ワット ワットの概要

ワット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/15 01:57 UTC 版)

ワット
watt

ワット単位で目盛りが振られた電力計
記号 W
国際単位系 (SI)
種類 組立単位
仕事率工率電力放射束
組立 J/s
定義 1秒間に1ジュールの仕事率
語源 ジェームズ・ワット
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概要

ワットという名称は、蒸気機関の発展に大いに貢献したスコットランド人ジェームズ・ワット (James Watt) にちなんで名づけられた。1889年の英国学術協会第2回総会で採用された。ワットは固有の名称を持つ単位の一つで、1ワットは毎1ジュールに等しいエネルギーを生じさせる仕事率と定義され、SI組立単位で表すとジュール毎秒 (J/s)である[1]。すなわち、1秒あたりに変換・使用・消費されているエネルギー仕事)を表す。ジュールがT−2 L2 Mの次元なので、ワットはT−3 L2 Mの次元となる。SI基本単位のみによって表すと、ジュールは、kg⋅m2⋅s−2なので、ワットはkg⋅m2⋅s−3になる[1]

他の仕事率の単位との換算は、以下のようになる。

仕事率の単位
W kgf·m/s PS kcal/h HP(BHP)
1 ワット(W) = 1 = 0.102 = 0.00136 ≈ 0.860 ≈ 0.00134
1 重量キログラムメートル毎秒(kgf·m/s) = 9.80665 = 1 ≈ 0.01333 ≈ 8.4322 ≈ 0.01315
1 仏馬力(PS) = 735.49875 = 75 = 1 ≈ 632.415 ≈ 0.9863
1 キロカロリー毎時(kcal/h) = 1.163 ≈ 0.1186 ≈ 0.00158 = 1 ≈ 0.00155
1 英馬力(HP(BHP)) = 745 ≈ 76.040 = 1.013 = 641 = 1

逆に、仕事率や電力の単位に時間の単位をかけたものは、エネルギーを表す単位となる。つまり、

1 J = 1 W × 1 s

である。 例えば、1 kW の装置が1時間 (3600秒) に消費するエネルギーは1 kW⋅h[注 1] となり、それは3600 kJに等しい。1 MW⋅d(メガワット日)は86.4 GJ(ギガジュール) となる。これらの単位は電力関係で電力消費量(電力量)の単位として用いられる。 また、1 W = 1000 mWである。 国際単位系における表記規則に従い、記号の表記としては、大文字の「W」を用いる。小文字の「w」を用いるのは誤りである。

電力としてのワット

電気工学の分野では、仕事率である電力は、以下の式で表される。

電力 = 電圧 × 電流

であるから、単位としては

W = V⋅A

と等価である。

例えば、100 V の電圧がかかり、1 A の電流が流れている回路は、100 W の電力を消費する。式に表すと以下のようになる。

100 W = 100 V × 1 A

  1. ^ 1 kW⋅h = 3600 kW⋅s
  2. ^ ワットは「単位時間あたりに発する熱量」の単位でもある。また光を電磁波として捉えた場合「単位時間あたりに通過するエネルギー」の単位ともなり得る(ポインティング・ベクトル)。

出典

  1. ^ a b c 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年4月
  2. ^ JIS Z 8203:2000「国際単位系 (SI) 及びその使い方」日本産業標準調査会経済産業省
  3. ^ ボルト・アンペア・ワット - 電気のマメ知識|中部電力”. 中部電力. 2022年6月15日閲覧。
  4. ^ CJK Compatibility” (2015年). 2016年2月21日閲覧。
  5. ^ The Unicode Standard, Version 8.0.0”. Mountain View, CA: The Unicode Consortium (2015年). 2016年2月21日閲覧。


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