五人ライダー対キングダーク 五人ライダー対キングダークの概要

五人ライダー対キングダーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/04 20:52 UTC 版)

五人ライダー対キングダーク
Five Riders Vs. Kingdark
監督 折田至
脚本 伊上勝
原作 石森章太郎
製作
出演者
音楽 菊池俊輔
主題歌セタップ! 仮面ライダーX
水木一郎
撮影 川崎龍治
(プロダクションショット)
編集 菅野順吉
配給 東映[注釈 1]
公開 1974年7月25日
上映時間 28分
製作国 日本
言語 日本語
前作 仮面ライダーX
次作 仮面ライダーアマゾン
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28分、シネスコ[注釈 2]、カラー作品。

概要

テレビ番組『仮面ライダーX』の劇場用新作。この年3月の「東映まんがまつり」の春興行ではテレビ本編の第3話をシネスコサイズにトリミングしたもの(いわゆる「ブローアップ」)が上映されたが、劇場用完全オリジナルとしては本作品が初となる。「仮面ライダーX」を主役とする映画であるが、シリーズで初めて題名には特定の仮面ライダーの名が冠せられていない[1][2][注釈 3]

本作品の制作された1974年(昭和49年)は、『仮面ライダー』が巻き起こした「変身ブーム」がピークを過ぎ、『マジンガーZ』(東映動画フジテレビ)に代表される「巨大ロボットアニメ」が代わって子供たちの心を捉えており、『仮面ライダーX』テレビ本編にも新しい大幹部として、巨大ロボットの「キングダーク」が登場することとなった。テレビ本編が「神話怪人」シリーズから「キングダーク」率いる「世界悪人軍団」シリーズへと移行する変換期に制作された本作品では、これを反映し、アポロガイスト配下の「GOD秘密警察」と「悪人怪人」、またチコ、マコが混在して登場するなど、両者の設定にまたがる作劇となっている[1]。興行タイトルとしても「フィンガー5と遊ぼう! 東映まんがまつり」と題し、劇場ポスターではメインに『マジンガーZ対暗黒大将軍』が配置され、時代の趨勢をうかがわせるものとなっている[2]

歴代仮面ライダー4人が客演するが、1号はニューヨーク、2号はパリ、V3はモスクワ、ライダーマンはタヒチから駆けつけたと説明される。ライダーマンはテレビ本編『仮面ライダーX』の前作である『仮面ライダーV3』の劇中で死が描かれたキャラクターであり、本作品が正式な復帰作となった。

4人のライダーはほとんど変身後の姿で行動し、奇岩城での変身する時のみ素顔を見せているが、それらのシーンには、本郷猛(1号)、一文字隼人(2号)が映画『仮面ライダー対ショッカー』、風見志郎(V3)が映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』、結城丈二(ライダーマン)はV3のテレビ本編の映像を流用していて[注釈 4]、オリジナルキャストの劇中における素顔での出演はなかった。

仮面ライダー2号は、ライダーキックを放つ際に、「2号ライダーキック」、「ライダー2号キック」と叫んでいる。またライダーマンは、オープニングでは右腕、ネプチューン戦では左腕にパワーアームを装備しているが、決戦で「カセットアーム」を装着していない。

アクション面では、トランポリンによるジャンプ撮影が、雨天によりすべて屋内のホリゾントを背景に行われていて[2]、カットによってはスタジオの天井が写り込んでいる。

公開前には、伊勢丹新宿店にて大々的なタイアップイベントが催された[2]

仮面ライダーシリーズの劇場版は、この後1975年春に『仮面ライダーアマゾン』、同年夏には『仮面ライダーストロンガー』が、それぞれ「東映まんがまつり」内で公開されるが、いずれもテレビ版をブローアップしたものであり、劇場用新作は製作されなかった。シリーズの劇場用新作は、本作品から6年後の1980年春に公開された『仮面ライダー (スカイライダー)』の劇場用新作『仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王』であった。

あらすじ

日本壊滅を図る暗黒組織「GOD」の新幹部キングダークの命によって、キマイラ・ガマゴエモン・ユリシーズ・アキレス・ジンギスカンコンドルの五怪人が行動を開始した。協力者立花藤兵衛のもと、モトクロス場でオートバイ訓練を行っていた神敬介(仮面ライダーX)は、ジンギスカンコンドルとガマゴエモンに襲撃される。二怪人を前に仮面ライダーXへ変身した敬介だが、その戦いの映像はキマイラとアキレスによってGODアジトに中継され、キングダークと手術台の謎の怪人がこれを見守っていた。やがてデータ採取終了の信号弾が上げられ、退散する二怪人。敵の目的が分からず、いぶかるXライダーだった。

ある晩、都内に住むエツ子とマサルの姉弟は、地下から響く不気味な声に目を覚ます。Xライダーに知らせようと、ひとりで外へ出たマサルの前に現れたのは、GODの動きを探っていた仮面ライダー1号だった。その様子を陰から窺うユリシーズ。翌朝、人間に化けたユリシーズは犬に吠えかかられて正体を現し、飼い主の少年を襲ったが、仮面ライダー2号が現れるとあっさり退却した。さらに多摩川では奇妙な機械を背負ったネプチューン・キクロプス・ヒュドラーを目にした少年が3怪人に襲われるが、そこにライダーマンが現れると[注釈 5]、これも退却してしまった。

一方、GODアジトでは、雷鳴とどろく中ついに謎の怪人コウモリフランケンが立ち上がった。キングダークは立花藤兵衛の営む喫茶店に、メドウサ・アトラス・プロメテス・キャッティウスをさし向け、Xライダーを誘い出す。山中でコウモリフランケンと怪人軍団の出迎えを受けたXは、「クルーザーアタック」でこれを退け、続いて藤兵衛と若い女性を襲ったヘラクレス、パニック、アトラスを、仮面ライダー1号・2号・V3・ライダーマン・Xライダーの五人ライダーが勢ぞろいして撃退した。しかしGODの計画はいまだ謎のままであった。

「奇岩城」として使われた「駒沢給水塔

先日、地下から響く不気味な声を聞いたマサルとエツ子は、その言葉を思い出そうとしていたが、二人に同行する男の口にした「GOD、東京・品川・新宿、カラカラカラ…」という謎めいた言葉によって、東京中の水を枯らしてしまう「カラカラ作戦」との文言を思い出す。男はいきなりイカルスの正体を現し、エツ子をさらい空に消えてしまった。その生き血をコウモリフランケンのエネルギーとするため、エツ子ら若い女性たちが次々に拉致されていたのだ。マサルによってGODの計画を知った五人ライダーは、スパイ蝙蝠を追ってGODのアジト「奇岩城」を突き止め、ここにコウモリフランケンの率いる再生怪人軍団と5人ライダーの一大決戦が始まった。

お台場13号埋め立て地」に移った戦いは、ついに5人ライダーの勝利に終わった。キングダークの潜む塔へ乗り込んだXだったが、キングダークは「本当の恐ろしさはこれからだ」と言い残し、その姿を塔もろとも幻影のなかに消してしまうのだった。戦いを終え、走り去る五人ライダーを飛行船のゴンドラから見送る藤兵衛と救助された女性たちだった。


注釈

  1. ^ ノンクレジット
  2. ^ この「シネスコサイズ」は、実際には35mmスタンダードフィルムの上下を省いてサイズを合わせた、簡便な「疑似シネスコ」である。
  3. ^ 企画段階での仮題は『仮面ライダー対キングダーク』であった[3]
  4. ^ 1号のみ、変身時の効果音は、テレビ本編と全く違うもの。V3はバックに錦晴殿が映っている。
  5. ^ このシーンのライダーマンは、「俺の名は仮面ライダー4号」と名乗り、また本来の右腕ではなく、左腕に「カセットアーム(パワーアーム)」を装着している。
  6. ^ オープニングでは「和田夫」と誤表記。
  7. ^ エンディングでは「志一子」と誤表記。
  8. ^ エンディングでは「セッタップ仮面ライダーX」と表記。
  9. ^ 水木一郎の単独歌唱バージョン(本来、テスト用テイクだったもの)を使用。
  10. ^ エンディングでは「俺はX Xライダー」と誤表記。

出典

  1. ^ a b 大全集 1986, p. 225, 「仮面ライダー劇場用作品製作メモ」
  2. ^ a b c d e 映画大全集 1993, p. 133, 「仮面ライダー劇場用映画作品研究」
  3. ^ 仮面ライダー1971-1984 2014, p. 253, 「キングダーク編準備タイトル」.
  4. ^ a b 昭和4 2016, p. 22, 「GOD秘密機関怪人」
  5. ^ a b スーパー大図鑑昭和編 2017, p. 138, 「仮面ライダーX 怪人」
  6. ^ a b 仮面ライダー1971-1984 2014, p. 239, 「デザイン画の世界6」
  7. ^ 仮面ライダー1971-1984 2014, pp. 250-251、253.
  8. ^ a b 怪人大全集 1986, p. 137, 「仮面ライダー劇場用怪人大全」
  9. ^ 「2000TV・映画 特撮DVD・LD・ビデオ&CD」『宇宙船YEAR BOOK 2001』朝日ソノラマ宇宙船別冊〉、2001年4月30日、67頁。雑誌コード:01844-04。 


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