ルーマニアの経済 農業

ルーマニアの経済

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 05:05 UTC 版)

農業

ルーマニアは温帯に位置し、ケッペンの気候区分によると東部が温暖湿潤気候 (Cfa)、西部が西岸海洋性気候 (Cfb)、北部が亜寒帯湿潤気候 (Dfb) に属する。季節風地方風は存在せず、東部の土壌はウクライナ黒土地帯と同等(チェルノーゼム)である。このため、小麦栽培を中心とした混合農業に適する。ブドウの栽培にも適しており、国土全体がブドウの北限界線よりも南にある。

ルーマニアは第一次産業人口が2001年時点で42.3%と高く、農業国である。穀物(小麦)の自給率も100%を上回り、輸出国である。2002年時点の小麦生産量は438万トン(以下、FAOのFAO Production Yeabook 2002による)。国土の中央部以外で冬小麦とトウモロコシ(850万トン)を生産している。国土の中央部はカルパティア山脈、ビホル山脈が占めるため、穀物生産には向かない。

生産シェアが高い作物はヒマワリ(99万トン、世界シェア7位、4.2%)である。

1990年時点は、トウモロコシ、ヒマワリ、キャベツ亜麻羊毛などの世界シェアがいずれも上位10位に入っていた。10年間で第一次産業人口が10ポイント以上も上昇するなど、経済構造が農業優位に変化しているにもかかわらず、世界の経済成長に追いついていないため、いずれもシェアが低下した。

黒海に面しているものの漁業は振るわない。1990年時点で13万トンだった漁獲高は、2002年時点では7000トン以下にまで減少した。

鉱業

モレニ油田(1920年代) ルーマニア中南部ドゥンボヴィツァ県に位置する最初の油田

ルーマニアは、石油産出国であり、石油採掘の歴史も深い。早くも1691年にモレニ油田で最初の原油の採掘が始まった。ピテシュティプロイェシュティなど油田に近い都市沿いに石油パイプラインも敷設されている。パイプラインはカルパチア山脈が東西方向へ通る部分(トランシルバニア山脈)とドナウ川の中間を東西に延び、鉄門から黒海沿岸の貿易都市コンスタンツァに至る。支線はウクライナにも接続されている。しかしながら、2002年時点では産出量が600万トンに留まり、国内需要をまかないきれず、石油輸入国となっている。

天然ガスは世界産出量の5%に相当する。石炭の埋蔵量は多いが亜炭、褐炭中心であり、品質は低い。それでも世界産出量の10位前後に相当する。石炭は、主に火力発電に利用されている。

他の鉱物資源としては、北西部マラムレシュ県県都バイア・マーレ近郊の亜鉛、中西部フネドアラ県県都デヴァ近郊のである。デヴァの鉱山は古代のダキア人も採掘していた由緒ある鉱山である。岩塩は、モルドヴァ地方北部とトランシルヴァニア南部のムレシュ川沿いで年間200万トン程度採掘されている。他に少量ながらウランも産する。

工業

ルーマニアはもともと農業国であったが、1950年代からソビエト型の計画経済のもと、重工業を中心に工業基盤を建設してきた。ルーマニア政府の方針として輸入を極端に制限したため、規模としては、食品工業繊維業が中心であるものの、他の工業基盤も成立している。最も進んだ工業は、織物工業であり、2002年時点の世界シェアが5位と高く、生産量は2534万m2に達する。以下に、都市単位で盛んな工業を挙げる。

コンスタンツァとヤシを除く都市は、いずれも計画経済時に工業化が進んだ。しかしながら、ルーマニア工業は農業と同じく、世界の経済成長に遅れをとってしまった。1990年時点では、ワイン毛糸、絹織物、毛織物塩酸リン酸ソーダ灰がいずれも世界シェア上位10位に含まれていたが、絹織物以外はいずれも脱落している。絹織物もシェア2位から5位に落ちている。




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