は赤黄緑の3色が使われているの?”. JAF. 2020年12月5日閲覧。
- ^ 時崎 2000, p. 29.
- ^ 「緑」なのになぜ青信号? 今さら聞けない! 交通信号機にまつわるトリビアな話1!【交通取締情報】|Motor-Fan[モーターファン]
- ^ a b “アメリカドライブの注意点”. BehoRoton, Inc. 2017年10月19日閲覧。
- ^ Ruth Johnson (2017-01-03). What Every Driver Must Know. State of Michigan
- ^ Ohio Department of Public Safety (PDF). Digest of Ohio Motor Vehicle Laws. Ohio Department of Public Safety
- ^ a b Seyfried 2013, p. 340.
- ^ Seyfried 2013, pp. 340–341.
- ^ Seyfried 2013, p. 341.
- ^ 斎藤 2004, p. 85.
- ^ 交通工学研究会 2007, p. 176.
- ^ 交通工学研究会 2006, p. 179.
- ^ “信号機とは”. 静岡県警察本部交通部交通規制課. 2017年10月10日閲覧。
- ^ 交通工学研究会 2006, p. 68.
- ^ 交通工学研究会 2006, p. 70.
- ^ 交通工学研究会 2007, p. 177.
- ^ a b c 高橋 2015, p. 7.
- ^ a b 交通工学研究会 2006, p. 131.
- ^ 交通工学研究会 2006, pp. 131–133.
- ^ 交通工学研究会 2006, p. 133.
- ^ a b United States Department of Transportation (2009). Manual on Uniform Traffic Control Devices (2009 ed.). p. 456
- ^ United States Department of Transportation (2009). Manual on Uniform Traffic Control Devices (2009 ed.). p. 465
- ^ Robert K. Seyfried (2013). Traffic Control Devices Handbook (2nd Edition ed.). Institute of transportation engineers. p. 341. ISBN 978-1-933452-67-8
- ^ Department for Transport (2007). Know Your Traffic Signs (Fifth ed.). The Stationery Office. p. 120. ISBN 978-0-11-552855-2
- ^ Department for Transport (2007). Know Your Traffic Signs (Fifth ed.). The Stationery Office. p. 124. ISBN 978-0-11-552855-2
- ^ 高橋 2015, p. 15.
- ^ 高橋 2015, pp. 56–66.
- ^ a b ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 205.
- ^ “手信号による交通整理(もし信号機が消えてしまったら) 警視庁”. www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp. 2023年5月22日閲覧。
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