ヤドリギ 日本のヤドリギ

ヤドリギ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/04 16:12 UTC 版)

日本のヤドリギ

日本のヤドリギ(岩手県遠野市で)

標準和名ヤドリギ(学名: Viscum album subsp. coloratum、または Viscum album subsp. coloratum f. lutescens〈狭義〉)は、半寄生性の常緑広葉樹小低木[6]。日本のヤドリギは上記のようにセイヨウヤドリギの亜種とされる[2]

日本、朝鮮半島中国に分布し、日本では北海道本州四国九州に分布する[7]。宿主樹木は主にエノキケヤキなどの落葉広葉樹で[7]クリ[1]アカシデ[1]ヤナギ類・ブナ[1]ミズナラクワサクラ[1]にも半寄生して宿主樹木は幅広いが、基亜種よりは多くない。宿主の枝や幹に根をはって、養分と水分を吸い取って生育し、樹上に丸く茂る[1]。枝は緑色で2 - 3回ほど分枝する[1]。冬になると葉を落とした宿主樹木の上で、常緑の葉が目立つ[7]

葉は対生[6]葉身は倒披針形で長さ2 - 6センチメートル (cm) 、革質で厚い[7][1]。花期は2 - 3月[6]雌雄異株で、枝先の葉の間に小さな黄色い花が咲く[7][1]。果期は11 - 12月[6]。果実の直径は6ミリメートル (mm) ほどの球形で、基亜種の果実が白く熟すのに対し、淡黄色になる[7][6]。まれに橙黄色になるものがあり、アカミヤドリギ f. rubro-aurantiacum と呼ばれる。

キレンジャクヒレンジャクなどがよく集まることで知られ、果実は冬季に鳥に食われて遠くに運ばれる。果実の内部は粘りがあり、種子はそれに包まれているため、鳥の腸を容易く通り抜け、長く粘液質の糸を引いて宿主となる樹上に落ちる[7][1]。その状態でぶら下がっているのが見られることも多い。粘液によって樹皮上に張り付くと、そこで発芽して樹皮に向けて根を下ろし、寄生がはじまる。

枝や葉は、腰痛や婦人病の薬になる[1]

学名


  1. ^ a b c d e f g h i j k 西田尚道監修 学習研究社編 2009, p. 55.
  2. ^ a b c d e 札幌市博物館活動センター情報誌 Muse letter 第56号 札幌市博物館活動センター 2020年1月3日閲覧。
  3. ^ 田中潔 2011, pp. 22–23.
  4. ^ Andrew E. Maclean, Alexander P. Hertle, Joanna Ligas, Ralph Bock, Janneke Balk, Etienne H. Meyer (2018). “Absence of Complex I Is Associated with Diminished Respiratory Chain Function in European Mistletoe”. Current Biology. https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(18)30365-8. 
  5. ^ Jennifer Senkler, Nils Rugen, Holger Eubel, Jan Hegermann, Hans-Peter Braun (2018). “Absence of Complex I Implicates Rearrangement of the Respiratory Chain in European Mistletoe”. Current Biology. https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(18)30379-8. 
  6. ^ a b c d e f 田中潔 2011, p. 23.
  7. ^ a b c d e f g 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 240.
  8. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “album L. subsp. coloratum Kom. ヤドリギ(標準) {{{taxon}}}” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月10日閲覧。
  9. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Viscum album L. subsp. coloratum Kom. f. lutescens (Makino) H.Hara ヤドリギ(狭義)” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月10日閲覧。
  10. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Viscum album L. var. coloratum (Kom.) Ohwi ヤドリギ(シノニム)” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月10日閲覧。
  11. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Viscum coloratum (Kom.) Nakai var. alniformosanae (Hayata) Iwata ヤドリギ(シノニム)” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月10日閲覧。
  12. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Viscum coloratum (Kom.) Nakai ヤドリギ(シノニム)” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月10日閲覧。
  13. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Viscum alniformosanae Hayata ヤドリギ(シノニム)” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月10日閲覧。
  14. ^ a b 田中潔 2011, p. 22.
  15. ^ デズモンド・モリス『クリスマス・ウォッチング』(扶桑社)の32,33に起源など詳しい。


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