マリ帝国
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制度
交易
西アフリカ内陸部に広域帝国が成立したのはそもそもサハラ交易の利益によるものであり、最初の広域帝国であるガーナ王国の覇権を引き継いだマリも同じくサハラ交易を主な経済基盤とする国家であったが、その交易の様相はガーナ時代とは幾分異なったものとなっていた。
マリはサハラ砂漠の中央部にあるテガーザ岩塩鉱山にまで交易圏を広げたため、それまで塩の交易を握っていたベルベル人からその主導権を奪い[26]、塩金交易は北アフリカのベルベル人とサヘル地帯との間のものではなく、サヘル地帯を制したマリとその南にある産金地帯との間で行われるようになった。またマリの領土内においても金は産出されており、これらの多量の金はマリ帝国の主力商品として北アフリカへと輸出され、マンサ・ムーサ王の逸話に代表されるようなマリの繁栄を支えた。
またマリ帝国治下においては、同じくサハラの北からもたらされる主要商品であった銅鉱石の輸入が停止し、逆に銅を北アフリカへと輸出するようになった[27]。これはマリ領内またはその交易圏において銅鉱山が開発され、さらにマリ国内において精錬まで行われるようになったことを示している。この時期、ガオの東に位置するタケッダは銅生産の中心地となっていた[28]。またこの時期、ガーナ時代にはほぼ存在しなかった綿がマリ国内に普及し、織物の生産が盛んとなった[29]。こうしてマリは銅や綿を自給できるようになったものの、それを加工した銅製品や衣服・織物については輸入が続いており、むしろこの時期には北アフリカからの主力の輸出品となっていた。このほか、馬やタカラガイなども北アフリカから主に輸入されていた[30]。
一方、マリは南方の森林地帯とも活発に交易を行っていた。マリからの輸出品は塩や銅、綿布が中心であり、南方からは金のほか、コーラの実が主に輸入された[31]。
また、サハラ交易のメインルートも以前に比べて変化していた。ガーナ王国期にはモロッコからアウダゴストを通ってサヘルへと向かうサハラ西側ルートが主流であったのに対し、マリ帝国期にはトンブクトゥから中央サハラを通って北アフリカへと向かうルートが主流となり、これがジェンネやトンブクトゥなどニジェール川中流域の交易都市の繁栄を生んだ[32]。
経済
上記のような盛んな交易がおこなわれた一方で、国民の多くは農業に従事していた。国内では主にソルガムやトウジンビエ、フォニオといった雑穀や稲が主に栽培され、食料は豊富に供給されていた。ニジェール川ではボゾ人やソモノ人などの漁業民族が内陸デルタを中心に、盛んに漁業を行っていた[33]。
こうして経済が成長する一方で、貨幣の鋳造は行われなかった。金が大量に輸出されたのも、マリ国内においては装飾品以外の用途がなく、本来国内で貨幣として流通する分の金も輸出用に回されていたためでもある。通貨としては布地、タカラガイ、塩などが用いられた[34]。
こうした交易の活況によって、マリ帝国内に存在するジェンネ・トンブクトゥ・ガオといった都市もまた繁栄した。トンブクトゥとガオではサハラ砂漠を越えてきたキャラバンが商品を積み下ろして川船へと乗せ換え、ニジェール内陸デルタの中央部に位置するジェンネまで運ばれた。ジェンネには南の森林地帯から積み出された金などもやはり船に乗せられて運ばれてきており、交易拠点として繁栄した[35]。トンブクトゥはこの時期からソンガイ王国期にかけて最盛期を迎えた。メッカ巡礼帰路のマンサ・ムーサによって1324年にジンガリベリ・モスクが建設され[36]、同時期にサンコーレ・モスクが建設されることで、トンブクトゥは学問の都としても名声を高めていった[37]。ガオは交易の要衝として7世紀ごろから独立王国が存在していたが、13世紀ごろにマリに服属した[38]。しかし国内の混乱から一時期サハラ交易を断念していたエジプトが14世紀半ばからサハラ交易を復活させると、交易ルートの東漸が起こり[39]、ニジェール川交易の東端にあたるガオが繁栄して、14世紀末には再独立を果たし、やがてマリに代わり西アフリカ内陸部の覇権を握るようになった。
帝国というが、中央集権体制の国家ではなく、マリを中心とする緩やかな連合国家だった可能性もある[1][3]。
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- ^ voir les articles de Meillassoux, Delafosse, et Hunwick signalés dans l'historiographie
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- ^ C'est-à-dire toutes les études parues après cette première hypothèse, voire les références dans la bibliographie
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- ^ Hirsch, Fauvelle-Aymar, « La correspondance entre Raymond Mauny et Wladislaw Filipowiak au sujet de la fouille de Niani (Guinée), capitale supposée de l'empire médiéval du Mali », in Mélange offert à Jean Boulègue, 2009 à paraître
- ^ On peut citer notamment Conrad et Green, voir les références pour leurs articles dans la bibliographie
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