二重振り子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/20 03:30 UTC 版)
運動方程式
二重振り子の運動方程式はラグランジュ関数を用いて導出される場合が多い[4][5]。各振り子の腕は剛体、連結部での摩擦や空気抵抗のような減衰は無い、外力は働かない自由振動とすれば、以下のような運動方程式が得られる。
それぞれの振子の腕の先端に質点が存在するモデル(単振り子を連結したモデル)の運動方程式を示す[4]。
二重振り子先端に付けたLEDランプ軌道の長時間露光写真 カオス運動を行う二重振り子の実物を比較的簡単に製作できることから、カオス理論入門のための講義用教材として二重振り子が採り上げられることが多い[3]。カオスの命名の一人である数学者のジェームズ・ヨーク(James A. Yorke)も、初心者向け講義で実物の二重振り子を教材に使用していた[2]。よく運動する実物の製作にあたっては、二重振り子の運動エネルギーをできるだけ減衰させない工夫が必要となる[9]。例えば、連結部分で大きな摩擦が発生しないようベアリングを入れたり、滑りの良いプラスティック素材を使用するなど工夫が採られる[10]。ビデオカメラによる撮影を行うときは、振り子先端にLEDライトなどを取り付けて振り子の軌道をより分かり易くする工夫も採られる[3]。
その運動の視覚的面白さから、小中高校生向けに理科への興味を与える演示実験教材としても二重振り子がよく採り上げられる[11][12]。公益法人や大学主催のテクノフェスタ、サイエンスフェスタで、実物の二重振り子を使用した演示実験が行われている[12]。小学生を対象に簡易な二重振り子の製作・実演までを行う教材研究も行われており、これによるとほとんどの生徒が二重振り子の運動に興味を持ったなどの結果を得ている[11]。
- ^ 日本機械学会 編『機械工学辞典』(第2版)丸善、2007年1月20日、966頁。ISBN 978-4-88898-083-8。
- ^ a b 井上 1997, p. 86.
- ^ a b c 鈴木・増田 2000, p. 1.
- ^ a b c 入江敏博・山田元『機械工学基礎講座 工業力学』(第1版)理工学社、2003年1月25日、229-231頁。ISBN 4-8445-2137-3。
- ^ a b c 小室元政『基礎からの力学系 ―分岐解析からカオス的遍歴へ』(新版)サイエンス社、2005年、35-36頁。ISBN 4-7819-1118-8。
- ^ 井上 1997, p. 99.
- ^ 井上 1997, p. 98.
- ^ 鈴木・増田 2000, p. 4.
- ^ 井上 1997, p. 88.
- ^ 井上 1997, pp. 86–87.
- ^ a b 米村和幸, 宮川英典, 鮫島朋子 ほか「簡易二重振り子による教材研究」『日本物理学会講演概要集』第59巻セッションID: 30pWQ-1、日本物理学会、2004年、417頁、doi:10.11316/jpsgaiyo.59.1.2.0_417_4、NAID 110002190799。
- ^ a b 増田健二「二重振り子におけるカオス」『技術報告』第4巻、静岡大学技術部、1998年、25-28頁、doi:10.14945/00003136、ISSN 13462814、NAID 110007501155。
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