交代行列
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/13 23:44 UTC 版)
座標を用いない記述
より内在的に述べれば、ベクトル空間 V 上の歪対称線型変換は適当な内積に関して、V 上の二重ベクトル(これは単純二重ベクトル v ∧ w の和)として定義することができる。その対応は、v* はベクトル v の双対ベクトルとして、写像 v ∧ w ↦ v* ⊗ w − w* ⊗ v により与えられ、直交座標系に関する場合これはちょうど上で述べた意味での通常の歪対称行列に一致する。この特徴付けはベクトル場の回転(これは自然な 2-ベクトル)を無限小回転と解釈することに利用できる(それゆえに「回転」と呼ばれる)。
歪対称化可能行列
n-次正方行列 A が歪対称化可能 (skew-symmetrizable) であるとは、正則な対角行列 D および歪対称行列 S が存在して S = DA とできるときに言う。実行列に関して言う場合、D はさらに成分が正という条件も加える[6]。
関連項目
参考文献
- 佐武一郎『線型代数学』裳華房、1974年。
- Reyment, Richard A.; Jöreskog, K. G.; Marcus, Leslie F. (1996). Applied Factor Analysis in the Natural Sciences. Cambridge University Press. p. 68. ISBN 0-521-57556-7
- Eves, Howard (1980). Elementary Matrix Theory. Dover Publications. ISBN 978-0-486-63946-8
関連文献
- Suprunenko, D. A. (2001), "Skew-symmetric matrix", in Hazewinkel, Michiel (ed.), Encyclopaedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4。
- Aitken, A. C. (1944). “On the number of distinct terms in the expansion of symmetric and skew determinants.”. Edinburgh Math. Notes.
注釈
- ^ a b c 本項において(何も言わなければ)、係数体の標数 は 2 でない (1 + 1 ≠ 0) と仮定する。標数が 2 のとき、任意のスカラーは自身を反数として持つので、任意の歪対称行列は対称行列の概念に一致する。歪対称行列に付随する双線型形式は歪対称形式であり、標数 2 のときは対称形式になる。一方、付随する双線型形式が交代形式であるような行列を「交代行列」と呼べば、標数 2 のとき「交代行列」は歪対称(=対称)行列と異なる。
- ^ 標数が 2 の体上では 1⁄2-倍写像が定義されないから、対称成分・歪対称成分ともこれでは定義できない。以下は標数が 2 でない任意の体上で成り立つ議論であることに注意せよ。
出典
- ^ Reyment, Jöreskog & Marcus 1996, p. 68.
- ^ Eves 1980.
- ^ Cayley, Arthur (1847). “Sur les determinants gauches [On skew determinants]”. Crelle's Journal 38: 93-96. Reprintend in Cayley, A. (2009). “Sur les Déterminants Gauches”. The Collected Mathematical Papers. 1. p. 410. doi:10.1017/CBO9780511703676.070. ISBN 978-0-511-70367-6
- ^ 佐武 1974, p. 81.
- ^ 佐武 1974, p. 189.
- ^ Fomin, Sergey; Zelevinsky, Andrei (2001). "Cluster algebras I: Foundations". arXiv:math/0104151v1。
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