ラウンドアバウト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/07 02:02 UTC 版)
アメリカのラウンドアバウト
設置
アメリカのTRB(全米交通運輸調査委員会)は、ラウンドアバウトに適する場所として次のような場所を挙げている[45]。まず、4本以上の道路が集まる交差点や、Y字や鋭角に道路が集まる変則的な交差点、Uターンの多い交差点はラウンドアバウトに向く交差点である。隣接する2つの交差点をまとめる場合や、信号による長い車両の列を作りたくない場合(トンネルが近くにあるときなど)にもラウンドアバウトが適する。中央島などを印象的にあしらって、街の入り口や中心部を魅力的にプレゼンテーションすることも可能である[46]。
通行
アメリカのラウンドアバウトの通行方法は、反時計回りである[47]。環状道路を走っている車が優先とされているが、ワシントン州などではラウンドアバウトを出る時にだけ左ウィンカーを出す運用となっている[47]。
日本のラウンドアバウト(環状交差点)
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
日本における円形道路の交差点としては、ロータリー交差点(円形交差点)のみが定義されていたが、2013年(平成25年)6月14日法律第43号改正道路交通法により「環状の交差点における右回り通行」(標識327の10)として、現代的ラウンドアバウトが定義された。国土交通省も、ラウンドアバウトを整備するときの適用条件・留意事項を示して、2014年(平成26年)9月1日から本格的な運用が始まった。
ラウンドアバウトの計画・設計・運用全体をカバーする技術指針としては、(社)交通工学研究会による「ラウンドアバウト マニュアル」が2016年に発刊された[48]。
日本の法律において、ラウンドアバウトは道路交通法第4条第3項に「環状交差点」として次のように定義されている
一般社団法人交通工学研究会のマニュアルは、その定義において、
ラウンドアバウト(roundabout)とは、円形の平面交差部のうち、主に、環道、中央島、エプロン、路肩、分離島、流出入部及び交通安全施設を有し、環道において車両が時計回り(右回り)に通行し、かつ進入する車両によりその通行を妨げられない交通が確保できる構造であるものをいう。 ラウンドアバウトは平面交差部の一形式であるため、交差点内部を走行する環道交通が中断されることがあってはならない。
としている[50]。これはすなわち、「環道交通流に優先権があり、かつ環道交通流は信号機や一時停止などにより中断されない」平面交差部の構造と運用形式を指している。したがって、信号機で制御されたもの、環道交通流より流入車両が優先されるものや駅前ロータリーなどで駐停車を想定したものはラウンドアバウトの定義から外れる[51]。
日本では、現代的ラウンドアバウトという意味でのラウンドアバウトの導入事例は極めて少ない[† 9]。もともと日本では交差点の形式としてラウンドアバウトを想定していなかったため、従来の日本の道路交通法では、ラウンドアバウト全体を一つの交差点としては解釈できなかった[52][† 10]。このため、2013年(平成25年)6月14日に道路交通法が改正され、ラウンドアバウトが「環状交差点」として位置づけられた[53]。
日本国内では2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災で発生した、停電による信号機の滅灯で混乱が生じたことを通じて、信号が無くても安全かつ円滑に交通制御が可能なラウンドアバウトが脚光を浴び、全国的に導入が進んでいる[48]。
長野県飯田市の東和町交差点(北緯35度31分10.45秒 東経137度49分28.08秒 / 北緯35.5195694度 東経137.8244667度)は、2013年2月5日より日本初の試みとして、従来設置されていた信号機を撤去したうえでラウンドアバウトとしての運用を開始した。ただし、進入地点に「一時停止」を義務付け、本来のラウンドアバウトの利便性を損なう、変則的な方法をとっていたが、2013年6月14日法律第43号で改正された道路交通法[49]の施行(2014年9月1日)後は、ラウンドアバウトの標識(327の10)を設置して、環道内の車両の優先通行と流入車両の徐行により通行させることになった。
改正道路交通法の施行(2014年9月1日)を受けて全国19箇所で運用が始まった。その中で多摩市桜ヶ丘のもの(北緯35度38分26.8秒 東経139度26分40.2秒 / 北緯35.640778度 東経139.444500度)は東京都で唯一の指定であった。同年度中には新たに15箇所が運用開始される予定である[54][55]。道路標識は標識327の10(青地に白い矢印が時計回りになっているもの)が制定された[56]。
その後、導入する自治体が増えている[57]。2017年5月末現在、22都府県で67箇所が運用されている[58][59]。なお、2015年3月16日時点では、全国で42箇所が運用され[60]、このうち仙台市が11箇所、名取市が5箇所など、宮城県が19箇所を占めていた。
道路交通法における位置づけ
- 2013年6月14日法律第43号で改正された道路交通法[49](施行2014年9月1日)で、ラウンドアバウトが「環状交差点」の名称で位置づけられ、その定義、左折・右折・直進・転回の方法、他の車両等との関係、の3点が明確にされた。
- 「環状交差点」が「車両の通行の用に供する部分が環状の交差点であつて、道路標識等により車両が当該部分を右回りに通行すべきことが指定されているものをいう。」と定義された(改正後の道路交通法第4条第3項)。
- 環状交差点における通行方法はつぎのように定められた。:
- 第35条の2 車両は、環状交差点において左折し、又は右折するときは、第34条第1項から第5項までの規定にかかわらず、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り環状交差点の側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
- 2 車両は、環状交差点において直進し、又は転回するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り環状交差点の側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
- 環状交差点における他の車両等との関係等は次のように定められた。:
- 第37条の2 車両等は、環状交差点においては、第36条第1項及び第2項並びに前条の規定にかかわらず、当該環状交差点内を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
- 2 車両等は、環状交差点に入ろうとするときは、第36条第3項の規定にかかわらず、徐行しなければならない。
- 3 車両等は、環状交差点に入ろうとし、及び環状交差点内を通行するときは、第36条第4項の規定にかかわらず、当該環状交差点の状況に応じ、当該環状交差点に入ろうとする車両等、当該環状交差点内を通行する車両等及び当該環状交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
- 環状交差点における合図については、方向指示器#さまざまな用法を参照。
- 通常の交差点と同様に、環状交差点内と、環状交差点の側端又は道路のまがりかどから五メートル以内の部分は駐停車禁止である。また、環状交差点の安全進行義務(第37条の2第3項)も適用される。
交通方法の周知
警察庁は、環状交差点の交通方法についての動画を作成している。一般社団法人全国届出自動車教習所協会のHPで見ることができる[61]。
また、交通方法についてのリーフレットを作成して配布している[62]。
交通規制基準
道路交通法の環状交差点についての規定が施行される直前の2014年8月8日に警察庁交通局は、環状交差点についての規制基準を発出した[63]。交通規制基準の本編では、第140ページに記載されている。
対象交差点は、「流出入部、環状部分とも1車線の道路により構成される交差点」としており、流出入部が4車線(往復合計での車線数)の道路を想定していない。具体的な規制として、標識「327の10」の設置場所・設置方法について規定している。
また、2014年12月16日には、ラウンドアバウトは、交通事故抑止、被害の軽減、信号機が不要になることでの待ち時間の減少、災害時の対応力の向上等の効果が見込まれるので、適切な箇所へのラウンドアバウトの交通規制の導入を推進すべし、との通達を出している[64]。
望ましい構造
2014年8月8日に国土交通省が、道路管理者がラウンドアバウトを計画・設計するに当たっての、当面の適用条件と留意事項について通達を出した[65]。その概要は次の通り[66]。
1)適用条件
- 交通量
交通量は総流入交通量10,000台/日台未満。総流入交通量が10,000台/日以上の場合、各流出入部において、時間当たりの流入部交通容量とピーク時間当たりの流入交通量を踏まえ可否を確認。
- 幾何構造
外径は、設計車両の種類、隣接して接続する道路の交差角度、及び分離島の有無を踏まえ、車両の通行軌跡を考慮し設定。中央島は、乗り上げを前提としない。
2)留意事項
- 交通量
横断歩行者・自転車が多い場合、交通確保に留意。
- 幾何構造
- 形状は正円若しくは正円に近い形状が望ましい。
- 環道については、停車帯を設置しない。
- 分離島は設置することが望ましい。
- 中央島は通行する車両の見通しを十分に確保できる構造とする。
- 流出入部は安全かつ円滑に流出入できる構造とする。
- 幅員は走行性や安全性を踏まえるものとする。
- 環道とエプロンは利用者が認知できるよう区分する。
- 交通安全施設
- 照明は必要に応じ設置することが望ましい。
- 中央島に反射板等を設置することが望ましい。
- 案内標識「方面及び距離(105のC)」、「方面及び方向の予告(108のA)」、「方面及び方向(108の2-A)」及び警戒標識「ロータリーあり(201の2)」を、必要に応じ、設置することが望ましい。
- 区画線「車道外側線(103)」及び「導流帯(107)」を、必要に応じ設置することが望ましい。
日本のラウンドアバウトの一覧
様々なタイプのラウンドアバウト
ラウンドアバウトを設計する際は、設置場所の性格、単/複車線などに注目して分類するが、ここでは外観上特徴のあるラウンドアバウトを挙げる。
ツイン・ラウンドアバウト
2つのラウンドアバウトを組み合わせた形態のものをツイン・ラウンドアバウトという[67]。錯綜する交錯箇所を減らすことで交差点内での衝突リスクを低下させたり速度抑制による重大事故の減少を目的とする[67]。
日本では2018年3月に島根県の朝山・大田道路に初めて設置された[67]。しかし、このツイン・ラウンドアバウトでは設置して間もない同年6月4日に70代男性が軽自動車で逆走事故を起こしており[68]、誘導方法の改良が行われた。
瓢箪型ラウンドアバウト
2つの近接するラウンドアバウトを合体し、1つのラウンドアバウトとしたもの[69]。ラウンドアバウトの環状部分の形状をくびれた形状とすることで限られた用地で設置でき、環道部の走行速度も一定に保つことができる[69]。日本では先述の朝山・大田道路の大田朝山インターチェンジに導入されている[69]。
ミニ・ラウンドアバウト
細街路などが交差する交差点において用いられる外径が13 - 22 m程度の小規模なラウンドアバウト[70]。中央島にはわずかな段差を設け、大型車が右左折する場合はこの上を乗りあげて直接右折することを認める[70]。ヨーロッパやオーストラリアなどで数多く用いられている[70]。
バルコニー・ラウンドアバウト
バルコニーラウンドアバウトとは環道を高架状にし、自転車や歩行者などの事故の被害者になりやすい人々の動線を、環道の下をくぐって通り抜けられるように設計されたラウンドアバウトで、それぞれの車道に沿った歩道や自転車道が環道の下の広場を通じて互いにつながり、自動車交通との輻輳がないために事故の危険を低減させることができる。ベルギーのブリュージュをはじめ、オランダのレーワルデン、スヘルトーヘンボスなどに実例が見られる。
多車線ラウンドアバウト
環道が複数車線をした外径40 - 60 mの大型のラウンドアバウト[71]。比較的交通需要が高い交差点での導入が有効とされているものの、車両どうしの交錯点が多くなり、環道の通過速度が上昇し、流入部の内側車線の利用率が低くなるなど必ずしも交通容量の増大に役立つとは限らない欠点を持つ[71]。
ターボ・ラウンドアバウト
交通容量を上げるためには環道を2車線にするが、環道の内側車線の車両が流出する時の織り込みをなくして交錯天を少なくした形式のラウンドアバウトである[71]。流入部から進行方向別に設けられた車線を走行すれば車線変更する必要が無く、そのまま目的の出口に流出できる[71]。1990年代にオランダで開発された形状であり、現在ではオランダのほかドイツなどでも主に幹線道路で適用されている[71]。
オランダ型ラウンドアバウトの自転車と歩行者保護策
新しい考え方のオランダのラウンドアバウトは、自転車を自動車よりも優先させる設計になっている。自転車レーンはラウンドアバウトの環道よりも外側に環状に設置され、それぞれの自動車の進入路との交差部は、赤い舗装で目立つようにした横断帯で渡る。それぞれの進入路を渡るための歩行者用の横断歩道も設けられる[72]。
自転車道を分けることで環道の幅員を削減できるほか、横断歩道の手前では躊躇なく速度を落とすことができる[73]。
マジック・ラウンドアバウト
イギリスで見られるラウンドアバウトの形式で、中央島の周りに回転方向の違う2本の環道をもち、進入・退出口の場所に、内側と外側の環道をつなぐミニ・ラウンドアバウトが設置されている。外側の環道に入った後、そのまま時計回りに目的の出口にむかってもよいし、ミニ・ラウンドアバウトでUターンして反時計回りに目的の出口に向かっても良い。環道内ではミニ・ラウンドアバウトが優先である。
歩行者を対象としたラウンドアバウト
日本のJR東日本は、産学連携の取り組みとして、2023年7月10日から7月12日の3日間、新宿駅南口付近のコンコースにおいて、歩行者を対象としたラウンドアバウト実証実験を実施[74]。
注釈
- ^ 環道内で合流・車線変更がしやすいように大きく作られていた。
- ^ 英語であれば、YIELD や GIVE WAY のこと。日本では前方優先道路がこれに該当する道路標識であるが、ゆずれ等の法定外標識であったり譲れ表記がないなど、ラウンドアバウトでは使用されていない。ただし、後述するように道路標識がなくても環状交差点内を通行する側が法定で優先とされている。
- ^ 例えば、横断歩道の幅が1.6 m - 2.5 m程度で、中心線がラウンドアバウトが外周から5 - 6 mのところ。(Jacquemart et al., p.27)
- ^ 信号機は、ある瞬間に他の動線上に車両を走らせないことで、交錯点を減らす手法と言える。
- ^ 例えば、停止線から20 - 50 m
- ^ Jacquemart et al., p.30。ラウンドアバウトに関するアンケート調査で、8ケ所中1ケ所で遅れが増えたと答えたケースがある。
- ^ 日本語では「ロータリーあり」と言われるが、ここでいうロータリーはラウンドアバウトを含む円形交差点を指す。
- ^ ホイルベース15メートル(50フィート)のトレーラー。
- ^ 国際交通安全学会、p.2。同報告書ではラウンドアバウトと言えるかもしれない円形交差点(ラウンドアバウト候補)として133の交差点をあげ、同時に内8箇所はラウンドアバウトではないと結論している。ただし、この調査では進入時の「譲れ」は考慮していない。
- ^ 従来は道路交通法第36条第1項の一で規定されているように、標識や信号などで整理の行われていない交差点では左方から進行してくる車両が優先であるので、ロータリーに進入してくる車両が優先となるため、必然的に日本の「ロータリー交差点」はラウンドアバウトを満たさないことになっていた。
出典
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- ^ MassDOT 2006, Chapter6, p.6-25
- ^ Tan, pp.15-16
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- ^ 交通工学研究会 2018, p. 101.
- ^ 国際交通安全学会、p.8
- ^ 峯岸邦夫編著『トコトンやさしい道路の本』日刊工業新聞社〈今日からモノ知りシリーズ〉、2018年10月24日、70頁。ISBN 978-4-526-07891-0。
- ^ 環状交差点、1日から=8都府県34カ所で誕生―「急がば回れ」で徐行を・警察庁
- ^ 「ラウンドアバウト」運用開始、事故防止に効果も
- ^ [1] 第3回ラウンドアバウト検討委員会 配布資料、資料3 道路交通法の改正、第6ページ、別表第二(第3条関係)、国土交通省道路局
- ^ 「ラウンドアバウト」効果大 滋賀県守山市、本格導入を決定
- ^ 信号機がない環状交差点 安曇野で全国サミット始まる 信毎Web、2017年7月28日
- ^ ラウンドアバウト普及へ安曇野でサミット 日本工業経済新聞社、2017年7月29日(長野建設新聞)
- ^ 環状交差点の指定状況 第4回ラウンドアバウト検討委員会、資料3、国土交通省道路局、2015年3月17日
- ^ 環状交差点(ラウンドアバウト) 次の4つの動画がある。1.環状交差点とは 2.環状交差点の交通方法 3.環状交差点を通行するときの留意点 4.交通方法のポイント (注)これらの動画は、警察庁の「安全快適な交通の確保」より引用されている。
- ^ 急がば回れ 環状交差点 警察庁・都道府県警察
- ^ 「交通規制基準」の一部改正について(通達) 警察庁丙規発 第31号、第2ページ目「第42 環状の交差点における右回り通行」、2014年8月8日
- ^ 環状交差点の交通規制の導入に向けた検討について(通達) 警察庁丁規発 第97号、警察庁交通局交通規制課長、2014年12月16日
- ^ 望ましいラウンドアバウトの構造について 国土交通省道路局、2014年8月8日
- ^ [2]
- ^ a b c ツインラウンドアバウトの通行形態について 国土交通省中国地方整備局松江国道事務所、2018年3月1日
- ^ “ラウンドアバウトから逆走進入、避けようとした順走車2台が被害”. response (2018年6月6日). 2020年11月28日閲覧。
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- ^ King, Mel (2020年12月1日). “Essex town to make history with county's first 'Dutch roundabout'” (英語). EssexLive. 2022年3月23日閲覧。
- ^ (英語) 5 minutes of traffic on a Dutch roundabout with bi-directional cycling lanes 2022年3月23日閲覧。
- ^ “JR東日本、新宿駅南口にて混雑リスク低減に向けたラウンドアバウト実証実験を実施”. 日本経済新聞 (2023年7月6日). 2023年7月9日閲覧。
- 1 ラウンドアバウトとは
- 2 ラウンドアバウトの概要
- 3 ラウンドアバウトの設計
- 4 アメリカのラウンドアバウト
- 5 脚注
- 6 外部リンク
ラウンド・アバウト
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ラウンドアバウトは、1980年頃に岡山で結成、1982年頃に解散した日本のロックバンド。後にTHE BLUE HEARTSや↑THE HIGH-LOWS↓、ザ・クロマニヨンズといったバンドのボーカルを務める甲本ヒロトが、ザ・コーツの前に在籍していたバンドであり、甲本にとって初めてのバンドであった。
概要
バンド名「ラウンドアバウト」は、ディープ・パープルの前身バンドの名前に由来する[1]。
甲本が高校三年の卒業間際に、ボーカルが受験勉強のために抜けたラウンドアバウトのメンバーだった友達に剣道の授業時に勧誘されて加入した[2]。甲本の出身地である岡山県で精力的に活動していた。岡山の地元ラジオ局の番組に出演したことがある。
デモ音源に1980年11月に岡山の長谷川楽器で録音されたものや、1981年8月に東京で録音されたものがある。山陽放送主催のコンテストに出場し、審査員特別賞をもらっている。
スター誕生!のオープニングアクトとして「Jump'inJap 3-3-7」を演奏し、その模様は全国放送された[2]。清水国明は彼らに興味があったらしく、声をかけられた[2]。ライブは1981年3月31日と8月の二度しか行っていない。渋谷屋根裏で一度ライブが行われた[2]。
東京に進出した際「らウンドアバウト なぞのXデー 8月15日」と書かれたフライヤーが配られた。なお、そのフライヤーには「岡山のいつものとこで」と書かれており、その「いつものとこ」とはラウンドアバウトのデモテープの録音された長谷川楽器のことである[3]。
メンバー
- 甲本ヒロト…ボーカル担当。後に上京し、ザ・コーツ、 THE BLUE HEARTS、ヒューストンズ、↑THE HIGH-LOWS↓、ザ・クロマニヨンズ、のボーカルを務める。ラウンドアバウト解散後、亀山とともにザ・コーツを結成するまで「すいか」や「Rhythm&Engine」というバンドをやっていたという情報もある。
- 有冨政司…ギター担当。当時を知る松重豊からは「アリさん」と呼ばれていた[4]。
- 亀山哲彦…ベース担当。現在はTHE LONDON TIMESのキーボードとベース、ザ タイムトラベラーズのベース、キャプテンズ・マーマレードのキーボードを務めている。当時を知る松重豊からは「カメちゃん」と呼ばれていた。
- 田中秀明…ドラム担当[3]。あだ名は「COZY TOWEL」。当時を知る松重豊からは「タナさん」と呼ばれていた。
サポートメンバー
- 守時辰巳…キーボード担当。後にTHE BRICK'S TONEのメンバーとなる。
主な楽曲
- Oh destination[4](作詞・作曲:甲本ヒロト)(ザ・コーツに引き継がれた)
- 思うままに(作詞・作曲:亀山哲彦)(ザ・コーツに引き継がれた)
- ウルフガイ
- どん底ロック
- 999(作詞・作曲:甲本ヒロト)
- クロックダンス
- Jump'inJap 3-3-7(作詞・作曲:甲本ヒロト)
- 石鹸で
- 今夜の君はシンデレラ
- 百日紅
- ブルドッグ
- ロックンロール・パーティー
- 5分間
- only liar
- コピー・ローラー
- fire
他にキンクス、ローリング・ストーンズ、セックス・ピストルズのカバーも行っていた。
脚注
出典
- ラウンドアバウトのページへのリンク